書評ファイルから

小社発行の出版物のうち、各誌書評でお取り上げいただいたものを集めてみました。

書籍をお選びになる際の参考に御覧下さいませ。

また、おとりあげ下さいました評者の先生方、紙誌御担当者さまに深くお礼申しあげます。

2003年12月


古いメディアが新しかったとき

「電気による「世界」統治」
「・・・・・・ここにはさまざまの貴重な知見がある。なかでもおもしろかったのは、この時代「電気」「エレクトリシャン」「電光」「電話」などがいまといまとは違った意味の広がりをもち、いまよりはるかにさまざまのファンタジーを生み出していたことである。・・・・・・しかし、そうした「新しい」テクノロジーの上に構想された世界は、一見、革命的に見えても、実は、「アングロサクソンの技術によって効率的に世界が統治される」世界であり、海を越えた瞬時の電信コミュニケ―ションによって、「異教は葬られ、全地球がキリスト教の輝かしい光明に照らされる」世界だった。・・・・・・」。
讀賣新聞12月14日付書評、白石隆氏評

2003年11月


シリーズ環境社会学

新たな可能性を描き出す試み
「・・・・・・もっとも以上のような部分的な問題はあるものの、斬新な切り口を提示し事例の面白さを味読させてくれる本シリーズの構成は、環境社会学の新たな可能性を描き出す試みという点でたいへん大きな意義をもつ。読者は、各巻を通じて環境問題や環境にかかわる事象を、とくに地域社会との関係で捉える意味とそこに住む人びとの視点に立脚する重要性がリアルに体感できるだろう。大学生や大学院生、研究者だけでなく、行政やNPO/NGOの関係者、さらには環境と私たちの暮らしに関心をもつ一般読者にも気軽に読んでもらいたい書物(シリーズ)である」。
週刊読書人2003年11月21日号掲載 帯谷博明氏評

2003年10 月


マイケル・S-Y・チウェ 著 安田 雪 訳『儀式は何の役に立つか』

「共通意識」を形成する側面に注目
「・・・・・・本書はゲーム理論の教科書にありがちな退屈な図式によらず、口臭は誰にでもありうることだという共通知識の欠如をついたうがい薬の広告キャンペーンの成功例や、フーコーの議論で有名なベンサムの一望監視刑務所のデザインの新解釈、エリア・カザンの『波止場』の映像解釈などを材料として、誰にも気軽に読める小冊子となっている。議論の粗い所はあるが、ゲーム理論と歴史の結合を通じて社会制度を理解する、という本書の狙いには本質的な洞察が含まれている」。
朝日新聞2003年10月26日掲載 青木昌彦氏

2003年9月


小熊英二著『〈民主〉と〈愛国〉』

朝日新聞読書欄 いつもそばに本が 下
にて、「・・・・・・そのなかでもまれに、つまみ食いしながらもとへ戻り、さらに先に進み、気がついたら、表表紙から裏表紙まで、全部読み終わっていた、という本に出会うことがある・・・・・・」と、上野千鶴子さんにご紹介いただきました。ほかの書籍に『ぺてるの家の「非」援助論』(医学書院)。
朝日新聞2003年9月21日掲載 上野千鶴子氏

加藤厚子著『総動員体制と映画』

「活字の海で」
戦時下の映画史に光 文化と国家の関係を問う、というエッセイのなかで本書が紹介されました。 文化と政治、文化と経済の関係を考えるとき、「映画」は格好の材料となる、その関係が最も緊迫するのが戦時下である。「・・・・・・加藤厚子『総動員体制と映画』は、30年代-40年代の映画国策の展開を、国民動員政策と映画産業史の視点から追う。内務省警保局の館林三喜男氏の日記など新資料を駆使し、官庁の統制意図と映画会社の対応を分析した労作だ・・・・・・」

ほか以下の書籍が、日中戦争・太平洋戦争期の映画史を検証する新著として紹介されていました。
古川隆久著『戦時下の日本映画』(吉川弘文館)
杉林 隆著『昭和戦時期の日本映画』(鳥影者)

日本経済新聞欄、2003年9月21日掲載 古賀重樹氏

フリードマン 著『エリクソンの人生』

アイデンティティとは
エリク・エリクソンとサミュエル・ベケット(『ベケット伝』ノウルソン 著、白水社)の生い立ちから、アイデンティティという概念について語った、詩人の長田弘氏によるエッセイにて、本書がとりあげられています。「・・・・・・ドイツのギムナジウムをでて、フロイトのウィーンで学び、カナダ人と結婚し、それからヨーロッパを離れ、アメリカ市民として逝ったエリクソンの人生に描きだされるのは、つねに「周辺的存在」として生きなければならなかったゆえに、境界をもたない「より普遍的なアイデンティティ」を求めつづけた流浪の人の肖像です・・・・・・」
2003年9月2日付・朝日新聞夕刊「文芸21」長田弘氏エッセイ

