書評ファイルから

小社発行の出版物のうち、各誌書評でお取り上げいただいたものを集めてみました。

書籍をお選びになる際の参考に御覧下さいませ。

また、おとりあげ下さいました評者の先生方、紙誌御担当者さまに深くお礼申しあげます。

2005年11月


内藤千珠子 著 『帝国と暗殺』

消費される物語をめぐる説得力ある議論
「内藤千珠子の著作は、批評を欠いた物語が生み出すものを暴き出して余すところがない。定型的な物語が差別を招き寄せる 力学はこれまでも論じてきたが、筆者は明治時代の新聞メディアの分析を通じて、出来事の固有性を物語が消し去り、「忘却」を招く 仕組みを鋭く解析した。たとえば、朝鮮王妃であった閔妃の暗殺事件(明治28年)は、事件当時こそスキャンダルとして耳目を 集めながら、やがて近代史のなかで忘れられた。それは何故かと筆者は問い、丹念な資料発掘の裏付けを得て、消費される物語 をめぐる説得力ある議論を展開している・・・・・・」
2005年12月19日朝日新聞「文芸3点」奥泉 光氏 評
ちなみに奥泉氏評、他の2点は
渡部直己『メルトダウンする文学への九通の手紙』(早美出版)
吉川日出男『ロックンロール七部作』(集英社)

2005年11月


ゴメス 著 長谷川眞理子訳『霊長類のこころ』

進化心理学を通じヒトに迫る
「・・・・・・ヒトも霊長類も、教育や訓練を通じて心の働きはより細やかになり、そのレベルが上がる。ただヒトの場合、そのための 器と言うべき仕組みが霊長類よりは複雑にできている。さて、現代社会は人間らしさをちゃんとはぐくんでいるのか。 霊長類と本質的に差のないレベルに近づいているということはないのか、霊長類という鏡を見せられると、そんな考えもめぐらでたくなる」
2005年11月27日日本経済新聞
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親子で読もう科学の本3 「脳って?心って?」

慶応大学教授・大津由紀雄さん おすすめの15冊
「・・・・・・心は赤ちゃんにもあります。下條信輔さんの『まなざしの誕生』は生まれもった力で、赤ちゃんが周囲の世界の情報を 収集し、自らの世界を構築していく姿を描きます。人間の可能性の源泉を見る思いがします。・・・・・・(錯視について)なんでこんなことが 起こるんだろう、と理由が知りたくなったら、『視覚のトリック』を手に取りましょう。きっと答えが見つかるはずです」
2005年11月20日朝日新聞掲載 慶応大学教授・大津由紀雄氏評 聞き手・構成 内村直之氏

朝日新聞・記事

『まなざしの誕生』下條信輔著

『視覚のトリック』シェパード著

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コ永 恂・小岸 昭 著『インド・ユダヤ人の光と闇』

フランシスコ・ザビエルの光と闇
「どの角度から光を当てるかで、歴史はまるで違ったものに見えてくる。コ永 恂・小岸 昭 著『インド・ユダヤ人の光と闇』(新曜社) は、そのことを胸が痛くなるほど感じさせる。
アラビア海に面したインドの西海岸には昔から多くのユダヤ人が住んでいた。中東や欧州で迫害され、追い立てられた彼らにとって、宗教的に 寛容なインドは数少な「安住の地」だった。
その平穏な暮らしが、15世紀末にバスコ・ダ・ガマがアフリカの喜望峰を回って来航してから、どのように変わっていったのか。 両氏は、在引ユダヤ人の視点に立って次のように描く。・・・・・・
東洋にキリスト教を広め、後に聖人に列せられたザビエルは、異端追求の先兵でもあった。その闇の部分を鮮やかに照らし出している」
2005年11月7日朝日新聞夕刊 「窓 論説委員室から」長岡 昇氏 評

