『陸軍将校たちの戦後史 』書評が毎日新聞に掲載されました - 2024.04.08
社会の解読力〈文化編〉
生成する文化からの反照
* 狭義の文化に限らず、身体や政治、学問にいたるまで、広義の「文化」を通して、その当時の社会的文脈を逆照射する。
凡例
第1章 振る舞いの近代――背負うという身振りの消失 中筋由紀子
1 背負うという身振りと日本文化
2 身体技法の型
3 背負うという人との関わり
4 負い目をおって生きる
5 背負うという身振りの消失
6 身体技法の近代――選択可能なものとしての身振り
7 自己表現としての近代の身体技法
8 近代の身体技法の孤独と競争
9 終わりにかえて
第2章 宝塚少女歌劇と日本におけるオペラの模索 宮本直美
1 宝塚少女歌劇の始まり――唱歌から歌劇へ
2 宝塚音楽学校と小林の「国民劇」構想
3 オペラの模索
4 実験としての少女歌劇
5 オペラ上演における宝塚少女歌劇の意義
第3章 待つこととメディア――メディアと日常性の再考に向けて 光岡寿郎
1 待つことへの回帰
2 待つことを対象化する
3 待つこととメディア
4 待つことと日常性――無駄の研究としてのメディア研究
第4章 国策映画と動員政治
―― 一九七〇年代韓国における映画統制と生徒の映画団体観覧 鄭仁善
1 序論
2 少年者の映画観覧――国策映画と団体観覧の同盟
3 映画行政の混乱期と目的を失った生徒団体観覧
4 不完全な資源掌握と「安保映画」――国策と利潤の拮抗
5 映画国策化と挫折した団体観覧の制度化
6 国家主義に包摂されない実践としての団体観覧
7 まとめ
第5章 NPOの歴史的位置
――NPO法制定・改正過程における主体性の変遷に着目して 原田峻
1 はじめに――NPOと段階論批判
2 佐藤健二の歴史社会学とNPO
3 NPO法で規定された主体性の七つの特質
4 NPO法改正過程における、市民・情報公開・活動分野をめぐるせめぎ合い
5 おわりに――NPO法という未完のプロジェクト
第6章 栗原彬における言語政治学の構想
――啓蒙的理性からコミュニカティヴな民衆理性へ 出口剛司
1 問題の所在
2 言語政治学の構想と構造
3 管理社会のメカニズム
4 コミュニカティヴな民衆理性へ
第7章 方法としての社会運動論
――佐藤健二の「社会運動研究における「大衆運動」モデル再検討の射程」から 富永京子
1 はじめに
2 佐藤の指摘する大衆運動論・集合行動論の二側面
3 佐藤の提示する「方法的」社会運動論
第8章 尾高邦雄はなぜ職業社会学を維持できなかったか――もうひとつの職業概念に向けて 武岡暢
1 本稿の目的と背景
2 『職業社会学』で提示された構想
3 構想と実践の分岐
4 画期としての調査?
第9章 災害社会学の方法史的検討――山口弥一郎の『津波と村』を事例にして 三浦倫平
1 はじめに
2 日本の災害社会学研究の特質
3 日本の災害社会学の歴史的整理
4 山口の歩みと構想
5 結論
第10章 地方都市社会論の構築に向けて――「伝統消費型都市」概念再考 武田俊輔
1 はじめに――地方都市社会研究の空白
2 「伝統消費型都市」類型と「聚落的家連合」論――都市社会学の失われた分析枠組み
3 全体的相互給付関係を維持させるメカニズム
4 社会的ネットワーク拡大の駆動因としての全体的相互給付関係
5 おわりに――地方都市社会論の構築に向けて
あとがき 出口剛司・武田俊輔
索引
装幀――新曜社デザイン室