追記・備忘log:高い本なので動きがあるかしらと思っていたところ、多くのご注文をいただいております。『ベケット伝』ノウルソン 著、白水社もいっしょにおいてある書店さんもあって、そちらのお値段を拝見したところ、こちらも迫力がありました。(030908.N)

小熊英二著『〈民主〉と〈愛国〉』

小熊英二氏・インタヴュー
「「本」とコンピュータ」2003年秋号
「強い」日本の風潮なぜ      小熊英二・慶大助教授に聞く、朝日新聞9月9日掲載

2003年8月


小谷野 敦 著『反=文藝評論』

恨みつらみも・・・・・・「あとがき」熱く
「本のあとがきに、最近はスリリングなものが増えてきた」という記事中に紹介されました。
他の本としては
『「愛国」問答』福田和也・香山リカ著、中公新書ラクレ
『木島日記』大塚英志著、角川書店
『怒る技術』中島義道著、PHP研究所
『まれに見るバカ』勢古浩爾著、洋泉社新書
『女は男のどこを見ているか』岩月謙司著、ちくま新書
『「クビ!」論』梅森浩一著、朝日新聞社
『不思議の国のアリス』山形浩生著、朝日出版社
『あとがき大全』夢枕 獏著、文春文庫
8月20日付・朝日新聞より

「すごい面白いのだが、書評には出にくいだろうな」と思っているなか、記事中とはいえ、とりあげられてうれしいです。あとがきだけでなく、本文もおすすめです。(中山)

クラーク&グルンスタイン著『遺伝子は私たちをどこまで支配しているか』

人の行動の背景、まじめに考察
「・・・・・・著者も指摘するように人々の行動は生活ぶりなど環境因子によって左右される。とはいえ、遺伝の影響も無視できない。本書では分子生物学、遺伝学の研究者である二人の著者がこの関係を、まじめに解き明かしている。学習・記憶、衝動性、食行動、あるいは性的な好みに至るまで。・・・・・・
遺伝子の本体であるDNAの構造がわかってから今年で五十年になる。いつまでも続いている「血液型性格占い」から抜けだして、遺伝子と人間の行動・性格を真正面から考えたい。本書はそうしたきっかけになる・・・・・・」
8月17日付・日本経済新聞より

内田 樹 著『私の身体は頭がいい』

著者からのメッセージ―生死のあわいでどう振る舞うか
「・・・・・・(流行の格闘技系、ジョギングやフィットネスジムなどのブームとは異なり)その点、武道は24時間すべて稽古の時間になるという。「身だしなみから、人に会った時の言葉遣いや間合いの取り方、ラッシュアワーでの階段の歩き方まで、全部兵法の修行として経験することができます。道場は楽屋であって、道場を一歩出たところから本番が始まる。人の生き死にが、かかってくるのは日常生活の中でだからです。武道は単なる殺傷の技法ではなく、生死のあわいで、どう適切に振る舞うかを教える心身の技法なのです」・・・・・・」
8月17・24日Yomiuri Weekly掲載 著者インタビューより

小熊英二著『〈民主〉と〈愛国〉』

〈癒し〉の戦後民主主義

「諸君」2003年9月号 西尾幹二氏評

2003年6月


紅野謙介 著『投機としての文学』

産業化の過程、明治期に追う
「・・・・・・著者の関心は「文学」が産業資本主義や近代教育制度に組み込まれ、文化の一翼として重視されてゆく過程にある。明治後期の投稿雑誌や懸賞小説の隆盛に分け入り、中学の「校友会雑誌」が文士たちの温床になったことなどを明らかにする。ただし、投稿も懸賞も言語芸術に限るものでなく、エリートの卵たちを著述全般に誘うしかけだった。そんな中で、島崎藤村のように「文学」を「事業」として考える人も出てくる。このあたりに本書の題名の由来がある。・・・・・・全体、欧米の新理論を器用にちりばめて、よくもこれだけ多彩な論が繰り広げられるものだ、と感心させられた。」
6月1日日本経済新聞掲載 鈴木貞美氏評

