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李光鎬・渋谷明子 編著
鈴木万希枝・李津娥・志岐裕子 著

メディア・オーディエンスの社会心理学
――


A5判並製408頁

定価:本体3000円+税

発売日 17.4.11

ISBN 978-4-7885-1517-8

cover


◆メディア研究の面白さを知り、自ら探究するための手引き
 毎朝家で新聞を読み、毎晩テレビでニュースを観る時代から、スマホのアプリでニュースを読む時代へ──メディア環境の急激な変化は私たちに何をもたらすのでしょうか。オーディエンスのメディア利用行動やコミュニケーション行動等に関する社会心理学的な代表的研究・古典的研究を体系的にまとめて紹介する、これまでになかったテキスト登場。興味深いトピック、方法論的な知識に関するコラムや演習問題付き。社会心理学・メディア論・コミュニケーション論を初めて学ぶ人から、メディアと人の関わりをより深く理解したい人まで。

メディア・オーディエンスの社会心理学 目次

メディア・オーディエンスの社会心理学 まえがき(抜粋)

ためし読み

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メディア・オーディエンスの社会心理学 目次
まえがき

第T部 ジャンル別の利用行動と心理

第1章 ニュース
  1.ニュースとは何か
  2.メディア環境の変化とニュース利用
  3.ニュース報道がもたらす認知的影響
  4.ニュースによる政治的知識の学習

第2章 メディア・エンタテインメント
  1.メディア・エンタテインメントの利用状況
  2.メディア・エンタテインメントを利用する動機
  3.メディア・エンタテインメントを楽しむ心理

第3章 スポーツ
  1.スポーツコンテンツの人気
  2.スポーツの観戦動機
  3.メディアの媒介による影響

第4章 広告
  1.消費空間・メディア空間における広告
  2.マスメディア時代の広告効果モデル
  3.インターネット時代の広告効果モデル

第5章 ゲーム
  1.ゲームのおもしろさと市場の変化
  2.ゲームの利用動機とゲームプレイ
  3.ゲームに熱中する人のパーソナリティ
  4.ゲーム依存と社会的適応

第2部 表象とステレオタイピング

第6章 エスニシティ
  1.ステレオタイプになりやすいマイノリティや外国人
  2.ニュースと外国・外国人イメージ
  3.エンタテインメントや広告における外国イメージ
  4.メディア接触などの間接経験の影響と直接経験
  5.多文化共生社会に向けて

第7章 ジェンダーとセクシュアリティ
  1.広告と消費場面におけるジェンダー、身体、美
  2.広告におけるジェンダー表象の影響
  3.メディアコンテンツにおけるセクシュアリティ
  4.ソーシャルメディアにみるジェンダー的自己表現

第8章 コンフリクト
  1.ニュース価値としてのコンフリクト
  2.コンフリクトの伝え方
  3.コンフリクトフレームとその影響

第U部 様々なオーディエンスとメディア

第9章 子ども
  1.子どもたちのメディア利用
  2.メディア教育の意義と変遷
  3.メディア教育の効果
  4.メディア教育に効果がみられる理由
  5.メディア教育の今後の課題と展望
  6.メディアリテラシー

第10章 青少年
  1.メディアの暴力シーンの影響
  2.メディアの性的シーンの影響
  3.メディアの反社会的シーンの影響──飲酒、喫煙、自殺など

第11章 消費者
  1.消費者のメディア利用状況
  2.オンライン口コミの影響力の源泉
  3.オンライン口コミを促進する要因

第12章 有権者
  1.有権者の政治意識と政治情報
  2.政治報道の影響
  3.ジェンダー・メディア・政治
  4.多様化するメディア環境における政治広告 261
  5.新しい限定効果の時代へ

第13章 生活者
  1.環境報道における環境問題の表象
  2.環境広告・キャンペーンのフレームと効果
  3.健康に関する情報源としてのメディア
  4.健康キャンペーンのフレームと効果

第14章 ファン
  1.ファン心理の構造
  2.ファンのメディア利用
  3.メディアの発達とファンをめぐる関係性の変化

第V部 オンラインとモバイル

第15章 インターネット上の情報共有・検索
  1.ソーシャルメディアの普及と情報検索システムの技術発展
  2.知識共有コミュニティへの期待と可能性
  3.情報共有・検索における社会的課題

第16章 オンライン・コミュニケーション
  1.オンライン・コミュニケーションの特性
  2.なぜ人々はオンライン・コミュニケーションを行うのか?
  3.オンライン・コミュニケーションの課題

第17章 デバイスの融合とモバイルメディア
  1.デバイスの融合とメディア利用行動の変化
  2.モバイルメディアとコミュニケーション
  3.モバイルメディアの発達で変化する行為可能性
  4.モバイルメディアとネット依存