2005年10月


土田知則 編『あらすじと読みどころで味わう世界の長編文学』

ダイジェストにも数々の趣向
「・・・・・・古典や名著のダイジェストは見かけほど簡単なものではない。とくに海外の長編小説などは時代背景や根本の思想を 読みとり、再構成しなければならない。ちょうど、大建築を解体し、精巧なミニチュア模型をつくるようなものである。この点、 苦心が見られるのは土田知則編『世界の長編文学』で、あるいは、作品全体の構成、必要な知識などについて詳細な予備知識を 提供している。ギリシャ古典や『神曲』『金瓶梅』『失楽園』など、ダイジェストだけでは本質が伝えにくいものが多いからだ ・・・・・・」 2005年10月23日東京新聞書評欄 今月のテーマ「本 part3」紀田順一郎氏エッセイ 

2005年9月


成田文忠 著『僕もピアノが弾けたよ』

心と心つなぐピアノ教室
「私は本来、気の長い方ではない。車でなくバイクに乗っているのは渋滞が嫌だからだし、行列に並ぶのも苦手である。けれど、自閉症 など知的障害のある子供たちにピアノを教える時だけは、別だ。決して焦らない。強制もしない。

彼らの世界に魅せられたからだろう。レッスン中、ほとんどピアノに触れてくれなくても、たとえそれが数ヶ月から数年、 続いても後できっと、この上もなく美しい音色を聴かせてくれる。言葉による意志疎通が苦手な子もいるが、音楽によってつながれたと革新できる時が来る。 だからこそ、音楽大学を出たわけでも、福祉の勉強をしたわけでもない、一介の元エンジニアのオジサンが二十年もこの活動を続けてこられた。・・・・・・」 2005年9月27日日本経済新聞文化欄 著者エッセイ

成田文忠 著『僕もピアノが弾けたよ』

待つことでもらったしあわせがあふれている
「・・・・・・この本の著者も、人間の能力の無限を信じる。そして、「待つ」ことで、知的障害のある子供の音楽の能力を開花させていった。 教師といっても桜木と同様、専門家ではなく、自閉症の長男にピアノを教えるうちに口コミで生徒が増え、57歳を目前に脱サラ、ピアノ教室を 開く。ピアノの前に座らせるだけで大変だ。しかし、無理はさせず、諦めることなく、いつの日か音色を奏でる日を心の中に描いて、じっくり と待つ。・・・・・・」 2005年9月27日讀賣新聞「記者が選ぶ」

小熊英二 著『対話の回路』

一頭地を抜く対談集
「・・・・・・著者には『<民主>と<愛国>』『<日本人>の境界』『単一民族神話の起源』といった、大著の連山がある。それらに手を 出しかねている読者にとって、本書は格好の登山口となろう」
2005年9月25日朝日新聞 野村 進氏書評

2005年8月


P.リクール 著『記憶・歴史・忘却』

「過ちの深さ」認める勇気
「・・・・・・過去の歴史的記憶をめぐる問題群が、いわば「棘」となってわれわれの思考に刺さった状態がつづいている現在 、本書が「記憶」を「歴史」から区別して、その操作や濫用から議論を始めているのは重要である。だが、それ以上に重要 なのは、「過ちの深さ」を自ら認めることと、それに対する無償の代償としての「赦しの高み」について語る本書の珠玉の 末尾である。・・・・・」 2005年8月21日讀賣新聞 神崎繁氏書評

2005年7月


D・プレマック、A・プレマック 著『心の発生と進化』

天才サラとプラスチック語で研究発展
「「心の理論」とは、他人の心を推定することをいい、4歳ぐらいで発達する能力だ。著者は巧妙な 実験により、チンパンジーにその能力があることを78年に発表した。ところが反論も多く、 大論争に発展した・・・・・・・しかし、この一連の論争は認知心理学や発達心理学を大いに発展させた。 その経緯は7章で語られているが、「心の理論」の定義に関しては、著者はかなりご不満げ。・・・・・・ 因果性とかアナロジーとか、じつに様々な能力をテストするために、方法論を工夫してチンパンジーに 相対する後半部分は迫力満点で興奮を誘う。最後に、これらの知見を生かして、新しい教育論を展開しているが、 一聴に値する。人を人たらしめている心の構成要素を、丹念に調べ上げた好著だ。・・・・・・」 2005年7月24日朝日新聞 天外伺朗氏書評

