書評ファイルから

小社発行の出版物のうち、各誌書評でお取り上げいただいたものを集めてみました。

書籍をお選びになる際の参考に御覧下さいませ。

また、おとりあげ下さいました評者の先生方、紙誌御担当者さまに深くお礼申しあげます。

2007年12月


『書物の日米関係』(和田敦彦著)

危機に直面する出版産業

小社発行の『書物の日米関係』(和田敦彦著)が、日本経済新聞読書欄「今を読み解く」にて紹介されました。評者は長谷川一氏です。掲載紙、ご紹介くださった先生に深くお礼申し上げます。
「・・・・・・このシステム(戦後日本の出版流通システム)の作動域は国内だけだから、視野は狭くなる。流通商品は新刊だけだから、新刊書店を流通の最終段階と見、以後の過程を二次流通とくくって外部化する。だが、そうした産業内思考かた一歩踏みだせば、豊かで複雑で多様な出版の世界が拡がる。和田敦彦『書物の日米関係』は、そう教えてくれる。本書が扱うのは、戦前期から八〇年代までの北米における日本語図書の叢書史だ。異文化の叢書構築を目論む大学や図書館。学術・政治・軍事と目的はさまざまだ。資金を出す機関や団体にも思惑がある。日本側とて同様だ。幾多の要因が複雑に絡みあうなか、ひとからひとへ書物が手わたされ、ひとびとが結びつけられてゆく。ここでもまた、流通という過程がモノやカネを動かすだけでないことを知らされる。・・・・・・」

『富豪の時代』

明治大正期の金持ちに見る、現代との相似形

「「お金儲けは悪いことですか」と吐いて逮捕された投資ファンドの主が本書冒頭に登場する。ただし、本書の主人公は 渋沢栄一や安田善次郎といった明治大正時代の実業家だ。彼らが世間からどのように賞賛(あるいは嫉妬)され、彼ら自身がどのように「お金儲けの 哲学」を語り、雑誌がそれをどのように掲載し、読者がどう読んだか――富豪と社会の関わりを、永谷さんは本書の中で丁寧に読み解いていく。・・・・・・」 (07年12月31日号 プレジデント書評欄にて掲載、編集部インタビュー)

『子どもが忌避される時代』

近代化と共に進んだ囲い込み

「恐るべき速度で進行している我が国の少子化状況の根本に、子どもを忌避する心性のはたらきをみる、ハッとするような観点だ。この力作評論を読み進めていくうちに、 子どもを忌避し、結果として産み育てることを忌避する心性が、一世紀をかけてしだいに強まってきたという事実がみえてくる。・・・・・・なるほど目を開かれる。車社会も学校化も近代社会への移行にともなうやむをえない側面である。だがそれを素直に受け入れたということは、私たちが産まないという選択をしてきたことを意味する、と著者は指摘する。茫然とせざるをえない。  ではどうしたらいい? 処方箋はない。多産化への反転は起こりえないという認識に立って、著者は多産多死の途上国の現実を視野に組み込む。そしてこう記す。産まないという選択は、地球上の産む人と手を携えるという責務と対をなす、と」 (07年12月2日日本経済新聞書評欄にて掲載、芹沢俊介氏評)

『子どもが忌避される時代』

子ども学の第一人者による力作

「「参りました!」としか言いようがない。少子化論争の多くが「労働力不足」「年金や介護を支える人の現象」「国力衰退」の懸念と若者支援策などに終始する中で、本著はこの国が一世紀掛けてわが子のみならず「子どもそのもの」に対して「不要感」「忌避感」を育ててしまったと、ズバリ本質を言い当てているのである。
子ども研究五十年の著者が過去百年の日本の「子ども―大人」関係を、政治、経済、教育、思想、家族制度、生活様式、文化の多方面から解明して、子どもが消えつつある現状の「謎解き」を行っている。推理小説でも読むような面白さだ。・・・・・・・本書で示される近未来の荒廃社会からの脱皮案は奥深いが、それは読んでのお楽しみである」 (07年12月2日京都新聞書評欄、12月9日中国新聞ほかにて掲載、宮本まき子氏評)

『子どもが忌避される時代』

「次世代を作る」を公的な営みと主張

「・・・・・・なるほど。「なんとなく子どもがいない私」も、明治以降の複合的な社会変動の一つの結果だったということか。「産まない女はワガママ」と責められるよりは「近代化の必然」と言ってもらったほうが気がラクだが、それで問題が解決したわけではない。著者は、「人」という種を絶滅から守るための生殖行為を、単なる私的行為を越えた「大いなる目的に奉仕する『公的』な営み」に位置づけよと主張する。「その責務を果たしていない私っていったい・・・・・・」とまたまた「私」に拘泥してしまうのが、そもそも近代の病理なのだろう。近代的自我と「子ども」は両立するのか否か。あまりにもむずかしい問題だ」(07年12月2日朝日新聞書評欄にて掲載、香山リカ氏評)

『子どもが忌避される時代』

子ども学の第一人者による力作

「・・・・・・「家の継承者」であれ、「天皇の赤子」であれ、「公的」だった子どもの存在意義が戦前まで疑われることはなかった。しかし、家制度の解体により育児が「私的」行為となると、育児も「費用対効果」で語られるようになった。子どもが高リスクの投資対象として忌避されるのは必然である。
だが、子どもの消滅は人間の滅亡であり、その予感は生きる希望を衰弱させる。それに抗して、男女、母子、地域、世界の関係を再構築する「子どもの公共性」が提唱されている。」(07年11月25日讀賣新聞書評欄にて掲載、佐藤卓己氏評)

