『発達障害の就労とキャリア発達』、2023年度日本コミュニティ心理学会出版賞受賞 - 2024.03.25
フィールドワークの技法
問いを育てる,仮説をきたえる
著者 | 佐藤 郁哉 著 |
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ジャンル | 社会学 心理学・認知科学・臨床 > 概論・研究法 |
出版年月日 | 2002/02/22 |
ISBN | 9784788507883 |
判型・ページ数 | A5・400ページ |
定価 | 3,190円(本体2,900円+税) |
在庫 | 在庫あり |
◆書評
2002年3月下旬号、出版ニュース
2002年4月12日、週刊読書人、好井裕明氏評
2003年4月号、地理
はじめに
謝 辞
用語解説
第Ⅰ部 方法篇
第1章 暴走族から現代演劇へ――体験としてのフィールドワーク
対象(者)との出会い
矯正施設における聞きとり調査
暴走族についての民族誌的調査(エスノグラフィー)
現代演劇のフィールドワーク
方法・技法の模索
「黒い報告書」から民族誌的リサーチへ
リサーチツールの開発
語り口の変化
混成ジャンルとしての民族誌
語り口と読者のタイプ
フィールドワーカーのスタンス
結 論
第2章 他者との出会いと別れ――人間関係としてのフィールドワーク
アクセス
少年院――フォーマルな組織の場合
ツテをたどる/調査報告書のイメージ/フィールドワーカーの邪魔者性/交際範囲を拡げる/
問題関心の推移と施設調査の限界
暴走族・右京連合――自然発生的な集団の場合
セイコとの出会い/初期のアクセスにおける失敗/エイジとの出会い/
制度的関係とネットワーク的関係
まとめ
役割関係
インフォーマントとラポール
自己紹介と印象のマネジメント/友人としてのインフォーマント/
師匠としてのインフォーマント
参与観察
「フィールドワーク」の二つの意味/役割関係のタイプ
異人性とストレス
第三の視点
人間関係とストレス
オーバーラポールの問題/フィールド日記の効用
結 論
第3章 「正しい答え」と「適切な問い」――問題構造化作業としてのフィールドワーク
問題解決から問題発見へ
暴走族――比較的順調に問題の構造化が進んだケース
少年院調査での思いつき(初発の問題関心)/ジャーナリスティックな本の功罪/
リサーチクェスチョンの明確化/先行研究の検討と文献リストの効用/
現場でリサーチクェスチョンを組み立てる/民族誌執筆と最終的な問題設定
現代演劇――大幅な「仕切直し」があったケース
敗因分析レポート/時間的余裕/仕切直し――問題設定の変更/
初戦における敗退とリターンマッチ/調査対象に関する事前知識――現場についての「土地勘」
/理論と研究課題のマッチング
データと仮説の二面性
データの二面性
問題発見のための材料/フィールドワークにおける問題構造化/サーベイにおける問題構造化
仮説の二つの意味
広義の仮説と狭義の仮説/フィールドワークにおける仮説検証法的アプローチ/
問題設定と仮説についての問い
フィールドワークにおける問いと答えの対応
結 論
第Ⅱ部 技法篇
第4章 フィールドノートをつける――「物書きモード」と複眼的視点
フィールドノーツとは何か?
フィールド@ノート@とフィールド@ノーツ@
RASHOMON
『羅生門』課題/学生のフィールドノーツ/佐藤のフィールドノーツ/未来の自分は他人
現場メモをとる
いつどこで書くか――現場メモと役割関係
目ざわりな現場メモ/警戒的反応への対応
何についてどのように書くか――現場メモと「物書きモード」
清書の意味とメモをとる状況/視覚的記憶と聴覚的記憶/物書きモード
フィールドノーツを清書する
いつどこで書くか――忘却とのたたかい
何についてどのように書くか
「フィールドワーク初日」のパニック/日付と時間――出来事と観察行為の基本的な文脈/
フィールドノーツのストーリー性/ フィールドノーツのストーリー性と民族誌の文脈性/
ふたたび物書きモード――現場調査におけるさまざまなテクストと読者
結 論
第5章 聞きとりをする――「面接」と「問わず語り」のあいだ
問わず語りに耳を傾ける――インフォーマル・インタビュー
暴走族取材における失敗――「面接」と「インタビュー」のあいだ
面接とネクタイ/面接とインタビューの効率性/インタビューと現場観察
ウィリアム・ホワイトの失敗――「インタビュー」と「問わず語り」のあいだ
ホワイトの「失言」と方向転換/問わず語りの効用
インフォーマル・インタビューとは何か?
聞きとりのタイプと問題の構造化/インフォーマルな聞きとりと役割関係
インフォーマル・インタビューの記録法と注意点
フィールドノーツによる記録/直接話法と間接話法/信頼関係への配慮
あらたまって話を聞かせてもらう――フォーマル・インタビュー
下調べをして質問の内容を確定する
無神経な質問/下調べと仮説――「構造化されたインタビュー」の意味/
劇団取材の例(1)――下調べ/劇団取材の例(2)――インタビューひな型
アポイントメントをとる
聞きとりをする
服装・時間/聞き手の人数/質問リストと関連資料/テープレコーダ
聞きとりの内容を記録する
インタビュー記録の種類/テープ起こしと電子小道具/インタビュー記録の整理法
結 論
第6章 民族誌(エスノグラフィー)を書く――漸次構造化法のすすめ
理論とデータの「分離エラー」
「最後のハッタリ」
分離エラーの原因
問いと答えのチグハグな関係
問いと答えの対応/民族誌作成作業の位置づけ
漸次構造化法と「分厚い記述」
漸次構造化法的アプローチ
分厚い記述とトライアンギュレーション
フィールドワーカーの挙証責任/漸次構造化法とトライアンギュレーション
さまざまな書き物(テクスト)の集大成としての民族誌
調査データの分析(1)――わきゼリフ、注釈、同時進行的覚え書き
わきゼリフ(つぶやき)
注釈(コメント)
同時進行的覚え書き(総括ノート)
調査データの分析(2)――コーディングとデータベースの構築
準備作業
コーディング
編集作業としてのコーディング/「天下り式コーディング」と「たたき上げ式コーディング」
/コーディングによるテーマのあぶり出し/
コードの体系化と階層化――オープン・コーディングと焦点をしぼったコーディング
コーディングのための専用ソフトウェア
資料のデータベース化/電子化の効用/アイディアツリーという福音
理論的覚え書き(理論的考察)・統合的覚え書き(総合的考察)・中間報告書
民族誌を読む
文章修業としての読書
シカゴ学派の都市民族誌/文章修業としての読書/ルポルタージュ批評課題/
翻訳書の効用と限界
結 論
注
文献ガイド
事項索引
人名索引
コラム
映画『羅生門』のあらすじ
単語登録機能を利用したフィールドノーツの記録法
実験的異星人課題――記述の分析性