〈日本人〉の境界

沖縄・アイヌ・台湾・朝鮮 植民地支配から復帰運動まで

著者 小熊 英二
ジャンル 社会学 > 歴史社会学
出版年月日 1998/07/10
ISBN 9784788506480
判型・ページ数 A5・792ページ
定価 6,380円(本体5,800円+税)
在庫 在庫あり
目次
序章
「日本人」の境界変動/「日本」と「植民地」、そして「欧米」/「包摂」と「排除」/「政治の言葉」と「表現されえないもの」


第1章 琉球処分―「日本人」への編入
「国内に人類」への統合と排除/外国人顧問の提言/「日本人」としての琉球人/歴史をめぐる争い
第2章 沖縄教育と「日本人」化―同化教育の論理
旧慣維持と忠誠心育成/「文明化」と「日本化」/歴史観の改造
第3章 「帝国の北門」の人びと―アイヌ教育と北海道旧土人保護法
国境紛争から「日本人」へ/〈日本人の住む土地〉/宣教師の脅威/「漸化」という論理/北海道旧土人保護法の成立
第4章 台湾領有―同化教育をめぐる葛藤
台湾統治の混迷/外国人顧問の同化反対論/「殖民地」か「非殖民地」か/国防重視論と対欧米意識/「日本人」化教育の開始/巻き返す非同化論/「漸進」という折衷形態
第5章 総督府王国の誕生―台湾「六三法問題」と旧慣調査
〈事実上の立法権〉/〈台湾自治王国〉構想/折衷としての「法律でない法律」/議会側の反発/「日本人」の意味/後藤新平の台湾王国化/根拠不明の独裁支配
第6章 韓国人たりし日本人―日韓併合と「新日本人」の戸籍
踏襲された折衷案/「漸進主義」の教育/国籍における排除と包摂/同化言説の完成


第7章 差別即平等―植民地政策学と人種主義
フランス同化主義と啓蒙思想/ル・ボンと同化主義批判の台頭/「生物学の原則」/「自治」と「離隔」/「自主」のジレンマ/二つの差別の間
第8章 「民権」と「一視同仁」―植民地と通婚問題
「一視同仁」の高唱/「植民者民権」の出現/通婚と「日本人」
第9章 柳は翠、花は紅―日経移民問題と朝鮮統治論
錯綜する論壇の統治批判/デモクラットの文明的同化主義/大アジア主義者の分化多元主義/自由主義者の分離主義/「民族問題」隘路
第10章 内地延長主義―原敬と台湾
文明化としての「日本人」/「日本」編入のモデル/総督府の抵抗と「漸進」/頓挫した統治改革
第11章 統治改革の挫折―朝鮮参政権問題
総督府による統治改革/自治か参政権か/〈総督府の自治〉の浮上


第12章 沖縄ナショナリズムの創造―伊波晋猷と沖縄学
沖縄にとっての同化/二重のマイノリティ/防壁としての同祖論/沖縄ナショナリズムと同祖/排除と同かの連鎖/啓蒙知識人として/挫折した沖縄ナショナリズム
第13章 「異身同体」の夢―台湾自治議会設置請願運動
権利獲得としての「同化」/多様性への願望/植民政策学の読み換え/キリスト教徒とアジア主義者/多元的な日本、多元的な台湾/「憲法違反」の限界/引き裂かれた請願運動
第14章 「朝鮮生まれの日本人」―唯一の朝鮮人衆議院議員・朴春琴
「日本人」としての権利/内地在住朝鮮人の参政権/「我等の国家」への屈折/「一視同仁」の壁/虚像の「日本人」
第15章 オリエンタリズムの屈折―柳宗悦と沖縄言語論争
オリエンタリズムとしての「民芸」/沖縄側の猛反発/「西洋人」としての方言擁護/「日本人」の強調/沖縄同化の最終段階
第16章 皇民化と「日本人」―総力戦体制と「民族」
「朝鮮」の否定/民族概念の相対化/平等と近代化の期待
第17章 最後の改革―敗戦直前の参政権付与
境界を揺るがす三要因/遺跡問題の浮上/超えられなかった臨界/「日本人」という牢獄


第18章 境界上の島々―「外国」になった沖縄
「少数民族」としての沖縄人/「琉球総督府」の誕生/「アメリカ人」からの排除/「日本人」であって「日本人」でない存在
第19章 独立論から復帰論へ―敗戦直後の沖縄帰属論争
沖縄独立論とアメリカ観/保守系運動としての復帰/帰属論議の急浮上/揺らぎの中の帰属論
第20章 「祖国日本」の意味―一九五〇年代の復帰運動
人権の代名詞としての「日本人」/親米反共を掲げた復帰運動/日本ナショナリズムの言葉
第21章 革新ナショナリズムの思想―戦後知識人の「日本人」像と沖縄
「アジアの植民地」としての日本/「健全なナショナリズムの臨界」/単一民族史観の台頭/「植民地支配」から「民族統一」へ/民族統一としての琉球処分/非難用語となった「琉球独立論」
第22章 一九六〇年代の方言札―戦後沖縄教育と復帰運動
復興活動としての復帰/方言札の復活/「日の丸」「君が代」の奨励/憧れと拒絶の同居/「祖国は日本か」/政治変動と転換と
第23章 反復帰―一九七二年復帰と反復帰論
琉球独立論の系譜/復帰の現実化/「仮面」への嫌悪/独立論との距離/「否」の思想

結論
後発帝国主義としての特徴/国民国家における包摂/公定ナショナリズム/「脱亜」と「興亜」/分類外の曖昧さ/被支配者の反応/有色の帝国

あとがき

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