フィールドワークの技法

問いを育てる,仮説をきたえる

著者 佐藤 郁哉
ジャンル 社会学
心理学・認知科学・臨床 > 概論・研究法
出版年月日 2002/02/22
ISBN 9784788507883
判型・ページ数 A5・400ページ
定価 3,190円(本体2,900円+税)
在庫 在庫あり
著者自身のフィールドワーク体験を自己吟味しながら,問題の設定・仮説構成から民族誌の作成まで,現場調査という方法を試行錯誤しつつ進む流れに沿って詳述。マニュアル化できない微妙なニュアンスまで極める「フィールドワークのフィールドワーク」。

◆書評
2002年3月下旬号、出版ニュース
2002年4月12日、週刊読書人、好井裕明氏評
2003年4月号、地理
フィールドワークの技法 目次

はじめに
謝  辞
用語解説

第Ⅰ部 方法篇
第1章 暴走族から現代演劇へ――体験としてのフィールドワーク
 対象(者)との出会い
  矯正施設における聞きとり調査
  暴走族についての民族誌的調査(エスノグラフィー)
  現代演劇のフィールドワーク
 方法・技法の模索
  「黒い報告書」から民族誌的リサーチへ
  リサーチツールの開発
 語り口の変化
  混成ジャンルとしての民族誌
  語り口と読者のタイプ
  フィールドワーカーのスタンス
 結 論

第2章 他者との出会いと別れ――人間関係としてのフィールドワーク
 アクセス
  少年院――フォーマルな組織の場合
    ツテをたどる/調査報告書のイメージ/フィールドワーカーの邪魔者性/交際範囲を拡げる/
    問題関心の推移と施設調査の限界
  暴走族・右京連合――自然発生的な集団の場合
    セイコとの出会い/初期のアクセスにおける失敗/エイジとの出会い/
    制度的関係とネットワーク的関係
  まとめ
 役割関係
  インフォーマントとラポール
    自己紹介と印象のマネジメント/友人としてのインフォーマント/
    師匠としてのインフォーマント
  参与観察
    「フィールドワーク」の二つの意味/役割関係のタイプ
 異人性とストレス
  第三の視点
  人間関係とストレス
    オーバーラポールの問題/フィールド日記の効用
 結 論

第3章 「正しい答え」と「適切な問い」――問題構造化作業としてのフィールドワーク
 問題解決から問題発見へ
  暴走族――比較的順調に問題の構造化が進んだケース
    少年院調査での思いつき(初発の問題関心)/ジャーナリスティックな本の功罪/
    リサーチクェスチョンの明確化/先行研究の検討と文献リストの効用/
    現場でリサーチクェスチョンを組み立てる/民族誌執筆と最終的な問題設定
  現代演劇――大幅な「仕切直し」があったケース
    敗因分析レポート/時間的余裕/仕切直し――問題設定の変更/
    初戦における敗退とリターンマッチ/調査対象に関する事前知識――現場についての「土地勘」
    /理論と研究課題のマッチング
 データと仮説の二面性
  データの二面性
    問題発見のための材料/フィールドワークにおける問題構造化/サーベイにおける問題構造化
  仮説の二つの意味
    広義の仮説と狭義の仮説/フィールドワークにおける仮説検証法的アプローチ/
    問題設定と仮説についての問い
 フィールドワークにおける問いと答えの対応
 結 論

第Ⅱ部 技法篇
第4章 フィールドノートをつける――「物書きモード」と複眼的視点
 フィールドノーツとは何か?
  フィールド@ノート@とフィールド@ノーツ@
  RASHOMON
    『羅生門』課題/学生のフィールドノーツ/佐藤のフィールドノーツ/未来の自分は他人
 現場メモをとる
  いつどこで書くか――現場メモと役割関係
    目ざわりな現場メモ/警戒的反応への対応
  何についてどのように書くか――現場メモと「物書きモード」
    清書の意味とメモをとる状況/視覚的記憶と聴覚的記憶/物書きモード
 フィールドノーツを清書する
  いつどこで書くか――忘却とのたたかい
  何についてどのように書くか
    「フィールドワーク初日」のパニック/日付と時間――出来事と観察行為の基本的な文脈/
    フィールドノーツのストーリー性/ フィールドノーツのストーリー性と民族誌の文脈性/
    ふたたび物書きモード――現場調査におけるさまざまなテクストと読者
 結 論