2003年5月


小熊英二著『〈民主〉と〈愛国〉』

「〈民主〉と〈愛国〉」
「まさしく戦後の「有事タブー」の終えん」である。有事法制関連3法案が、約9割という圧倒的多数で、衆院を通過した。賛成した野党第1党・民主党の「成長」を評価する声がある。本当にそうか。論議すべきことを、省略していなかったか。不思議な現象がある。「ナショナリズム」をめぐる本が、今、売れ筋なのだ。東京の書店は、「心と国家」と題し、コーナーをつくった程だ。代表は小熊英二著『〈民主〉と〈愛国〉』だろう。・・・・・・」
5月19日毎日新聞「発信箱」 高橋 豊記者
ほか香山リカ著『ぷちナショナリズム症候群』、『『愛国』問答』(福田和也氏との対談集)(いずれも中央公論新社)、姜尚中、森巣博著『ナショナリズムの克服』(集英社)といった本がとりあげられています。

紅野謙介 著『投機としての文学』

社会に定着させた欲望
「・・・・・・小説の良き読者が、良き書き手になるという、それ自体としては美しい物語が、どこまで通用するのか、かなり疑わしい。あわよくば作家として一旗揚げて、有名になり金もうけもしたいという俗な欲望が、文学を社会に定着させる力として働いたという面があるのではないか。「投機としての文学」という刺激的なタイトルを持つ本書が、メディアと文学のかかわりを軸に詳細な研究を基に明かしているのは、その点である。・・・・・・」評者・上野昂志氏
2003年5月11日琉球新聞

「・・・・・・本書は日本文学の研究書だが、右のような見方において、研究に投機性を持ち込んでいる。それが魅力だ」評者・坪内稔典氏
2003年5月4日朝日新聞

六車由実著『神、人を喰う』

原始の闇に向き合う
「・・・・・・多様な局面を通じてうかがわれる基本の志向はは、人身御供という主題を否定したり回避したりするのではなく、むしろその気色の悪さに正面から向き合おうとする所にある・・・・・・」評者・川村二郎氏
2003年5月11日讀賣新聞

2003年4月


今井和也 著『カタチの歴史』

「古代から中世・ルネサンスを経て二〇世紀まで、「建築史・美術史・ファッション史をこの1冊で網羅」と帯にある。惹句を信ずるなら希有壮大、ユニーク、かつお買い得だ。まず着眼点が斬新である。服と建築という、人体を直接、間接に包み込むものには、同じ時代の空気が染みているはず。両者の意匠を、連動させて論じる試みはあっていい。・・・・・・」評者・荻野アンナ氏
2003年4月20日讀賣新聞

J・ワトソン著『マクドナルドはグローバルか』

「・・・・・・アメリカ風「マック」の出現によって、それまでの立ち食いが市民権を得たという。その一方で、テリヤキバーガーのように、日本化されて「マクド」になった部分も少なくない。この本で報告されている日本以外の都市、北京、香港、台湾、ソウル、においても、パターンは同じだ。どこでも、マクドナルドと現地の食文化・食生活は、相互に相手を変容させてきた。グローバルVSローカルという二分法は、単純すぎるのだ・・・・・・」評者・佐倉統氏
2003年4月13日讀賣新聞

2003年3月


小熊英二著『〈民主〉と〈愛国〉』

「戦後思想は公的な共同性をどう位置づけてきたか」
「・・・・・・戦後の記憶が全く風化した今日、第三の戦後に対応する新たな言説が求められているのは確かであろう。しかし、戦後民主主義の無効性を指摘する少なからぬ論者が多様な「戦後思想」を系統的に理解しておらず、その結果、議論が「一人相撲に終わっている」という結びの一言は痛烈だ。本書に触れずしてもはや戦後思想は語れないという意味ですでに古典の名に値しよう」
4月5日号週刊東洋経済 評者 鹿島信吾氏

「ぷちナショナリズム」
朝日新聞「be」3月30日付「新書で攻略、時代のキーワード10」にて紹介いただきました。ほかの新書と価格がヒトケタ違うのは誤植ではありません。

ロジャー・ゴスデン著『老いをあざむく』

老化の最終決定者、性的機能
「私たちが遭う「老い」という言葉の背後には、人生の坂道を上り詰め、そして今はそれを下っていることをいやでも意識したひとの諦念が纏わりついているように思われる。ところが本書の扱う「老い」は、もとより、そこから「諦め」も、そこはかとない憂いも、読者が読みとる自由はあるにしても、ほとんどそうしたものとは無縁な世界と言ってもよい。本書のキーワードを一つだけ挙げよ、となれば、躊躇いは無い。「性」・・・・・・」評者・村上陽一郎氏
2003年3月23日毎日新聞