唐 権 著『海を越えた艶ごと』

日中交流を支えた長崎の遊女たち
「・・・・・・本書でも明らかなように、日本文化全体の中での遊郭の位置づけには、中国の影響が強く働いていた。遊郭に遊ぶということは 、中国文学の風流に遊ぶことのひとつの比喩であり、洒落本をはじめとする遊郭文学は、漢詩文を読む知識人たちの手によって作られたのである 。和歌、俳諧、漢詩文を学ぶ遊女たちも珍しくはなかった。他方、中国の文人たちの世界では、明代中期の都市の隆盛の中で、「人欲 こそが天の理にかなっている」という、まるでルネサンスのような思想が形作られていたという。その開放的な都市文化は、しかし禁欲的な 満州族による征服によって屈折してゆく。江戸時代、丸山遊女たちのもとに通う中国人たちの放蕩は、「清朝官府の禁制から逃げ、同時に過去の 青楼『情芸生活』を懐かしみ、あるいは風流に憧れる彼らの心情の現れでもあり、また異族統治に対するやるせない反抗の徴でもあった」という 指摘には思わずうなずく。これこそが「ノスタルジア」の根源的な意味であろう。好色とは詩歌管弦の楽しみであり、文化であった。失われた 文化を求める心の乾きが、過去へのあこがれとなる。政変の苦難を分かち合って生きてきたのは日本の武士や知識人たちではなく、長崎丸山の 遊女たちであったのだ。・・・・・・」 2005年7月24日毎日新聞 田中優子氏書評

広瀬弘忠 著『静かな時限爆弾』

アスベスト災害
「・・・・・・広瀬弘忠著『静かな時限爆弾』(新曜社)によると、アスベスト利用の歴史は石器時代にまでさかのぼる。古代ギリシャでは神殿の 金のランプの灯心として使われた。既にギリシャ・ローマの時代には、アスベストを採掘する人や、その繊維を紡ぐ職人に肺疾患が多発していた という。日本での、アスベストによる健康被害の実態がようやく明らかになりつつある。多数の工場従業員だけでなく、夫の作業着を洗濯する 時にアスベストを吸い込んだ妻までが、中皮腫で亡くなったという。どこかで吸い込んだだけで発症の危険をはらむなら、誰にでも起こりうることだろう。・・・・・・」
全文は →  2005年7月12日付 朝日新聞 天声人語

l 2005年7月12日朝日新聞 天声人語

2005年6月


唐 権 著『海を越えた艶ごと』

1866年夏、上海。二人の日本女性が・・・
「・・・・・・この年(慶応2年)、幕府は200年続けた海禁政策を解除。学問と貿易のための海外渡航を認める。2人は政策 転換の恩恵にいち早く浴したわけなのだが、その正体は「普通の日本婦人が女性たちだけで視察や見物のために上海へ渡航する とは考えられぬことで・・・・・・いずれも玄人の女、長崎丸山遊郭の遊女だったに違いない」と著者は推測するのだ。
本書はこうした興味深い考察を重ねて近世の中国と日本を結んだ人たちの言動から描いた文化交流史である。
とりわけ本書がユニークなのは、中国の文人や商人らを虜とした長崎の遊女や、明治直前から続々と大陸に渡った日本妓女ら、とかく歴史 の狭間に埋もれがちな「艶の世界」に光をあてようと試みた点ではなかろうか・・・・・・」 2005年6月26日朝日新聞 加藤千洋氏書評

D・プレマック、A・プレマック 著『心の発生と進化』

「人間とは何者か」解明に挑む
「人間は、誰しも心をもつ。自分とは、何だろう。心は、どこから来たのだろう。人間にとって原初的なこんな課題に真正面から取り組んだのが、 本書である。著者らが進めてきた研究の総まとめとして、模倣、教育、言語、信念など、心についての基本的な課題を、ひとつひとつ解説していく。 何気ない文にも、多くの研究者との議論の結果が凝集され、深い意味が隠されている。それだけに、読むのには、それなりの気構えが必要だ。
書名に進化を標榜しているが、本書に進化学的な見方はない。それを期待した人は、進化の記載に初歩的な間違いが目につき、気勢をそがれるかもしれない。 しかし著者が目指すのは、原著の副題にある「われわれが何者であるかの秘密を解く」ことである。本書に出てくるチンパンジーなどの動物は、系統進化的な 分析の対象ではなく、人間の心の特徴を映し出す鏡なのである。・・・・・・・」 2005年6月26日日本経済新聞 榎本知郎氏書評

