エドガー・アラン・ポー

極限の体験、リアルとの出会い

著者 西山 けい子
ジャンル 文学・エッセイ
出版年月日 2020/03/10
ISBN 9784788516694
判型・ページ数 4-6・328ページ
定価 3,520円(本体3,200円+税)
在庫 在庫あり

十九世紀前半の作家でありながら、今なお読者を魅了してやまないエドガー・アラン・ポー。その魅力を、怪奇小説、探偵小説の祖というだけでなく、多様な作品を具体的に取り上げて、常に境界を超出してリアルに出会おうとする現代的作家資質に見出す。

  *ベンヤミン、ジラール、バタイユ、ラカンなどを援用して、その現代的魅力の根源を探る。
  *ヒッチコック、フェリーニなど、ポーの原作やモチーフが使われた映像作品の魅力にも迫る。
    *「第十二章 疫病のナラティヴ――ポー、ホーソーン、メルヴィル」はとくにこの新型コロナ感染の
  
非常事態にあって、じつにポーの恐怖がリアルに迫ってくる章となっております。
    [目次より]
   疫病が語られるフレーム  ポーと象徴としての疫病  ポーの最初期の傑作「影」と死者の声
   疫病から普遍の死へ――「赤死病の仮面」  ホーソーンと歴史としての疫病
   「レディ・エリノアのマント」と伝説としての天然痘  「拒まれた恵み」における疫病と啓蒙
   メルヴィルと病者への共感  差異なき世界の恐怖
  

 *目次*
  
はじめに
     第Ⅰ部 自己と分身
第一章 分身と死――「ウィリアム・ウィルソン」と「群集の人」
   分身──外的実在性と内的つながり  欲望の三角形  隠微なモデル=ライヴァル関係  
   逃れえぬ分身  「群集の人」と分身のモチーフ  群集における相互模倣と一様性  
   群集という集合体の生命  脅かされる自律性
第二章 都市の欲望――「群集の人」と探偵小説の誕生
   ボーと群集、その欲望  ベンヤミンの〈遊民〉と「群集の人」  群集の無気味な一様性  
   探偵小説のレントゲン写真  群集における欲望の相互模倣  ロンドン/ニューヨーク  
   トクヴィルの洞察  群集の心理学から人類学へ  都市の欲望と商品の魅力  
   都市の秘密と探偵の登場  神秘・秘密としての謎  都市の欲望と無気味なもの

     第Ⅱ部 破滅へと誘う力
第三章 黒猫の棲む領界
   開示される極限の秘密  反復されるタブロー  死体の現出する光景  天邪鬼の精神    
  〈世界の外〉からの使者  一体と化す二匹の猫  猫と女  無限の過去の記憶
第四章 生を破壊する力――「告げ口心臓」における不安のありか
   存在論的な戦慄  闇の中の攻防  経験の交換  内と外の相互浸透  生を破壊する力
第五章 フィードラーの〈暗黒の力〉再考――ポーと悪の問題
   フィードラーによるアメリカ文学の系譜  ポーにおける異人種の表象  
   人種の観点からのポーの読み直し 〈暗黒の力〉と悪の問題  〈暗黒の力〉と悪の三類型  
   悪の議論の再考

     第Ⅲ部 生のなかの死、死のなかの生
第六章 妖精のカヌー、地の精の城――ポーの幻想の風景
   夢想を誘う風景  風景庭園  自然を造型する  川旅と幻影の舟  魔法の円環  
   妖精のカヌー  アルンハイムの楽園  存在の消滅と至福
第七章 ポーにおける〈生きられる時間〉
   生きられる時間  溶解体験  〈生きられる時間〉の反転  〈至福〉への指向と〈死〉への指向
   「ベレニス」  エグスの溶解指向  犯人の時間と探偵の時間  生と死のパラドクス
   歯への執着  〈浸透〉が〈侵害〉に変わるとき  
第八章 死なない身体の喜劇――ポーにおける笑いと無気味なもの
   ポーに特徴的な笑い  絞首刑でも死ねない話――「息の紛失」  
   時計塔から転がる目玉――「ある苦境」  「人間離れ」した勇者――「使いきった男」  
   笑いにおける不安・恐怖をかき立てる要素  人間の有限性と笑い  「超人間」が生む笑い

      第Ⅳ部 宇宙へ向かう想像力
第九章 『ユリイカ』における限界の思考――科学の言説と詩の言語
   ポーの展開する宇宙論  〈無限〉の定義  単一なる状態から多なる状態へ
   ふたたび原初の単一へ  『ユリイカ』が「詩」であるために  大文字の真理(Truth)と昇華
   ある宿命の記憶  作品に響く預言の声  われ見つけたり
第十章 空飛ぶ時代の墜落の夢想――「ハンス・プファールの無類の冒険」
   気球の誕生とポーの気球の物語  驚異の旅としての月世界訪問記  〈魅了〉から〈驚異〉へ
   「ハンス・プファール」における〈驚異〉  上昇(飛翔)と落下(墜落)の想像力
   上へ向けて落ちる  「地球の出」(Earthrise)の光景――新たな〈魅了〉へ向かって

      第Ⅴ部 無気味と死をめぐる文化表象
第十一章 ポーと映画
   ゴシック文学からホラー映画へ  アメリカのホラー映画とポー  
   恐怖の魅惑――〈リアルなもの〉との出会い 恐怖の接近――無気味なもの  
   フェリーニの「悪魔の首飾り」  メディアが交差するとき
第十二章 疫病のナラティヴ――ポー、ホーソーン、メルヴィル
   疫病が語られるフレーム  ポーと象徴としての疫病  ポーの最初期の傑作「影」と死者の声
   疫病から普遍の死へ――「赤死病の仮面」  ホーソーンと歴史としての疫病
   「レディ・エリノアのマント」と伝説としての天然痘  「拒まれた恵み」における疫病と啓蒙
   メルヴィルと病者への共感  差異なき世界の恐怖
 
注  あとがき  初出一覧  参考文献  事項索引  人名・作品名索引 

     装幀──虎尾 隆

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