「老化と性」を科学的に考察
「・・・・・・本書のもうひとつの読み所は、十九世紀後半からはじまった、睾丸エキスの注入、あるいは睾丸移植による若返り術の歴史である。ヤギやサルの睾丸や、はては処刑された囚人の睾丸まで移植したとのこと。今から見れば危険極まりない方法であるが、若返りにかけた男たちの情熱はすごいといえばすごい」評者・池田清彦氏
2003年3月31日産経新聞

J・ワトソン著『マクドナルドはグローバルか』

広がる米国的な生活を文化人類学から探る
「マクドナルドは米国の文化帝国主義だ、という批判がある。同国の社会学者G・リッツァも「マクドナルド化する社会」やマクドナルド化の世界」の中で、その本質は効率化が社会全体へ浸透することだとし、規格化・画一化による非人格的な風潮を警告している。にもかかわらず、マクドナルドは世界中に浸透し始めている。とりわけ日本、香港、台湾、韓国、中国など東アジアの諸国には1970年代以降次々と進出し、すでに違和感のない食べ物として定着している。その理由はなにか。・・・・・・」評者・古田隆彦氏
2003年3月23日東京新聞、中日新聞

田村 毅 著『インターネット・セラピーへの招待』

ネット社会の現在形
「・・・・・・田村毅『インターネット・セラピーへの招待』も精神科医であると同時にメールによる相談を長年続けてきた著者による相談を長年続けてきた著者による、他に類を見ないユニークな本である。本書のバックボーンには家族療法家としての蓄積があると、著者の後輩である私はにらんでいるが、セラピーを受ける人のみならず、はじめたい人にとっての必読書と言えるだろう」評者・斉藤環氏 2003年3月17日東京新聞

J・ワトソン著『マクドナルドはグローバルか』

受容に表れるお国ぶり
「・・・・・・観念的なグローバル化論ではない。東アジア各地のマクドナルドを素材としたフィールドノートが、あつめられている。おもしろい共同研究だと思う。私も、こういう仕事をやってみたい。たとえば、世界各地での寿司受容や柔道理解を、おおぜいの研究者に報告してもらう。そして、それらを相互に比較検討できれば、興味深い成果がだせるだろう。ざんねんながら、日本の大学では、それがなかなかはたせない。こういう調査をやってのけるアメリカの大学に、脱帽する・・・・・・」評者・井上章一氏
2003年3月2日琉球新聞、北日本新聞、北国新聞ほか


2003年2月


小熊英二著『〈民主〉と〈愛国〉』

「・・・・・・わたしたちは新しい経済・社会状況について語る際にも、変化前の古い言 語体系しか持っていないということです・・・・・・」村上龍氏
Japan Mail Media No.204 Monday Editionより
Japan Mail Mediaホームページ→
http://jmm.cogen.co.jp/


P・H・ウェンダー 著、福島 章、延与和子 訳『成人期のADHD』

研究者にも参考になる高度の専門書
「・・・・・・ADHDはDSMの改訂にともない、多動、散漫症状から、衝動性が強調され、行為障害、反抗挑戦性障害との重複が論じられるようになったが、本書は、ADHDは多元論的に定義されている暫定的な診断名で、遺伝的に伝達される症候群であることを強調し、DSM基準にふりまわされる風潮に警告を発している。遺伝的特質としては、アルコール依存症、反社会性人格障害、ヒステリー性格、ドーパミン系の活動の低下を明らかにし、代表的な症状については、児童期と成人期にわけて繰り返し解説しているので、児童の臨床家のテキストとしても役立つ。また、研究過程が、有病率研究、家族研究、双生児研究、養子研究、生物学研究をとおして方法と問題が良心的に論じられているので、研究者にも参考になる高度の専門書である・・・・・・」(「児童心理」2002年3月号 評者・開原久代氏)


2003年1月


小熊英二著『〈民主〉と〈愛国〉』

「戦後思想の巨大なタペストリー」
「週刊読書人」2003年1月17・24日号対談 小熊英二氏&上野千鶴子氏

「小説より奇なる事実 徹底的な検証で」
東京新聞2003年1月5日
「(著者は、)戦中、戦後を生きた政治家、知識人のみならず兵士や市民の心情から歴史を浮き彫りにしようとする。戦中戦後に人々は何を考え、いかなる発言をしてきたか、その検証は徹底しており、今後戦後史を素材に小説を書こうと思う者には、ディテールが緻密なソフトウエアが与えられたようで心強い。ここには小説より奇なる事実が無数にちりばめられている」評者 島田雅彦氏

「思想言語の使用法で戦後を再考」
朝日新聞2003年1月12日
評者 与那原恵氏
朝日新聞ホームページ
→  http://book.asahi.com/

「愛国心」議論の深化を
「記者ノート」2003年1月20日毎日新聞、瀬戸純一氏評。


     

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