少子化時代の「良妻賢母」

変容する現代日本の女性と家族

なぜ日本の女性は結婚・子育てに前向きになれないのか? 政府の家族政策を歴史的に概観しつつ,現代の母親たちの考え方・行動パターンを詳細なインタビューを通して分析。「良妻賢母」イメージ,子育て観の変遷を女性の視点から浮き彫りにする。

◆書評
2014年8月10日、日本経済新聞
2014年10月12日、朝日新聞、水無田気流氏評
少子化時代の「良妻賢母」――目次

    緒 言

 第一部

1章「良妻賢母」― 文化的な文脈のもとでの子育てと家庭生活
 日本の母親は主観的には何を経験しているのか?
 良妻賢母とは何か?

2章 研究の時間的・空間的な位置づけ
 女性の声を聴く
 本研究の行われた地域の状況
 大阪の家族の現状

 第二部

3章「賢母」とは
 19世紀日本の家族と子育て
 近代の子育ての営みの変化
 「良母」はわが子を遠くから見守る
 「良母」は子どもとのかかわり方を知っている
 「良母」は感情的にならずに子どもを導く
 母親がかかわれるのはどこまでか
 結 論

4章 反省 ― 自己省察のプロセス
 反省がもつ複数の意味
 不安からのあがきか冷静な省察か
 母親として自信のある分野とない分野
 よいコミュニケーションを確立し肯定的な感情で結びつくことの難しさ
 感情をコントロールし続けることの難しさ
 子どもの学業をサポートすることの難しさ
 学業のサポートに対する母親の自己評価に起きる変化
 結 論

 第三部

5章 子ども時代の記憶
 恐れられる父親と沈黙する父親
 温かい、気遣いのある父親とともに育つ
 母親との初期の関係 ―支持と保護
 成人して幼児期と折り合いをつける
 結 論

6章 夫たち ― 重要なパートナーか、周辺の他人か?
 現代の父親の家庭内活動への関与
 結婚生活への視点 ―怒りと幻滅
 なぜ不幸せな結婚生活にとどまるのか?
 満足できる結婚生活の要件
 夫からのサポートと妻の子育て効力感
 結 論

 第四部

7章 しつけ ― 子育ての秘訣
 しつけの歴史的な意味
 よい子とは? 社会的感受性への変わらぬ関心
 自立をうながしながら依存の欲求を受け入れること
 母親はどのようなしつけの方法を用いているのか?
 適切な行動の必要性を理解させること
 誰が助けてくれるのか? 夫、親、姑、友人の役割
 結 論

8章 子どもの学校教育への母親の関与
 近代日本における学校教育
 学校教育をサポートする母親の役割
 学校教育への親の関与と社会階層
 調査結果からわかる学校教育に対する親の願い
 親の自信は子どもの学校教育への関与と関係があるか?
 なぜ日本の母親は子どもに高い願望をもたないのか?
 学業について否定的な経験をし、子育ての自己効力感が低い順子の場合
 学業について肯定的な経験をもち、子育ての自己効力感も高い美由紀の場合
 例外的なパターン ―浅子と千尋
 結 論

9章 仕事と家庭生活のバランスをとる
 戦前日本の女性労働者 ―家庭生活よりも生産性
 戦後期における女性と職業 ―家事志向への移行
 女性から見た働くことの利点
 M字型曲線の人生
 夢をあきらめる ―美由紀の学校と職場の物語
 職と刺激を求めて ―千尋の場合
 若いときの夢と両親からのさまざまなサポート
 仕事上の人間関係を良好に維持することの難しさ
 退職すべき時を「決意させる」家族と雇用者からの圧力
 職場に戻って
 仕事をもつ母親の方がよい母親か?
 結 論

10章 女性と家庭生活 ― イデオロギー、経験、行為主性
 子育ての文化モデル ―母親に求められる高い基準
 社会からの支援と批判の役割
 家族に影響する制度的要因 ― 学校と職場からの要求
 母親支援を模索する実践家たちへの示唆
 文化心理学への理論的示唆
 自己効力感理論への示唆
 日本の出生率低下に関する政策への示唆

訳者あとがき
付録B
付録A
引用文献
事項索引
人名索引

同じジャンルの商品

SHOPPING ご注文

定価4,070円
(本体3,700円+税)