第5章 聞きとりをする――「面接」と「問わず語り」のあいだ
 問わず語りに耳を傾ける――インフォーマル・インタビュー
  暴走族取材における失敗――「面接」と「インタビュー」のあいだ
    面接とネクタイ/面接とインタビューの効率性/インタビューと現場観察
  ウィリアム・ホワイトの失敗――「インタビュー」と「問わず語り」のあいだ
    ホワイトの「失言」と方向転換/問わず語りの効用
  インフォーマル・インタビューとは何か?
    聞きとりのタイプと問題の構造化/インフォーマルな聞きとりと役割関係
  インフォーマル・インタビューの記録法と注意点
    フィールドノーツによる記録/直接話法と間接話法/信頼関係への配慮
 あらたまって話を聞かせてもらう――フォーマル・インタビュー
  下調べをして質問の内容を確定する
    無神経な質問/下調べと仮説――「構造化されたインタビュー」の意味/
    劇団取材の例(1)――下調べ/劇団取材の例(2)――インタビューひな型
  アポイントメントをとる
  聞きとりをする
    服装・時間/聞き手の人数/質問リストと関連資料/テープレコーダ
  聞きとりの内容を記録する
    インタビュー記録の種類/テープ起こしと電子小道具/インタビュー記録の整理法
 結 論

第6章 民族誌(エスノグラフィー)を書く――漸次構造化法のすすめ
 理論とデータの「分離エラー」
  「最後のハッタリ」
  分離エラーの原因
  問いと答えのチグハグな関係
    問いと答えの対応/民族誌作成作業の位置づけ
 漸次構造化法と「分厚い記述」
  漸次構造化法的アプローチ
  分厚い記述とトライアンギュレーション
    フィールドワーカーの挙証責任/漸次構造化法とトライアンギュレーション
  さまざまな書き物(テクスト)の集大成としての民族誌
 調査データの分析(1)――わきゼリフ、注釈、同時進行的覚え書き
  わきゼリフ(つぶやき)
  注釈(コメント)
  同時進行的覚え書き(総括ノート)
 調査データの分析(2)――コーディングとデータベースの構築
  準備作業
  コーディング
    編集作業としてのコーディング/「天下り式コーディング」と「たたき上げ式コーディング」
    /コーディングによるテーマのあぶり出し/
    コードの体系化と階層化――オープン・コーディングと焦点をしぼったコーディング
  コーディングのための専用ソフトウェア
    資料のデータベース化/電子化の効用/アイディアツリーという福音
  理論的覚え書き(理論的考察)・統合的覚え書き(総合的考察)・中間報告書
 民族誌を読む
  文章修業としての読書
    シカゴ学派の都市民族誌/文章修業としての読書/ルポルタージュ批評課題/
    翻訳書の効用と限界
 結 論


文献ガイド
事項索引
人名索引

コラム
 映画『羅生門』のあらすじ
 単語登録機能を利用したフィールドノーツの記録法
 実験的異星人課題――記述の分析性

関連書籍

同じジャンルの商品

SHOPPING ご注文

定価3,190円
(本体2,900円+税)

