21世紀の文化人類学

世界の新しい捉え方

『文化を書く』の批判,グローバル化による「未開」の消失などを乗り越えて甦る新世紀の文化人類学。そのパラダイムシフトの認識=存在地図を,超越論的,不可量部分,生成変化,存在,レジリエンス,リスクなどの新鮮なキーワードで描出。
21世紀の文化人類学――目次

はじめに

序章 「人類学的」とはどういうことか  (前川啓治)
  超越的・超越論的  「文化」の客体化
  コラム 「超越的」と「超越論的」の変遷
  超越論的展開  過去から未来へ生成する人類学
  コラム クック船長の死

 Ⅰ部 自然・存在・イメージの生成

1章 人格と社会性  (深川宏樹)
  人間の概念  変容可能性
  構造と機能  人間社会の自然科学
  身体とサブスタンス  生殖=再生産の「事実」からの解放
  社会性  切断=拡張する思考
  コラム マリリン・ストラザーンとの対話――研究現場での「部分的つながり」

2章 アクターネットワーク理論以降の人類学  (浜田明範)
  アクターネットワーク理論  科学と政治が絡まり合いながら変化する世界を探る
  存在論的  具体的なものを通して反・自文化中心主義を深める
  ポストプルーラル  二つ以上のものが互いに別個に存在していると言えないこと
  疾病/病い  文化の複数性からポストプルーラルな自然へ
  生物学的市民  生物学的なステータスが駆動する政治

3章 「歴史」と「自然」の間で――現代の人類学理論への一軌跡  (里見龍樹)
  歴史人類学  「文化」を問い直す
  カーゴ・カルト  〈新しいもの〉をとらえる
  コラム 想起されるマーシナ・ルール
  景観  「歴史」と「自然」の間で
  「自然/文化」をめぐる人類学  南アメリカにおける展開
  「人間」を超える人類学  可能性の探究

 Ⅱ部 実践―生成する世界へ

4章 公共性  (木村周平)
  「表象の危機」その後  『文化を書く』からの展開
  公共性  関与・介入・貢献
  災害  脆弱性とレジリエンス
  リスク  未来の予測可能性をめぐって
  エスノグラフィ  知の創造と活用

5章 運動と当事者性――どのように反差別運動に参加するのか  (根本達)
  アイデンティティ・ポリティクス  不確実な世界における暴力的な対立
  被差別者と人類学  差別に抗する、差別から逃れる
  生活世界の声  動態的で輻輳的なそれぞれ
  寛容の論理  等質でないものの?がり
  生成変化の政治学  当事者性を拡張する

 Ⅲ部 社会科学と交差する人類学

6章 持続可能性と社会の構築――ハイブリッドな現実の社会過程の多元的な分析の必要性  (三浦敦)
  合理的個人  合理的には見えない個人の行動を、合理的に説明する
  家族制生産とグローバル経済  なぜ資本主義経済において小規模家族制生産は維持され続けるのか
  多元的法状況における所有  「ものを所有する」ということは、自明なことではない
  コモンズ  自然環境を守ること、それはわれわれの生活を守ること
  開発  大資本の手先か住民の味方かという、不毛な二元論を超えて
  アソシエーションと社会的連帯経済  連帯はどのように可能なのか、連帯は人々を救えるのか
  コラム 十九世紀のフランス農村と文化人類学の前史

終章 過去・現在・未来  (箭内匡)
  文化人類学の現在と過去  人類学は今、どこにいるのか
  「外」  人類学的思考を貫く本質的要素とは何か
  不可量部分  人類学者がフィールドで出会うものとは?
  イメージ  フィールドの現実を新たな目で捉えなおす
  時間  未来の人類学に向かって思考の軸をずらしてみる

あとがき
引用文献
事項索引
人名索引

  装幀=加藤光太郎

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