R・ダーントン 著『禁じられたベストセラー』

革命前夜ポルノはどう読まれたか
「・・・・・・彼(ダーントン)の人生の半分は決して暗い書庫暮らしだけであったわけではない。『革命前夜の地下出版』、 『猫の大虐殺』、『パリのメスメル』などのきわめて独創的な文化史の本を次々と発表して、18世紀フランスの知的状況の とらえ方を大きく変えてしまったのである。そしてとうとう、ポルノグラフィを取り上げるところまできた。その解釈は、品のない 文学趣味とは無縁である。ポルノを地下ルートを通してどう入手するのか、誰が読んだのか、何を読みとったのか、そして結局どう 反応したのか。ユートピア的な幻想文学はどうだったのか。この歴史家の文章を通して18世紀フランスの知のネットワークが鮮やかに 蘇る。読みながら、知的に楽しい気分になれたのは久し振りだ。しかも第三部第六章は、このような彼の仕事を可能にしたこの何十年かの 歴史学における変化を、その変化の只中にいた歴史家としてまとめたもの。驕りとは縁のない、明晰で、的確な要約である」 2005年6月12日毎日新聞 富山太佳夫氏書評

2005年5月


フィリップ・バニアード 著『心理学への異議』

話題の本棚 人間を測るうそっぽさ
として、小社刊『心理学への異議』がとりあげられました。ほかに数冊、
『「心理テスト」はウソでした』村上宣寛著、日経BP社
『反社会学講座』パオロ・マッツァリアーノ著、イースト・プレス
『「社会調査」のウソ』谷岡一郎著、文春新書
『統計でウソをつく法』ダレル・ハフ著、講談社ブルーバックス
『統計はこうしてウソをつく』ジョエル・ベスト著、白揚社
とりあげられています。
2005年5月22日 朝日新聞 前田浩次氏記事

S.ヘス=バイパー 著『誰が摂食障害をつくるのか』

「スリム教」生むビジネスの実態
「摂食障害を訴える女子学生が急増しているので原因探求に力を貸して欲しい。社会学の教授である著者は大学からの依頼を受けて調査を始める。マリリン・ モンローを理想としたのは1950年代。それ以降は細身であることが美しさの基本になってきたことは確かである。
学生(男子も含む)へのインタビューにより、その実態を捉えた著者は、これを「スリム教」という「カルト宗教」のなせる業であると考えるようになった。 カルト宗教では、ある目的や理想を実現しなければならないという強迫観念の下、儀式的なパフォーマンスがなされる。スリムになるための行動実践を見て いるとまさにこれとしか言いようがないのである。
・・・・・・ダイエットに関する食品・本・講座・フィットネス、美容整形とビジネスは膨らむ。あれがダメならこれ。その中で摂食障害になっていく。拒食と過食は、現実的には逆に見え るが、「文化的に正しい身体」になれという脅迫が生み出した行動としてみれば、根は同じなのである。
この文化は、子どもや男性にも広まっている。ティーン前の少女向けの雑誌やバービー人形などすべてが「スリム」というメッセージを出している。男性も外見への関心が強くなり、 その一つに「スリム」が入ってきた。肥満を肯定的に見ていた黒人やラテン系の人も変わってきた。・・・・・・」
2005年5月15日 日本経済新聞 中村桂子氏 評

R・ダーントン 著『禁じられたベストセラー』

本をめぐる、読みごたえある新しい社会史的分析
「・・・・・・ルイ15世の治世末期からの中傷文学が、国事に関する真面目な議論を提供する代わりに、意見を二極化し、 政府を孤立化させ、結果として革命に繋がったという推論はとても新鮮」2005年5月1日 朝日新聞 小高 賢氏 評

