相互行為の人類学

「心」と「文化」が出会う場所

日常的な相互行為における「意味のやりとり」を丹念に分析することで,心理学,人類学いずれとも異なる視点から「心」と「文化」をとらえなおし,二つの分野を架橋する「相互行為の人類学」。具体的な研究例をとおして,その手法と魅力を伝える入門書。
相互行為の人類学 目次

 はしがき

第1章 相互行為の人類学への招待
 第1節 はじめに
 第2節 人類学と心理学の関わり
 第3節 内容の概要
 第4節 本書の成り立ちについて

第2章 理論と方法
 第1節 人類学における4つのアプローチ
 第2節 文化人類学・言語人類学の特徴
    1 社会・文化の研究を行う
    2 フィールドワークを通じた参与観察を主たる研究手法とする
    3 実践者の視点から社会・文化を理解することを目指す
 第3節 相互行為の人類学の射程と手法
    1 特徴づけを正当化する2つの解決策
    2 相互行為の人類学で用いられる記号
    3 基本的な分析概念
 第4節 まとめ
 ■第2章についてのQ&A

第3章 社会的認知
 第1節 民俗分類
    1 分類は文化である
    2 東アフリカの牧畜民ボディの色・模様分類
 第2節 在来知への相互行為論的アプローチ
    1 在来知をめぐる諸問題
    2 グイ/ガナの生活様式
    3 グイ/ガナの道探索実践
    4 ブッシュで道を見つける
 第3節 まとめ
 ■第3章についてのQ&A

第4章 他者理解
 第1節 人類学者の懊悩:他者の理解は可能か?
 第2節 懐疑主義を超えて
    1 カラハリ論争と先住民運動
    2 大型類人猿と基本的人権
    3 根本的経験論と相互行為論的アプローチ
 第3節 グイ/ガナの道案内における相互理解の達成
    1 ランドマークとしての樹木
    2 スタンス,同意,相互理解
 第4節 人―チンパンジー間相互行為における相互理解の構成
    1 チンパンジーの認知的能力,コミュニケーションの特徴
    2 飼育下における人―チンパンジー間相互行為
    3 チンパンジーの社会再考
 第5節 まとめ
 ■第4章についてのQ&A

第5章 発達と社会化
 第1節 養育者―乳児間相互行為における社会システムの形成
    1 リズムと調節の共有(誕生~)
    2 注意の共有(2カ月ごろ~)
    3 記憶の共有(8カ月ごろ~)
    4 シンボルの共有(14カ月ごろ~)
 第2節 社会化に対する相互行為の人類学的アプローチ
    1 行動の相互調整における文化的基盤
    2 養育の複合的文脈
    3 養育活動におけるリズムの共同的な創造
    4 共同的音楽性と発話共同体
    5 養育者 ―子ども間相互行為における「文化」再考
 第3節 誕生前の言語的社会化
    1 妊娠をめぐる家族コミュニケーション
    2 家族コミュニケーションの資源としての妊婦の身体感覚
    3 妊娠期における家族関係の再編
 第4節 まとめ
 ■第5章についてのQ&A

第6章 言語とコミュニケーション
 第1節 文化相対主義の隆盛
 第2節 相互行為の人類学における言語とコミュニケーション
 第3節 米国における依存性ジレンマ(Ochs & Izquierdo 2009)
 第4節 「思いやり」の実践
    1 養育者による行為指示:直接―間接性の次元
    2 養育者の行為指示に対する子どもの応答
    3 日本の養育者―子ども間相互行為における文化的な特徴の再検討
 第5節 まとめ
 ■第6章についてのQ&A

第7章 感情
 第1節 小説における感情
 第2節 感情研究における4つのアプローチ
 第3節 間主観性(intersubjectivity)の基盤としての感情
    1 初期音声コミュニケーションの研究
    2 初期音声コミュニケーションにおける音楽性
    3 サオ・カム(“あやす方法”)
    4 IDSの詩化
    5 初期音声コミュニケーションと感情
 第4節 会話に用いられる感情語彙
    1 東アジアにおける「恥」の文化
    2 日本語のCCIにおける「恥ずかしい」
    3 「恥」の文化論再考
 第5節 まとめ
 ■第7章についてのQ&A

第8章 結論にかえて
 第1節 各章のまとめ
 第2節 心的カテゴリーの脱構築
 第3節 文化的実践,慣習,社会制度
 第4節 フィールドワークの魅惑
 第5節 おわりに

 引用文献
 人名索引
 事項索引

装幀=新曜社デザイン室
装画=高田 明

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