1 コミュニケーションの二段階流れ仮説【トピック】
2 イグゼンプラー効果【トピック】
3 研究テーマの見つけ方【方法論】
4 「利用と満足」のアプローチ【トピック】
5 質問紙調査【方法論】
6 サンプリング【方法論】
7 広告反応尺度【尺度】
8 広告と記憶【トピック】
9 認知欲求尺度【尺度】
10 ゲーム脳【トピック】
11 パーソナリティ【トピック】
12 培養理論【トピック】
13 統計的に有意な結果【方法論】
14 内容分析【方法論】
15 テキストマイニング【方法論】
16 沈黙の螺旋(ら せん)理論【トピック】
17 平均値の差の検定【方法論】
18 クロス集計とカイ二乗検定【方法論】
19 ニュースに対する批判的思考尺度【尺度】
20 攻撃性尺度【尺度】
21 攻撃の一般モデル【トピック】
22 認知的不協和理論【トピック】
23 オピニオンリーダーシップ尺度【尺度】
24 第三者効果【トピック】
25 政治的シニシズム、政治的有効性感覚【尺度】
26 実験集団と統制集団【方法論】
27 リスク認知【トピック】
28 内集団/外集団【トピック】
29 コーダー間信頼度【方法論】
30 多項目からなる質問群をまとめる方法【方法論】
31 クラスター分析【方法論】
32 インターネットリテラシー【尺度】
33 縦断研究(パネル研究)【方法論】
34 メタ分析【方法論】
35 ヤングのネット依存尺度【尺度】


人名索引
事項索引


装丁◇新曜社デザイン室


メディア・オーディエンスの社会心理学 まえがき(抜粋)

本書は、社会心理学の視点で行われたメディア・コミュニケーションに関するこれまでの研究成果を、主に学部の大学生に、幅広く学んでもらうための教科書として企画されたものである。ジャーナリズムをはじめとするメディアの送り手に関する研究分野に比べ、メディアのオーディエンスに関する社会心理学的な研究分野の網羅的な教科書は相対的に少なく、長年、授業を担当しながらその必要性を痛感してきたことが、本書の執筆に際して私たちが抱いていた共通の思いである。その思いから練られた最初の構想を、全面的に実現することは叶わなかったが、この研究分野の全体像がつかめると同時に、個別テーマについても十分な知識を習得できる内容にしたいという当面の目標は、ある程度、達成できたのではないかと思っている。学生および一般の読者の皆さんが、様々なメディア・コミュニケーションの問題に関心をもち、自ら探求し、実証し、考察する活動を行ううえで、この本が一つのきっかけになり、手引となることを願っている。

 章によって少し異なる部分もあるが、私たちはおおむね次のような方針を念頭に、執筆を行った。各テーマ領域における研究状況を概観するだけでなく、研究のリアリティが理解できるよう、具体的な方法や手続きを含め、詳細な研究紹介を行うこと、学生の自主的な学習を促すアクティブ・ラーニングを後押しできるよう構成を工夫すること、予備知識なしに読み始めても、ある程度理解できるよう、わかりやすい記述を心がけること、などがそれである。例えば、実験例の紹介においては、用いられた素材や実験のデザイン、測定尺度などについても、詳しく解説しようとした。各章の章末には、自主的な発展学習を助けるための文献・資料紹介と演習問題を用意しておいた。また「コラム」という形で、いくつかの主要理論の解説に加え、学生たちがよくぶつかる方法論上の疑問にも答えようと努力した。演習や卒業論文の執筆に役立つよう、よく利用される測定尺度もいくつかコラムに載せた。

 本書は・部構成になっている。第・部(第1〜5章)では、まず様々なメディアコンテンツの利用実態を確認し、主に「利用と満足」のアプローチから、それぞれのメディアコンテンツの利用を導く私たちの欲求、そしてその利用が私たちの現実認識や信念、意見や態度にもたらす影響の諸相に目を向ける。

・・・・・・

 本書の大まかな企画案を新曜社に送ってから2年半の月日が流れた。日々の仕事をこなしながら、教科書の執筆を着実に進めていくことは予想以上に難しく、最初の予定からまる1年遅れでの刊行となった。遅々として進まず、入稿のスケジュールが遅れても、本書の企画を見捨てず、最後まで支援してくださった新曜社と編集を担当してくださった田中由美子氏に、この紙面を借りて御礼を申し上げたい。タイトなスケジュールで、内容を完成させながら形を整えていくことになり、多くの負担をおかけした。

 念願の教科書を手に入れ、もうすぐ春学期の授業が始まる。学生たちがこの本をどのように使い、そこから何を生み出してくれるのか、とても楽しみにしている。そして、本書が、教科書として使われる範囲を超え、メディア・コミュニケーション現象に関心をもつ多くの方々に読まれ、メディア・オーディエンス一般についての理解を助けるとともに、自らのメディア利用を振り返る機会を提供することに少しでも貢献できれば、私たちにとっては大きな喜びである。

 末筆ながら、私たちをこの研究分野に導いてくださり、長年ご指導くださった慶應義塾大学名誉教授の青池愼一先生と萩原滋先生に、この紙面を借りて感謝の意を表したい。

2017年3月
著者一同