原爆の記憶を継承する実践

長崎の被爆遺構保存と平和活動の社会学的考察

著者 深谷 直弘
ジャンル 環境・震災・都市・地域社会
出版年月日 2018/04/20
ISBN 9784788515796
判型・ページ数 A5・256ページ
定価 3,850円(本体3,500円+税)
在庫 在庫あり
長崎の平和祈念像・浦上天主堂廃墟・城山小を初めとする被爆遺構はどのように建立・解体・保存されたのか。被爆体験のない市民や若者がなぜ平和活動に力を尽くすのか。被爆者調査と記憶研究を接続し「記憶継承の等高線モデル」を提唱して途をひらく。
原爆の記憶を継承する実践――目次

序章 原爆の記憶をどのように継承するのか――問題の所在と研究方法
1 問題の所在
2 対象──なぜ1つの都市を対象とするのか
3 長崎原爆と長崎市
4 研究のスタート地点と立ち位置
5 調査の概要と本書の構成

第・部 原爆の記憶 長崎の被爆遺構の保存と解体

第1章 〈原爆〉へのアプローチ――社会学における被爆者調査の系譜と記憶研究との接続
1 久保良敏・中野清一の調査──初期の被爆者調査
2 リフトンの精神史調査と慶応・一橋・原医研調査
3 被爆者調査から原爆の記憶研究へ

第2章 記憶空間としての長崎――〈平和公園〉の形成と原爆資料館の展示,旧浦上天主堂保存をめぐるポリティクス
1 爆心地周辺の記憶空間の形成
2 長崎原爆資料館と展示論争
3 旧浦上天主堂廃墟の保存をめぐる論争
4 長崎における記憶空間の形成

第3章 城山小学校被爆校舎の保存とその活用
 ――被爆遺構の保存と記憶の継承
1 モノと記憶の関係
2 被爆遺構の解体から保存・活用へ
3 被爆遺構保存の経緯──山王神社二の鳥居と立山防空壕
4 城山小学校被爆校舎の一部保存──経緯と始まり
5 城山小学校被爆校舎の保存運動
6 平和祈念館の設置と開館──保存から活用へ
7 〈原爆〉を想起・記憶する場所の力

第4章 新興善小学校校舎の解体とその活用――被爆遺構の解体と記憶の継承
1 救護所となった新興善小学校
2 新興善小学校校舎の保存問題
3 現物保存派の論理──新興善救護所跡を保存する市民連絡会の主張
4 再現展示派の論理──校区住民の主張(1)
5 「小学校」のもつ意味──中央3小学校統廃合問題と校区住民の主張(2)
6 「救護所メモリアル」の再現展示
7 被爆遺構の保存と記憶の継承

第・部 継承実践としての平和活動 証言・ガイド・署名

第5章 原爆記憶の継承と市民運動――「長崎の証言の会」・爆心地復元運動・継承活動への政治的規制
1 証言運動──「長崎の証言の会」の活動
2 原爆被災復元運動――爆心地周辺の地図を復元する調査活動
3 慰霊行為としての爆心地復元運動
4 「原爆は原点ではない」――行政による公教育への規制
5 語り部への政治的発言自粛要請
6 長崎における継承実践と政治的規制が示すもの

第6章 平和ガイド活動と戦争の記憶――平和案内人の生活史と原爆記憶の継承実践
1 戦争記憶の継承実践に関する研究
2 長崎における平和ガイド活動
3 平和案内人の生活史とガイドの継承実践・──Tさんの場合
4 平和案内人の生活史とガイドの継承実践・――Mさんの場合
5 平和案内人の継承実践

第7章 高校生1万人署名活動──若者と原爆記憶の継承実践
1 被爆地長崎の平和運動と高校生1万人署名活動
2 高校生1万人署名活動の特徴
3 聞き取り調査の概要と参加者のプロフィール
4 署名活動参加者の生活史と継承実践・──Cさんの場合
5 署名活動参加者の生活史と継承実践・──Dさんの場合
6 高校生1万人署名活動参加者の継承実践

終章 日常の生活空間と原爆記憶の継承
1 長崎における記憶空間と継承実践の特徴
2 〈原爆〉の社会学的研究と本書の位置づけ
3 原爆記憶における「継承」とは何か

あとがき
参考文献
長崎市の被爆建造物等ランク付一覧表
図表一覧・人名索引・事項索引

装幀 鈴木敬子(pagnigh-magnigh)
組版 武 秀樹/図版制作 谷崎文子

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