カートに入れる

SHARE シェアする

このエントリーをはてなブックマークに追加
  • webマガジン クラルス

  • 新曜社通信

  • 質的心理学研究シリーズ

  • 『心理学ワールド』のご案内

  • GRIP関連資料

  • 自己の科学は可能か

お知らせ

もっと見る

お知らせ

『発達障害の就労とキャリア発達』、2023年度日本コミュニティ心理学会出版賞受賞 - 2024.03.25

書評・メディア

『生ける死者の震災霊性論』が読売新聞で紹介されました - 2024.03.08

イベント

4/21(日)オンライン講座:脳・身体・ナラティブから見る「自己の科学」 - 2024.02.27

お知らせ

Web連載『自己の科学は可能か』出版記念シンポジウムの現場から(1/23公開) - 2024.01.23

イベント

『自己の科学は可能か』刊行記念シンポジウム開催(終了) - 2023.12.22

お知らせ

烏谷昌幸 著『シンボル化の政治学』が第41回政治研究櫻田會奨励賞を受賞しました - 2023.12.22

書評・メディア

『災害の記憶を解きほぐす』書評が『小説新潮』本の森コーナーに掲載されました - 2023.12.15

お知らせ

受賞のお知らせ 清水亮著『「予科練」戦友会の社会学』 - 2023.09.22

お知らせ

『「予科練」戦友会の社会学』が日本社会学会第22回奨励賞〈著書の部〉を受賞 - 2023.09.22

イベント

9/17日本心理学会第87回大会企画シンポジウム[IS-019]来場者特典 - 2023.09.07

イベント

11/19オンライン講座:認定心理士のキャリア発達とは? - 2023.09.07

イベント

10/8オンライン講座:親の声、子どもの声、社会の視点から考える 離婚の心理支援 - 2023.08.31

書評・メディア

『細胞はどう身体をつくったか』の自著紹介が『日本農業新聞』に掲載されました - 2023.07.20

お知らせ

『社会学で読み解く文化遺産』が2023年度観光学術学会「教育・啓蒙著作賞」を受賞 - 2023.07.12

書評・メディア

『災害の記憶を解きほぐす』書評が『神戸新聞』に掲載されました - 2023.06.15

書評・メディア

『6歳と3歳のおまけシール騒動』書評が朝日新聞に掲載されました - 2023.06.12

書評・メディア

『「英語脳」vs.「日本語脳」』書評が『 英語教育』に掲載されました - 2023.06.09

書評・メディア

『「英語脳」vs.「日本語脳」』書評が掲載されました - 2023.06.09

イベント

ご案内 本屋B&B 『2ちゃん化する世界』関連イベント - 2023.06.06

お知らせ

秋田喜美著『オノマトペの認知科学』、宮地裕日本語研究基金学術奨励賞 受賞 - 2023.06.02

書評・メディア

『災害の記憶を解きほぐす』が『毎日新聞』で紹介されました - 2023.05.11

書評・メディア

『2ちゃん化する世界』書評が『世界』6月号に掲載されました - 2023.05.09

書評・メディア

『残留兵士の群像』が日刊ゲンダイDIGITALで紹介されました - 2023.04.27

書評・メディア

『6歳と3歳のおまけシール騒動』書評が毎日新聞に掲載されました - 2023.04.25

書評・メディア

『2ちゃん化する世界』が埼玉新聞で紹介されました - 2023.04.24

書評・メディア

『離婚を経験する親子を支える心理教育プログラムFAIT』汐見稔幸先生の書評を掲載 - 2023.04.20

お知らせ

『質的心理学研究 第22号』掲載の論文取り下げについて - 2023.04.18

書評・メディア

『災害の記憶を解きほぐす』が「読売新聞」で紹介されました - 2023.04.12

書評・メディア

『6歳と3歳のおまけシール騒動』がサンデー毎日で紹介されました - 2023.04.10

書評・メディア

『6歳と3歳のおまけシール騒動』書評が日本経済新聞に掲載されました - 2023.04.10

書評・メディア

『6歳と3歳のおまけシール騒動』が週刊文春「文春図書館」コーナーで紹介されました - 2023.04.06