2007年11月


『富豪の時代』

奸商から成功者へ

「・・・・・・江戸時代までは人間評価の尺度が身分だったが、近代社会では、それが富に変わった。しかも誰がお金持ちかを見せる道具立てができた。長者番付と紳士録だ。
本書は「お金持ち」を研究した歴史社会学の本。長者番付と紳士録に着目し、近代日本の富豪を論じている。当初財閥始祖たちは「奸商」よばわりされた。だが、そのうち実業にはげんだ「成功者」という扱いに変わっていく。また、彼ら富豪は自伝を出版して、ことさら勤勉を強調。茶道や能楽にはげむ趣味人の姿を演出し、家族と縁組をかさね、俗っぽい富者イメージを隠蔽する戦略をとったという・・・・・・」(07年11月25日讀賣新聞書評欄にて掲載、磯田道史氏評)

『子どもが忌避される時代』

子ども学の第一人者による力作

「・・・・・・「家の継承者」であれ、「天皇の赤子」であれ、「公的」だった子どもの存在意義が戦前まで疑われることはなかった。しかし、家制度の解体により育児が「私的」行為となると、育児も「費用対効果」で語られるようになった。子どもが高リスクの投資対象として忌避されるのは必然である。
だが、子どもの消滅は人間の滅亡であり、その予感は生きる希望を衰弱させる。それに抗して、男女、母子、地域、世界の関係を再構築する「子どもの公共性」が提唱されている。」(07年11月25日讀賣新聞書評欄にて掲載、佐藤卓己氏評)

2007年9月


『資本主義黒書』

市場経済礼賛論の感染予防に最適

「・・・・・・蒸気機関の発明により人間の筋肉を機械に置き換えた第一次産業革命や、オートメーションにより人間の労働力を合理化した第二次産業革命のときには、社会保障やケインズ政策による福祉国家が資本主義をも救ったが、新自由主義的な自己責任論が蔓延する今日では、IT革命による第三次産業革命で「人間の労働力」が次々と「余計なもの」されても、それを社会的に補償する「運動」は期待できない。この結果、大量の労働者の「貧困」が不断の価値増殖を求める資本主義を瓦解に導く恐れもあるという・・・・・・」(07年9月2日朝日新聞書評欄にて掲載、高橋伸彰氏評)

2007年8月


『老愚者考』

痛快、らしさからの解放説く

「サクセスフルエイジング(成功した老後)」「アンチエイジング(抗加齢)」という言葉やスローガンはいかがなものか? なぜ老いた人をサクセスフル(成功)アンサクセスフル(不成功)と区別するのか? なぜ老いのプロセスを、あるがままに受け入れずに忌み嫌うのか? そう考える者にとって、まことに痛快な本である。著者は老いて「愚かになる」ことを礼賛する。・・・・・・」(07年8月12日中國新聞ほか山陰新聞、山形新聞などに掲載(評者黒川由紀子氏)

2007年6月


『フランスから見る日本ジェンダー史』

曖昧な共犯関係を相対化

「・・・・・・十数本の論考で構成された本書には、進んだ西欧/遅れた日本という枠をはみ出す多彩な史的事例が登場する。女神とされるが性別不明確なアマテラス、平安〜江戸の家の中での妻や母の座、近代天皇制と皇后、女性教祖出口なお、戦争のチアリーダーとしての銃後の女、そして現代の高学歴専業主婦。
 私たちにはおなじみの話も多いけれども、フランスから見れば「ありえなーい」であるところには、日本を相対化する視点が生まれる・・・・・・」(07年6月26日朝日新聞書評欄にて掲載、斎藤美奈子氏評)

2007年4月


『名編集者エッツェルと巨匠たち』

出版史の必読文献となる一冊

「・・・・・・しかし、いろいろと欠点はあったものの、フランスにおけるエッツェルの存在は圧倒的であり、エッツェルなかりせば 挿絵本の黄金時代も、児童文学の興隆もあり得なかったのは確かである。エッツェルの生涯をたどることでフランス文学と出版の歴史の裏面を浮か び上がらせるという著者の意図は十分に達せられている。出版史の必読文献となる一冊である」

2007年4月19日号「週刊文春」、鹿島茂氏の「文春図書館 パリ、ブラッサイ、エッツェル」にて取り上げられました。掲載誌、書評者の鹿島先生には、厚くお礼申し上げます。ありがとうございます。

2007年2月


『フィールドワーク 増訂版』

柔軟な発想 思考モデルで常識の壁を超える
「・・・・・・社会や文化をとらえるモデルをいくつも作り、使い分けることで、全体像に近づこうという態度は 現実社会にも応用がきく・・・・・・」 2007年2月25日付朝日新聞 「話題の本棚」加藤修氏評

発売以来、売れゆき好調な本書。ほかとりあげられた書籍は『仮説力』(日本実業出版社)『右であれ左であれ、我が祖国日本』(PHP新書)『三位一体モデル』(ほぼ日ブックス)
掲載紙、書評者の加藤修氏には、厚くお礼申し上げます。ありがとうございます。

2007年1月


『アナログ・ブレイン』

脳の本質、「視覚」の観点から考察
「・・・・・・モーガン教授は、このような問題の重要性は認めつつも、脳にかかわる基本的な事実に 戻って考えることを主張する。すなわち、脳は人類が作りだしたデジタル・コンピュータとは異なる、 アナログ・コンピュータであるという事実である。神経細胞が活動し、お互いに影響を与え合い、計算 が行われていく。そのプロセスの詳細を、専門の視覚を中心に議論する部分は本書の「背骨」であり、読んで示唆を受ける点が多い・・・・・・」 2007年1月28日付日本経済新聞 茂木健一郎氏 評

発売以来、売れゆき好調な本書ですが、この書評でおそらく重版することができると思います。
掲載紙、書評者の茂木健一郎先生には、厚くお礼申し上げます。ありがとうございます。

     

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