社会の解読力〈歴史編〉

現在せざるものへの経路

著者 赤川 学 編著
祐成 保志 編著
ジャンル 社会学
出版年月日 2022/03/19
ISBN 9784788517578
判型・ページ数 A5・248ページ
定価 3,520円(本体3,200円+税)
在庫 在庫あり
今ここに存在しない「歴史」を現前にたぐり寄せ、その多面性を描き出す想像力こそが、実証と向かいあう歴史社会学を前にすすめる動力である――この方法論を共有する著者たちが多様な歴史テーマに挑んだ、オリジナルな研究のフォーラム。

* 過去の史資料を集めるだけでは、歴史の社会学として許されない。素材をもとに、私たちの眼前にひとつの物語として「歴史」を呼び起こすとき、社会学が立ちあがるのだ。
 序に代えて――歴史社会学・再考  佐藤健二
 凡例 

第1章 文書館の政治学――〈啓蒙の装置〉から〈記憶の装置〉へ  葛山泰央
  1 文書館への問い
  2 〈文書の秩序〉と〈郵便的交通〉
  3 「国王封印状」の濫発と王権の動揺
  4 「国民の文書館」の登場と〈文書の共和政〉
  5 〈虚構の身体〉と文書館の警察的機能
  6 文書館とその限界領域

第2章 トラウマの言説史――近代日本は「心の傷」をいかに理解してきたか  佐藤雅浩
  1 はじめに
  2 マスメディアは戦時の精神疾患をいかに報じたか
  3 震災とトラウマ
  4 平時の事故とトラウマ
  5 おわりに

第3章 南ティロルにおけるファシズム/レジスタンスの記憶
     ――解放記念日と凱旋門の顕彰を手がかりとして  秦泉寺友紀
  1 境界地域としての南ティロル
  2 南ティロルにおける「解放記念日」
  3 南ティロルにおける戦間期
  4 凱旋門の顕彰

第4章 戦争体験と「経験」――語り部のライフヒストリー研究のために  清水亮
  1 戦争体験者が語り部に〝なる〟――語りの「場」の歴史性の解読
  2 戦後の生活史における対照的な価値付与
  3 地域で語り部になる
  4 「経験」の可能性

第5章 日本社会論の現在と戦争研究の社会学的可能性  野上元
  1 はじめに――戦争と向き合う社会学
  2 方法――社会記述の方法としての戦争
  3 日本社会論のなかの戦争と軍事
  4 課題の確認と再出発――社会学的に「戦争」を考えるために

第6章 丸山真男の歴史社会学
     ――遥かなる過去から東アジアの近代を見るとき  李永晶
  1 「歴史社会」への丸山のまなざし
  2 「精神構造」から「執拗低音」までの歴史認識 
  3 戦後の民主主義がどうして成功したか? 
  4 「近代の超克」と東アジアの歩み 

第7章 昭和五十年代を探して  高野光平
  1 「昭和三十年代」はなぜ使われるのか 
  2 「昭和五十年代」はなぜ使われないのか 
  3 戦後史はどのように書かれているか 
  4 昭和五十年代史をどう書くか 
  5 おわりに 

第8章 戦前日本における家族社会学前史
     ――『社会学研究室の一〇〇年』を手がかりとして  米村千代
  1 はじめに 
  2 戸田貞三と東京大学社会学研究室 
  3 家族社会学における戸田貞三 
  4 制度論と集団論 
  5 もう一つの研究史へ 

第9章 コミュニティを統治する――ハウジングの社会調査史  祐成保志
  1 はじめに――社会調査とハウジングの遭遇 
  2 計画的コミュニティにおける実験――もう一つの効果研究 
  3 計画的コミュニティとしての日系人収容所――限界状況の社会調査 
  4 社会調査のミクロ社会学――調査という経験の質 
  5 むすび――社会調査は誰のものか 

第10章 歴史社会学の作法の凄み――『流言蜚語』について  赤川学
  1 佐藤社会学の出立
  2 佐藤健二が池内流言資料を読み込むまで――資料の形式・形態分析 
  3 一九八四年論文と一九九五年論文の「差分」 
  4 ミステリーとしての歴史社会学 
  5 佐藤歴史社会学の継承に向けて 

 あとがき  赤川学・祐成保志 
 索引 
         
        装幀――新曜社デザイン室

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