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グラハム ・R・ギブズ 著/砂上史子・一柳智紀・一柳 梢 訳

質的データの分析
――SAGE質的研究キット6


A5判並製280頁

定価:本体2900円+税

発売日 17.12.25

ISBN 978-4-7885-1551-2




◆分析の神髄に迫る!
 収集した多種多様なデータをどのように分析すればよりよい研究につながるのか、データの準備のしかた、トランスクリプションの作成、コーディングとカテゴリー化から比較分析まで、さまざまな具体的手法を理論的背景とともに丁寧に解説。また、一連の分析を支援する代表的なソフトウェア3種を取り上げ、最新のバージョンをもとにそれぞれの特徴と使い方のコツのみならず、分析に与える影響にも言及しています。より良質で意義深い分析をめざす研究者に多くの実践的情報をもたらすだけでなく、分析の質を問う倫理的問題にも踏み込んだ、質的データ分析の神髄に迫る決定版です。

質的データの分析 目次

質的データの分析 本書について(ウヴェ・フリック)

質的データの分析 正誤表


本書61頁 3章、90頁4章の参考文献に誤りがございました。つつしんでお詫び申し上げますとともに下記の通り訂正申し上げます。(PDFファイル)


ためし読み

◆「SAGE質的研究キット」シリーズ

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質的データの分析 目次
編者から(ウヴェ・フリック)
「SAGE質的研究キット」の紹介
質的研究とは何か
質的研究をどのように行うか
「SAGE質的研究キット」が扱う範囲
本書と第2版について(ウヴェ・フリック)

1章 質的研究の特質
 分析
 質的データ
 質的分析の実践
 方法論
 質的分析の目的
 倫理

2章 データの準備
 トランスクリプション
 トランスクリプトの作成
 トランスクリプトの印刷
 インターネットのデータ
 メタデータ
 アーカイブのための準備
 整理する

3章 書く
 研究日誌
 フィールドノーツ
 メモ
 研究レポートを書く

4章 主題コーディングとカテゴリー化
 コードとコーディング
 コーディングの手順
 データ駆動か、コンセプト駆動か?
 何にコードをつけるか
 コードによるテクストの取り出し
 グラウンデッドセオリー
 コーディングのタイプと方法

5章 伝記、ナラティヴ、言説的要素の分析
 ナラティヴ
 ナラティヴの情報源
 ナラティヴの機能
 ナラティヴとライフヒストリー
 実際の分析作業
 ナラティヴのジャンルあるいは構造
 ディスコース・アプローチ

6章 比較分析
 コード階層
 比較
 モデル
 理論と説明を発展させる

7章 分析の質と倫理
 従来の質へのアプローチ
 リフレクシヴィティ
 妥当性
 信頼性
 一般化可能性
 分析の倫理

8章 コンピュータを用いた質的データ分析を始める
 データの質的分析を支援するソフトウェア
 プロジェクトに取り込むためのデータの準備
 新しいプロジェクト
 文書
 コーディング

9章 ソフトウェアを用いた検索やその他の分析手法
 検索
 属性
 コードと属性による検索

10章 すべてを総合すると
 読むこと
 書くこと
 コーディング
 関連性とパターン
 分析の質

訳者あとがき
用語解説
文 献
人名索引
事項索引

装幀=新曜社デザイン室


質的データの分析 本書について(ウヴェ・フリック)

 時に、データ収集が分析を準備する前段階という意味合いが強いのに対し、質的データの分析は概して質的研究におけるコアと見なされる。質的研究においてデータを分析するには異なるアプローチがある。より全体的なものもあれば、特定のタイプのデータにより特化したものもある。それら全てに共通しているのは、テクスト分析に基づいているということである。故に、質的研究におけるいかなる資料もテクスト*として分析されるべく準備されなければならない。場合によっては(たとえばナラティヴのように)、テクストの内部構造が(半構造化インタビューのように)他の場合よりも重要になることもある。内容が(時に独占的に)分析の中心にくる場合もあれば、テクストにおけるやりとりも(フォーカスグループのように)同様に関係していたり、(会話分析のように)分析の中心であったりする場合もある。

 本書では、質的データを分析する基本となるストラテジーがさらに詳しく説明されている。一番重点が置かれているのは、コーディン*と分類である。二番目に重点が置かれているのは、ナラティヴ*と伝記(バイオグラフィー)*である。三番目に重点が置かれているのは、この文脈におけるコンピュータの使用である。かなりの注意が比較分析*とデータ分析に特有の質、ならびに倫理学の問題に払われている。もっと実際的なレベルでは、質的データ分析のための3つの主要なソフトウェア(ATLAS.ti,MAXQDA,NVivo)について、それらで何ができるか、それらがどのように分析に影響を及ぼすかを示しながら、比較可能なかたちで紹介する。

 この第2版では、参照文献と上記ソフトウェアの記述が最新のものになっている。データ分析の準備と質的データ分析をどのようにディスコースやナラティヴの研究に適用するかといった側面についても、拡充されている。さらにこの新しい版では、比較分析にいっそう力点が置かれている。

 これらを中心に、本書は第一に、発言や語りのような言語データに関心があるいかなる質的データも分析する基礎を提供している。「SAGE質的研究キット」との関連では、ラプリー(Rapley, 2017)とバンクス(Banks, 2017)の巻で詳しく記述されている。ラプリー(Rapley, 2017)の巻は、どちらかと言えばやりとり─特に会話─の分析についてであり、バンクス(Banks, 2017)は目に見える資料の分析を扱っている。またアングロシーノ(Angrosino, 2007; Coffey, 2017)の巻の中のエスノグラフィーに関する章や、クヴァール(Kvale, 2007; Brinkmann & Kvale, 2017)の巻の中のインタビューに関する章、バーバー(Barbour, 2017)の巻のフォーカスグループに関する章もこれを補完しており、これらはそれぞれのやり方から生じたデータ分析に特有の問題について述べている。最後に、フリック(2017c)によるグラウンデッドセオリーについての新しい本も、「キット」全体の視点を補完するものである。本書では本「キット」に補足して、質的研究におけるコンピュータの使用と、記録やメモ、研究日誌のようなデータを形成する文脈の中で書くことにかなりの注意を払った。言語データを書き起こすことについても役に立つ提案をしている。倫理*や分析の質にも言及したその提案は、「SAGE質的研究キット」中の、研究過程において質をデザインし扱うことに関するフリック(Flick, 2017a, b)の巻を補完するものである。本書『質的データの分析』第2版に関しては、全体がアップデートされ拡張されている。したがって、新しい「キット」の新しい版、新しい本との連関がはかられている。