『発達障害の就労とキャリア発達』、2023年度日本コミュニティ心理学会出版賞受賞 - 2024.03.25
「自分カメラ」の日本語 「観客カメラ」の英語
英文法のコアをつかむ
*具体例と丁寧なイラスト多数!
*発達心理学にもとづく独自の視点で、日英の文法のちがいを読み解く!
はじめに
1章 日本語カメラと英語カメラの視界のちがい
まともな英語の文が作れない
日英言語の視界のちがい
視界を大きく区切っていく英語
画面切り替えのちがい
日本語カメラと英語カメラは誰が持っているのか?
2章 共同注視から始まることばの世界
私とあなたが交わすことばの世界
ことば以前の世界で生まれる共同注視
日本語と英語はどこが同じでどこがちがうのか?
共同注視の入れ子構造
入れ子の内と外による文の表し方のちがい
英語はなぜ入れ子の外の視点に重きを置いたのか?
受け継がれた脳と作られていく脳
3章 舞台を見つめる英語カメラ
子どもは絵の中に自分の姿を描き込む
英語カメラはどこに置かれているのか?
英語カメラは舞台をセッティングする
足し算の文法を操る英語カメラ
英語世界は舞台を中心にして回る
なぜ告白がカミング・アウトになるのか?
「いま行きます」が “I'm coming." になる理由
4章 引き算(省略)の日本語と足し算の英語
省略を許す日本語と許さない英語
場を変え、見て回る日本語
「ある」を確かめる日本語と「持つ」を確かめる英語
英語の基本動詞がもつ足し算の働き
人・物・事を等しく舞台の構成要素にする英語
「日本語に主語はいらない」だろうか?
5章 一、二人称的な日本語と三人称的な英語
一、二人称的な視点と三人称的な視点
アイ・ラブ・ユウはなかなかいえない
アイ・ラブ・ユウへの日本人の特別な思い
フランス人による日本的恋情の発見
人称代名詞を一本化しなかった日本語
一、二人称的な関係を重視する日本人の人間関係
なぜ日本人はシャイなのか?
日本語と英語のカメラ選択
6章 ここ・そこ・あそこの日本語とhere・thereの英語
人を場で表す日本語の会話
指示詞について厳密な日本語とあいまいな英語
話者カメラの切り替えと「これ」「それ」の逆転
実際のカメラの出現によって発見された映像切り替えの世界
7章 日本語のクローズアップ機能と「は」と「が」の役割
日本語のクローズアップ機能
枠を作る「は」と選択する「が」
ズームインの繰り返しと「が」の「は」への転化
「は」と「が」の役割は主語を示すことだけではない
「は」の他を抑える働きと「が」の選択対象を突出させる働き
「は」と「が」の格助詞全体に及ぼす影響
話の大枠を作る「は」の働き
物語の主人公を生みだす「は」の働き
8章 英語はなぜ単数・複数にうるさいのか?
舞台を設定することのデメリット
舞台を設定することのメリット
まず複数形で大きく捉える英語
なぜ英語は数や所有にこだわるのか?
極大・極小、あらゆる世界を舞台の上に
客観重視の英語世界
主観重視の日本語世界
9章 英語の名詞にはなぜ冠詞を付けるのか?
日本語には見あたらない英語の要素
theを付ける場合の定義が多すぎる
theのイメージをまとめてみることはできないものか?
「特定する」とはどういうことか?
共有空間で特定されたものにtheを付ける
英語がもつ構造化された共有空間
ひとまとめになったものにはtheを付ける
集合の構成要素にもtheを付ける
theとaは辞書の定義では区別しにくい
theとaの反対方向のベクトル
なぜ二種類のベクトルになるのか?
舞台への登録の有無による冠詞の分類
10章 日本語と英語はなぜ語順がちがうのか?
「私」を省略する日本語と省略しない英語
日本語はなぜ目的語を優先するのか?
英語はなぜ動詞を優先するのか?
舞台は議場や裁判所へ
なぜ英語は否定を先に日本語は後に置くのか?
日本語に見られる、否定でない「が」「しかし」「いや」の多用
文脈継承の「が」と文脈再建の「いや」「しかし」
「が」「だけど」のクローズアップ機能
11章 日本語と英語の時の捉え方のちがい
時を表すことばの位置のちがい
モバイルカメラとスタジオカメラの異なる戦略
「この」「その」「あの」の文脈指示としての働き
現場レポーター的な日本語の表現
英語の現在完了はなぜ必要なのか?
英語の一二の時の表し方と三つの時間基地
英語の時の表し方を共同注視の入れ子に当てはめてみると
犯人は誰だ?
12章 異なる言語の異なる文化
ここまでの簡単なまとめと本章のねらい
主観に寄り添う日本語カメラ
主観的な視界の枠と客観的な視界の枠
回遊式庭園と視点場
映画の発明が人々に与えた衝撃
映画カメラの外面への視点と内面への視点
モンタージュと俳句の技法
俳句と浮世絵にある余白の美
美人画の中心にある余白
引き算の文化と足し算の文化の出会い
マンガに受け継がれた技法
主観と客観の出会い
人について適用される科学の方法
物語として理解されるべきもの
日本語と英語の善悪チェック機能
あとがき(なぜこの本を書いたのか?)
引用文献 / 索引
装丁 臼井新太郎
装画 楠木 雪野