日本の心理療法 国際比較篇

著者 秋田 巌
名取 琢自
ジャンル 心理学・認知科学・臨床 > 臨床
出版年月日 2017/09/07
ISBN 9784788515307
判型・ページ数 A5・224ページ
定価 3,080円(本体2,800円+税)
在庫 在庫あり
東洋的な価値観との精神的な融合を探求し続けたユング,欧州に長年在住した日本人の心理療法家,来日し仏門に入ったアメリカ人の心理療法家など,さまざまな心理臨床的異文化体験の比較を通じ,日本の心理療法場面における「局所性」を明らかにする。
日本の心理療法 国際比較篇――目次

はじめに(各篇共通)


国際比較篇――風土・物語・局所性

第一章 分析心理学における東洋と西洋の出会い
     ――国際的な視点から  ポール・クーグラー
 ●分析心理学初期の歴史 ●ブルクヘルツリ精神科クリニック ●ピエール・ジャネと心理分析
 ●実験精神病理学研究所 ●ジークムント・フロイトと国際精神分析学会 ●ユングの自己実験――赤の書
 ●アクティブ・イマジネーション――ポスト植民地時代的臨床解釈学 ●自己――心の宇宙の中心
 ●東洋思想との対話を開く ●エラノス――国際的視点

第二章 心理療法における「美的なもの」について  樋口和彦
 はじめに
 本論文の基本的な論点について
 基本的に「東」とは何を意味するか?
 箱庭療法(Sandspiel Therapie)のわが国への導入について
 なぜ河合隼雄は箱庭療法と訳したか?
 心理療法における美的基準について
 エラノス会議のテーマについて再考する
 絶対性・絶対的人格神の理解の重要性について
 イメージの遊び

第三章 日英「暮らしの文化」比較――心理臨床家の一考察  佐山菫子
 「ふるさと」の発見
 文化とは何か
 ロンドンでの暮らし
 英国とは何か
 英国の成り立ち
 日本とは何か
 ロンドンに暮らす日本人
 おわりに

第四章 歎異抄、昔話、近代文学、そして分析  ウルスラ・ヴァイス
 はじめに
 導入について
 ●浄土真宗における教えの継承 ●分析心理学における教えの継承 ●導入段階の「長い眠り」
 「門」が意味するもの
 ●移行と変容 ●自我からの解脱 ●門に入る葛藤 ●門を抜ける困難 ●門を見つけること
 おわりに――漱石の『門』

第五章 日本体験の再発見
     ――海外の心理臨床家との出会いを通して  名取琢自
 「信じる」ことの三つの層
 西洋の心理療法家の印象
 ●「大人」―「子ども」バランスの安定性と融通性(やわらかく、厳しく生きている)
 ●率直さ・直接性(さほど裏を読まなくてよい) ●信念――芯の感触(「私」をもっている)
 ●理性(言語)への信頼(議論できる) ●「存在するもの」への視線(見えるものへのまなざし)
 ●東洋的なものや異文化の尊重
 日本の心理療法での人間関係とコミュニケーション
 ●「大人」―「子ども」の振れ幅と堅さ ●婉曲・間接性(裏を察すること)
 ●「信念」への不信(「私」を通すことの不安) ●感情の影響(根に持ちやすさ)
 ●「見えないもの」への視線(イメージの奥へのまなざし) ●東洋的なものの当然視(「甘え」)
 おわりに――シェリー・シェパード氏の論考を参照して

第六章 国際的に見た日本の心理療法
     ――二〇一一・九・二三会議によせて  シェリー・蓮夢・シェパード
 「縁」の感覚
 繊細さ
 守秘の「器」
 スピリチュアル・タイプ

第七章 西洋のサイコセラピーと東洋の心性
     ――認知行動療法の歴史的変遷を通して考える  遊佐安一郎
 はじめに――日本での心理療法
 欧米のサイコセラピーの傾向
 認知行動療法――その三つの波
 ●第一の波――行動療法 ●第二の波――認知療法・認知行動療法 ●第三の波――従来の認知行動療法を超える新しい波
 西洋のサイコセラピーと日本の心理療法

第八章 日本的風土と精神科医療の出会い  吉村夕里
 はじめに
 風土との出会い
 ●政策転換と法整備の時代 ●運動体の葛藤と精神科リハビリテーションの隆盛 ●愛憎の風土
 精神科医療をめぐる時代の地理や政治や文化
 ●格差の存在 ●共同体に生きる人々 ●医療中断者たちへのアプローチ ●共同体の新参者と共同体から出立する人たち
 日本的風土に精神科医療が与えたもの
 おわりに

おわりに
事項索引
人名索引

  装幀=虎尾 隆

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