共同注意の発達

情動・認知・関係

著者 大藪 泰
ジャンル 心理学・認知科学・臨床 > 発達・教育
出版年月日 2020/03/31
ISBN 9784788516762
判型・ページ数 A5・276ページ
定価 3,630円(本体3,300円+税)
在庫 在庫あり
1歳に満たない赤ちゃんにも、他者と心の世界を共有しようとする「共同注意」のしくみが生得的に備わっている。何が、どのようにそのプログラムを発現させるのか?新生児期から2歳半までの発達を詳細に追いながら、謎に満ちた人の心の原点に迫る。

・新生児模倣から自他の気づき、指さし、言語の獲得まで
・乳幼児研究者必読!
◆目 次

はしがき
序章 共同注意研究の発端と論点
  第1節 共同注意研究の始まり
  第2節 3人の先駆者たち――ウェルナー・ヤコブソン・ヴィゴツキー
    1 ウェルナーの原初的共有状況論
    2 ヤコブソンの言語的コミュニケーション論
    3 ヴィゴツキーの文化―歴史的発達論
  第3節 共同注意研究の3つの論点
    1 定義と出現の時期
    2 マルチモダリティ 
    3 表象
第1章 共同注意の種類と機能
  はじめに
  第1節 発達段階による分類
    1 バロン・コーエンの分類
    2 熊谷の分類
  第2節 出現形態からの分類
    1 追跡的共同注意
    2 誘導的共同注意
    3 共同注意的関わり
  第3節 感覚様相からの分類
  〈コラム――共同注意と研究パラダイム〉
  おわりに
第2章 前共同注意(誕生後~)――共同注意の基盤をつくる
  はじめに 
 第1節 新生児の身体表現活動
    1 新生児の行動状態
    2 誕生直後の新生児
    3 新生児の泣き
    4 新生児の微笑
    5 新生児の目覚め
    6 覚醒状態の分化
  第2節 新生児の知覚活動
    1 聴覚
    2 視覚 
    3 マルチモダリティ
  第3節 新生児と母親とのコミュニケーション
    1 母親の調律行動
    2 母親の読み取りと寄り添い
  おわりに
第3章 対面的共同注意(生後2か月頃~)――二項関係にひそむ三項関係
  はじめに
  第1節 情動の発達
    1 泣きの組織化
    2 微笑と笑いの組織化 
  第2節 覚醒状態の発達 
  第3節 情動知――情動性と静観性 
  第4節 随伴性と相補性 
    1 自己の世界――自己随伴性と自己感 
    2 物の世界――物随伴性と静観対象
    3 他者の世界――相補性と他者感 
  第5節 母親の生活世界
  第6節 自己・物・他者 
    1 乳児のあお向け姿勢と体験世界 
    2 嫉妬と三項関係 
    3 自他の経験の共通性の理解
  おわりに 
第4章 支持的共同注意(生後6か月頃~)――人から物へ向かう時期 
  はじめに 
  第1節 対面的共同注意から支持的共同注意へ 
    1 対面的共同注意における「物」の位置づけ 
    2 離れた場所にある物への注目 
  第2節 実験的場面での検討 
    1 視線の追跡実験
    2 からかいの実験
    3 手伸ばしと語りかけの実験 
  第3節 日常生活場面での検討
    1 行動カテゴリーの分類――ベイクマンとアダムソン(1984)の観察記録
    2 人への関わりと物への関わり――やまだようこ(1987)の観察記録 
    3 人と物の関係に気づくとき――麻生武(1992)の観察記録 
    4 触覚刺激に焦点をあてて――石島このみ・根ヶ山光一(2013)の観察記録 
  第4節 支持的共同注意の意義 
    1 「意図の気づき」と共同注意の定義をめぐって 
    2 主体としての乳児の気づき 
    3 母親による足場づくりの重要性 
  おわりに 
第5章 意図共有的共同注意(生後9か月頃~)――意図理解と意図共有をともなう「共同注意」
  はじめに
  第1節 意図共有的共同注意の発現と意味
  第2節 視線交替と共同注意
    1 トレヴァーセンとヒューブリーの研究(1978/1989)
    2 カーペンター・ナジェル・トマセロの研究(1998) 
  第3節 追跡的共同注意
    1 視線と指さしの追跡 
    2 障壁パラダイム実験
  第4節 誘導的共同注意
    1 指さし行動の発現 
    2 命令の指さし 
    3 叙述の指さし 
    4 情報提供の指さし
  第5節 視覚対象と聴覚対象への誘導的共同注意(1)
    1 「鯨のぬいぐるみ」実験 
    2 「鳥の鳴き声」実験
    3 鯨のぬいぐるみと鳥の鳴き声場面での注意誘導の比較
  第6節 模倣と共同注意
    1 失敗行動と偶発行動 
    2 抗アフォーダンス模倣 
    3 生命体と非生命体の動作の模倣
  おわりに
第6章 シンボル共有的共同注意(生後15か月頃~)――他者と精神世界を共有する心の働き
  はじめに
  第1節 他者の経験知理解と共同注意 
    1 「実者不在パラダイム」による誤信念課題実験 
    2 日本の乳児による「経験知理解」 
  第2節 合理的模倣と共同注意
    1 「額押し模倣」実験
    2 日本の乳児における「合理的模倣」
    3 乳児期における文化差
  第3節 シンボルと共同注意
    1 身振り
    2 ふり遊び
    3 シンボル遊びと共同注意
  第4節 言語獲得と共同注意
    1 視線検出と語の獲得
    2 意図検出と語の獲得
  第5節 視覚対象と聴覚対象への誘導的共同注意(2)
    1 「鯨のぬいぐるみ」実験
    2 「鳥の鳴き声」実験
  第6節 不在対象の共同注意 
  おわりに
補遺 1・2歳児を対象にした実験実施手順
あとがき / 引用文献/事項索引/人名索引

     装幀 臼井新太郎 
     カバー写真 スズキアサコ

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