摂食障害の語り

〈回復〉の臨床社会学

著者 中村 英代
ジャンル 社会学 > ナラティヴ
出版年月日 2011/10/10
ISBN 9784788512511
判型・ページ数 4-6・320ページ
定価 3,520円(本体3,200円+税)
在庫 在庫あり
人々は摂食障害からどのように回復しているのか? やめられないダイエット,止まらない過食から立ち直った18人の語りから,発症から回復までの全過程と,病いの解決主体としてのストーリーを追いかける。希望と解放に向けた本格的ナラティブ臨床研究。
摂食障害の語り――目次



まえがき

序章 回復者の語りを聴くこと
1 摂食障害とは
2 回復への着目
3 語りへの着目
4 調査者のポジショナリティ
5 調査の概要

第1章 摂食障害はどのようにとらえられてきたか
1 「摂食障害」の語られ方

2 原因としての個人
3 原因としての家族
4 原因としての社会
5 〈回復〉の臨床社会学
6 〈回復〉をめぐる先行諸研究

第2章 人々はどのようにして摂食障害になるのか――発症過程の考察
1 痩せたい気持ちはどこからくるのか
2 自己コントロールはいつから始まるのか
3 過食は「病理」ではない
4 心身二元論と自己コントロール

第3章 自己否定はどこからくるのか――維持過程の考察
1 「自分はだめだ」という思い
2 ダイエット行動の悪循環

第4章 一八名の回復者の語り――回復過程の考察
1 人々は摂食障害からどのように〈回復〉しているのか
2 受容と〈回復〉
回復者のグループ・ミーティング―Aさん(女性/23歳/過食・嘔吐/約9年)
教会と罪の贖い―Bさん(女性/26歳/過食・嘔吐/約13年)
35キロの宗教の終わり―Cさん(女性/21歳/拒食・過食/約6年)
やってること自体を許すこと―Dさん(女性/34歳/過食・嘔吐/約8年)
おにぎり・生徒・共同体―Eさん(女性/46歳/拒食/約2年)
暗い部分も消してはいない―Fさん(女性/30歳/過食・嘔吐/約11年)
美容整形を転機に―Gさん(男性/28歳/拒食・過食・嘔吐/約6年)
自給自足の自己肯定―Hさん(女性/35歳/過食・嘔吐/約4年)

3 食生活の改善と〈回復〉
転職と食事訓練―Iさん(女性/23歳/拒食・過食/約3年)
規則正しく、かつ残さない―Jさん(男性/26歳/過食・嘔吐/約3年)
三食食べれば治る―Kさん(女性/36歳/過食/約12年)
回復者の体験記を読んで―Lさん(女性/26歳/過食・嘔吐/約8年)
治ると思い込む―Mさん(女性/34歳/過食・嘔吐/約15年)


4 過食・嘔吐がなくなった後も続く苦しさと〈回復〉
いまのままでいい―Nさん(女性/29歳/過食/約7年)
手ぶらの幸福―Oさん(女性/26歳/過食・嘔吐/約8年)
テレビ・ゲームは両手がふさがる―Pさん(女性/28歳/過食/約4年)
居心地のいい場所―Qさん(女性/24歳/過食・嘔吐/約4年)
価値/無価値という二極対立から抜ける―Rさん(女性/30歳/過食・嘔吐/約10年)

第5章 回復をはばむ物語、回復をもたらす物語――病いの経験への意味づけ
1 Lさんの事例を中心に
2 回復をもたらす物語
3 摂食障害と言説環境

第6章 「分析される人」から「解決する人」へ――回復体験記の考察
1 「食べれば治る」という語り
2 回復者自身の解釈
3 「解釈権/解決権」の獲得
4 解釈をめぐる政治

終 章 過渡的なプロジェクトとしての〈回復〉論
1 生きられた〈回復〉の物語
2 「還元モデル」から「相互作用モデル」へ
3 自分自身のヴォイスとは―「解釈権/解決権」を考える
4 主体性と自己責任

あとがき―「闘わない社会学」へのプロローグ

資料・参考文献
事項索引・人名索引

装幀 大橋一毅(DK)

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