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A5判並製136頁

定価:本体1800円+税

発売日 18年9月25日

ISBN 978-4-7885-1596-3




川野健治・勝又陽太郎 編

学校における自殺予防教育プログラム  GRIP ─グリップ─
──5時間の授業で支えあえるクラスをめざす



相談するスキルは生きる力だ

GRIPは「いのちの大切さ」を教育する方法とは一線を画す、新しい自殺予防教育プログラムです。このプログラムが目指すのは、自殺に至る前に子供同士や子供と大人の間で「援助関係が成立する」こと。相談する/されるためのスキルを、5時間の授業で体験的に学習できるよう構成されています。

本書は豊富な図表とともに、プログラムの具体的な実施方法をていねいにわかりやすく解説した書籍です。中学校での実施方法を中心に、他の発達段階への応用例や効果検証の結果なども提示されており、GRIPを実施する人はもちろん、自殺予防教育に関心をもつすべての人に役立つよう作られています。また、教員が自傷や自殺を授業で扱う際に抱きがちな不安を取り除き、効果を高めるための工夫も随所に盛り込まれています。ワークシートや動画などの教材は関連資料ページからいつでも入手できるため、準備の負担が軽く、継続して取り組むことができます。


推薦のことば!

「命を大切にしよう?」
自傷によって心の痛みをなんとかやり過ごしている生徒にとって、
これほど腹立たしい「お説教」があるだろうか。

自殺にかぎらず、深刻な悩みを抱えた子どもにとって本当に必要なのは、
「ダメ。ゼッタイ。」のような「根性論」ではなく、大人とつながり、相談できるようになることだ。
GRIPはそこに至るまでの道筋と具体的な方法論を提示してくれる。


国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 薬物依存研究部 部長
/病院 薬物依存症センター センター長   松本俊彦氏(精神科医)


学校における自殺予防教育プログラム  GRIP ─グリップ─ 目次

学校における自殺予防教育プログラム  GRIP ─グリップ─ はじめに


指導案やワークシート、動画などの資料は下記にて入手可能です

学校における自殺予防教育プログラムGRIP ─グリップ─ 関連資料




学校における自殺予防教育プログラム ─グリップ─ 目次

PartⅠ GRIPを理解しよう
第1章 [総 論] GRIPとは?
第2章 [各論1] GRIPの構成
第3章 [各論2] GRIPで身につくスキル
第4章 [各論3] GRIPの効果――学術的評価

PartⅡ GRIPを実践しよう
第5章 [事前準備]教員向けゲートキーパー研修――「死にたい」気持ちについて生徒と対話する
第6章 [1・2時間目]マインド・プロファイリングとマインド・ポケット――感情を言葉にして対処する力を身につける
第7章 [3時間目]KINO(キノ)――他者との間で感情のやりとりを経験する
第8章 [4時間目]シナリオコンテスト①――相談の基本を学び、身近で相談できる大人を探す
第9章 [5時間目]シナリオコンテスト②――自殺リスクを抱えた友だちの相談にのる
第10章 [不安解消!]Q&A 10――自信をもってGRIPを活用するために

Part Ⅲ 発達段階に応じたGRIPの応用
第11章 [応用1] GRIP小学校バージョン
第12章 [応用2] GRIPを高校や大学で使うには




学校における自殺予防教育プログラム ─グリップ─はじめに


 この本には二種類の「宛先」がある。

 まず、いろいろな学校の教職員の方々に手にとっていただきたいと切に願う。2018年以降、すべての市町村は法律に基づき自殺予防の実行計画を立てることになる。学校での自殺予防教育に取り組む自治体は多いはずだ。そこでGRIPは、教職員が容易に検討して実際に試せるように準備した。これはワークシートやゲーム、動画を使う、クラス単位の自殺予防教育のプログラムで、複数のバージョンがあり、教材はHPからダウンロードできる。

 開発・実践した私たちとしては、「学校で正確に使ってもらえれば効果がある」と伝えたい。本書には、具体的な授業の組み立て方や進め方、すでに実施した教育現場からの声も記されている。GRIPは学校自殺予防教育の「道具」で、本書はその一部である。喩えれば、山歩きのための丈夫な靴とその靴紐を作りたかったのだ。

 さて、「もう一つの宛先」は学校自殺予防教育を応援したい行政職員、地域住民、専門的実践者および研究者(心理・医療・教育・福祉など)である。本書でGRIPの理論、モデルと評価を確認し、導入の可否を検討できる。ただし、日本の中高生の自殺数は年間300事例で、統計的な効果検証は難しい。外科治療のように、実際の課題に対処しながら一例一例を積み重ねる戦略が適している。この事例の積み重ねに皆様も加わってほしい。

 つまりこの本は、これからのGRIPへの協働のお誘いである。靴紐をぎゅっと結んで、一緒に山歩きをしていただけないだろうか。

 最後に、これまでの健脚の同伴者に感謝を伝えたい。自殺予防総合対策センターの竹島正センター長、松本俊彦副センター長(いずれも当時)はじめメンバーの知見は、すでにGRIPの血肉である。鹿毛雅治先生、森岡さやか先生、乙幡美月さん、その他にも数多くの方々からお力添えをいただいた。心より御礼を申し上げる。



 2018年8月

編者を代表して 川野健治