カートに入れる

SHARE シェアする

このエントリーをはてなブックマークに追加
  • webマガジン クラルス

  • 新曜社通信

  • 質的心理学研究シリーズ

  • 『心理学ワールド』のご案内

  • GRIP関連資料

  • 自己の科学は可能か

お知らせ

もっと見る

お知らせ

『発達障害の就労とキャリア発達』、2023年度日本コミュニティ心理学会出版賞受賞 - 2024.03.25

書評・メディア

『生ける死者の震災霊性論』が読売新聞で紹介されました - 2024.03.08

イベント

4/21(日)オンライン講座:脳・身体・ナラティブから見る「自己の科学」 - 2024.02.27

お知らせ

Web連載『自己の科学は可能か』出版記念シンポジウムの現場から(1/23公開) - 2024.01.23

イベント

『自己の科学は可能か』刊行記念シンポジウム開催(終了) - 2023.12.22

お知らせ

烏谷昌幸 著『シンボル化の政治学』が第41回政治研究櫻田會奨励賞を受賞しました - 2023.12.22

書評・メディア

『災害の記憶を解きほぐす』書評が『小説新潮』本の森コーナーに掲載されました - 2023.12.15

お知らせ

受賞のお知らせ 清水亮著『「予科練」戦友会の社会学』 - 2023.09.22

お知らせ

『「予科練」戦友会の社会学』が日本社会学会第22回奨励賞〈著書の部〉を受賞 - 2023.09.22

イベント

9/17日本心理学会第87回大会企画シンポジウム[IS-019]来場者特典 - 2023.09.07

イベント

11/19オンライン講座:認定心理士のキャリア発達とは? - 2023.09.07

イベント

10/8オンライン講座:親の声、子どもの声、社会の視点から考える 離婚の心理支援 - 2023.08.31

書評・メディア

『細胞はどう身体をつくったか』の自著紹介が『日本農業新聞』に掲載されました - 2023.07.20

お知らせ

『社会学で読み解く文化遺産』が2023年度観光学術学会「教育・啓蒙著作賞」を受賞 - 2023.07.12

書評・メディア

『災害の記憶を解きほぐす』書評が『神戸新聞』に掲載されました - 2023.06.15

書評・メディア

『6歳と3歳のおまけシール騒動』書評が朝日新聞に掲載されました - 2023.06.12

書評・メディア

『「英語脳」vs.「日本語脳」』書評が『 英語教育』に掲載されました - 2023.06.09

書評・メディア

『「英語脳」vs.「日本語脳」』書評が掲載されました - 2023.06.09

イベント

ご案内 本屋B&B 『2ちゃん化する世界』関連イベント - 2023.06.06

お知らせ

秋田喜美著『オノマトペの認知科学』、宮地裕日本語研究基金学術奨励賞 受賞 - 2023.06.02

書評・メディア

『災害の記憶を解きほぐす』が『毎日新聞』で紹介されました - 2023.05.11

書評・メディア

『2ちゃん化する世界』書評が『世界』6月号に掲載されました - 2023.05.09

書評・メディア

『残留兵士の群像』が日刊ゲンダイDIGITALで紹介されました - 2023.04.27

書評・メディア

『6歳と3歳のおまけシール騒動』書評が毎日新聞に掲載されました - 2023.04.25

書評・メディア

『2ちゃん化する世界』が埼玉新聞で紹介されました - 2023.04.24

書評・メディア

『離婚を経験する親子を支える心理教育プログラムFAIT』汐見稔幸先生の書評を掲載 - 2023.04.20

お知らせ

『質的心理学研究 第22号』掲載の論文取り下げについて - 2023.04.18

書評・メディア

『災害の記憶を解きほぐす』が「読売新聞」で紹介されました - 2023.04.12

書評・メディア

『6歳と3歳のおまけシール騒動』がサンデー毎日で紹介されました - 2023.04.10

書評・メディア

『6歳と3歳のおまけシール騒動』書評が日本経済新聞に掲載されました - 2023.04.10

書評・メディア

『6歳と3歳のおまけシール騒動』が週刊文春「文春図書館」コーナーで紹介されました - 2023.04.06