利己的細胞

遺伝子と細胞の闘争と進化

著者 帯刀 益夫
ジャンル 科学・科学論
出版年月日 2018/04/05
ISBN 9784788515772
判型・ページ数 4-6・288ページ
定価 2,860円(本体2,600円+税)
在庫 在庫あり
細胞は,利己的遺伝子に操られたロボットなのか?利己的なのは,生存のためゲノムを操作する「細胞」であり,生き物は,遺伝子と細胞が相克しあいながら死を賭して生きている細胞進化の歴史から見えてきた,遺伝子と細胞の関係の新しい理解。
利己的細胞――目次

はじめに

第1章 利己的遺伝子と乗り物の戦い
 「遺伝子」と「細胞」とは
 「利己的遺伝子」と「乗り物」とは
 典型的な利己的遺伝子としての多剤耐性因子
 プラスミドは利己的遺伝子として振る舞う
 バクテリオファージは利己的遺伝子として振る舞う
 細菌の兵器となってゆく利己的遺伝子
 細菌の防衛型兵器
 細菌の資源争いの平和的解決
 栄養不足が決める細菌の運命

第2章 利己的遺伝子が進めた細菌の遺伝子進化
 細菌の進化の歴史
 遺伝子進化の全貌から見た、細菌の進化を進めた要因
 遺伝子の水平伝搬が細菌のゲノム進化の推進力
 「赤の女王」仮説にしたがう海洋細菌とファージの共進化
 腸内での細菌と、ファージの集団的な互恵関係
 細菌世界の進化のまとめ

第3章 真核細胞の出現
 真核細胞の特徴
 真核細胞出現のシナリオ
 ミトコンドリアがもたらした、真核生物のエネルギー革命
 染色体と核の成立
 ・型イントロンが導いた真核細胞の成立
 利己的遺伝子が誘導した、真核細胞成立のシナリオ
 まだ続いている、利己的遺伝子と真核細胞との戦い
 多細胞体系への進化

第4章 真核細胞の寿命と死
 個体発生における細胞の増殖のしくみ
 「細胞の競争」という細胞間の利己的争い
 体細胞には細胞寿命がある
 アポトーシスは、動物細胞の「自殺」
 細胞死の誘導のしくみ
 動物ウイルスも宿主細胞の自殺装置を利用する
 なぜ、ミトコンドリアはアポトーシスとかかわりがあるのか
 真核細胞と細菌の自殺装置はよく似ている
 自殺装置の進化は「葉隠」の精神に通じる

第5章 動物細胞の利己性
 永遠に生きる生殖細胞は利己的か
 生殖細胞と体細胞は互換性がある
 精子の利己的選択
 脳(神経)細胞は利己的か
 がん細胞は利己的か
 利己的細胞として永遠に生きる伝染性がん細胞
 人間が作りだした利己的細胞たち

第6章 人間が「利己的遺伝子」を操る時代
 「ゲノム編集」という新たな武器
 マラリアを撲滅する計画
 人間は、「利己的遺伝子」は作れるが、「乗り物」は作れない

第7章 始原細胞はどのようにして創られたか
 始原細胞は設計図なしに創られた
 始原細胞は「遺伝子」と「乗り物」だけで自立増殖を始めた
 始原的「乗り物」は、それ自体で成長と分裂をくりかえす
 始原的な遺伝子はRNAだった
 始原細胞誕生のシナリオ
 始原細胞の遺伝子数は、どれくらい必要だったのか

第8章 「利己的遺伝子」仮説から「利己的細胞」仮説へ
 これまでのまとめ
 「利己的遺伝子」の科学的実体
 増殖機械を規定する利己的遺伝子の実体を解明する研究
 「細胞」は「利己的遺伝子」を乗せた「増殖機械」
 「利己的遺伝子」と「統合進化学説」
 遺伝子型と表現型の対応関係
 「ブリコラージュ」と「エンジニアリング」
 生物進化における選択圧は、生き物のどの水準ではたらくか
 利己的なのは遺伝子ではなくて、細胞である

エピローグ
 今、地球上の生き物たちは
 そして、われわれは

あとがき
用語解説
参考文献

  装幀=新曜社デザイン室

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