2005年4月


R・ダーントン 著『禁じられたベストセラー』

フランス革命導く出版物に光
「本書には、18世紀のフランス思想文化の研究を専門とするダーントンという、このプリ ンストンの先生の長年の仕事の蓄積が、凝縮して示されている。こう書くと、とてつもな く専門性の高い本が、と思われそうだが、著者にジャーナリストの経験があるだけあって か、その叙述の展開は十分に計算されていてスマートで、読者の多様な関心をとらえて引 き込んでいくような包括力を持っている。・・・・・・一種のポルノや政治的中傷やゴシップ情 報が思想書と相伴って、どのような文脈で既存体制の土台に亀裂を走らせることになった のか。書物や多様な印刷物が発したメッセージが、どのようなコミュニケーション・ネッ トワークのなかで受け取られ、世論なるものが構成されていったのか。かつての時代にお ける読み取りのあり方を、現代からどう読み取れるのか。ここでは遠い異国の歴史が扱わ れながら、問われているのは過剰な情報に溺れるがごとき現代にも通じるテーマなのであ る」2005年4月10日 日本経済新聞 福井憲彦氏 評

2005年3月


ネスル 著『フード・ポリティクス』

食品産業と政治の関係にメス
「・・・・・例えば、米国の食品ガイドができるまでの政治と産業、生産者団体との綱引きの模様にはりつ然とするものがある。
記述はやや硬いが、克明に調べた内容は読み応えがある。原著は2002年出ているが古さを感じさせない・・・・・」

日本経済新聞2005年3月13日付書評

2005年2月


和田伸一郎 著『存在論的メディア論』

メディアが創る「リアル」な空間
「・・・・・本書によれば、映画や電話に始まり、いまのインターネットに至る、現代型のメディアが、これを「リアル」と 強く感じさせる空間を創りだした。そこで情報と人とは、両者が初めからたがいに絡みあう、独自のあり方を示している。
著者はこの現象のなかに現代のメディア技術がもつ斬新な可能性を見いだそうとするのだが、同じ考察を、マルティン・ハイデガーの哲学が 先どりしていたと論じるところが面白い。古い書物の中に新しい現象が秘められている。そう構えてみることは、情報のメディアが進化し た今の状況に対しても、有効なのである。」
讀賣新聞2005年2月6日付書評、苅部 直氏評

2005年1月


貴戸理恵 著『不登校は終わらない』

不登校という生き方の意味を読み解く
「本書のタイトルから、学校に行けない状態が続き、引きこもりにつながる、という話を連想したとすれば、 それは見当違いである。不登校が「終わらない」のは、それ自体一つの生き方としてありうるからだ。本書は、 その賛否を超えて、不登校という生き方の意味を探る試みである。そのためにとられる方法は、<当事者>の語りを 丹念に読み解くこと。それを通じて、不登校を、学校を拒否し自ら選び取った進路だと見なす「選択の物語」の視覚 が明るみに出る。なるほど、選択の物語は、不登校を生む学校の非を撃つ力を持っている。不登校の当事者にとっては、 自分を肯定する物語でもある。だが、それと同時に、学歴の点でも将来の職業の点でも、社会的に不利な立場におかれる ことを自己責任として受け入れてしまう言説でもあるというのだ・・・・・。」
朝日新聞2005年1月30日付書評、苅谷剛彦氏評

C.M.アンダーソン、S.スチュアート著 平野和子訳『女たちの単独飛行』

シングル女性90人の人生
「・・・・・・アメリカには、いまだに「女性は結婚して初めて幸せになれる」との神話が存在する。独身者は欠陥を持ち寂しくて惨め、と決めつけられる。 かつては、健全な社会を脅かす魔女として火炙りか国外追放の対象だったというからすさまじい。しかし現在のシングルの毎日は 、自分で物事を決定し責任をとる心地よさにあふれる。・・・・・。仕事、勉学、趣味と縦横無尽に活躍する彼女たちの言動から、励ましと 勇気がもらえる。」
朝日新聞2005年1月9日付書評、多賀幹子氏評


     

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