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好井裕明・三浦耕吉郎・小川博司・樫田美雄・栗田宣義 編

新社会学研究 2016年 1号
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A5判並製180頁

定価:本体1800円+税

発売日 16.11.1

ISBN 978-4-7885-1503-1

cover


◆社会学の革新にむけて
 社会学の知的営為の更なる発展を目指し新たな学術雑誌が誕生しました。代表的な学術雑誌(『社会学評論』等)の編集委員を経験した練熟の社会学者が編者となり、文化、ジェンダー、親密圏、教育、エスニシティ、宗教、法律、政治、経済と現代日本の各所に潜む矛盾と課題を解決する力をもった社会学の知を求めて、毎号を編みあげます。創刊号では特集テーマとして「〈いのち〉の社会学」、公募テーマとして「生きづらさとはいったい何なのかを設定し、六篇の力作研究と、編者による映画・ファッション・査読・ビデオ調査等の論考を集めました。社会学の新たな〈場〉を目指した挑戦にご期待ください。

新社会学研究 2016年 1号 目次

新社会学研究 2016年 1号 巻頭言

ためし読み

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新社会学研究 2016年 1号 目次
巻頭言

巻頭エッセイ 社会学と芸術 小川博司

[特集] 
〈いのち〉の社会学
特集〈いのち〉の社会学によせて 三浦耕吉郎
〈尊厳ある生〉のなかでの看取りとは? ─極私的社会学・序 三浦耕吉郎
〈生〉と〈身〉をゆだね、あずけること 出口泰靖
    ─「認知症」とされる人と私の〈かわし合い〉のフィールドワークから
いのちとおうち ─野宿者支援・運動の現場への手紙 山北輝裕
死に支えられた幸福の国と「曖昧な死」への意味づけ 金菱 清
    ─ブータンから東日本大震災への応答

[連載]
くまじろーのシネマ社会学@
 「ふりかえるべき」戦争と「かつてあった」戦争 好井裕明
音楽する映画@
 『アーティスト』─映画と音楽の蜜月はトーキー映画によって始まったのか 小川博司
論文投稿と査読のホントのところ@
 点法と減点法の齟齬問題の周辺 査読ア太郎
ネコタロウに聞け! 社会学者スーパースター列伝@
 ラザースフェルド 栗田宣義
 
[公募特集]
生きづらさとはいったい何なのか
公募特集によせて 好井裕明
「性的冒険主義」を生きる 大島 岳
    ─若年ゲイ男性のライフストーリーにみる男らしさ規範と性
「カツラ」から「ウィッグ」へ 吉村さやか
    ─パッシングの意味転換によって解消される「生きづらさ」
子づれシングル女性の生きづらさ 神原文子
    ─奈良市ひとり親家庭等実態調査より

[連載]
ビデオで調査をする方法@
ビデオで調査することのメリットとデメリット 樫田美雄
    ─「リアリティ喚起力の大きさ」と「常識に汚染されるリスク」
ファッション&パッション@『non-no』から始めよう 栗田宣義
同人書評
ネコタロウに聞け! 外伝篇@ ディストピア 栗田宣義

編集後記

装幀=新曜社デザイン室


新社会学研究 2016年 1号 巻頭言

  『新社会学研究』は、「創刊の言葉」で記したとおり、社会学の技術と精神の、普及、告知、称揚、涵養、発展、革新を図る学術誌たることを、その使命とする。この理念に共鳴、賛同していただいた併せて六篇の珠玉の研究成果を核として、同人による文章を加え、ここに首尾良く、新雑誌創刊号を上梓することが出来た。頗る有り難く、幸運なことだ。

 われわれ同人は、『社会学評論』の編集委員会同期メンバーであったが、会議後の居酒屋談義では、日本社会学会を愛して已まないが故に、『社会学評論』に伴走し、なおかつ挑戦する新雑誌の夢が語られた。新曜社の強力な扶けを得ることで、見果てぬ夢に終わることなく、われわれの構想は、昨年の同人創設に結実することになった。幾度もの同人会議と七百通近くにも及ぶメール交換を経た果実が本誌である。

 この果実は甘いのか苦いのか、『新社会学研究』の意義と内容の評価は、読者諸氏ならびに、マンハイムがユートピアの定義で記したように、後世の歴史家にお任せすることにしよう。ただ、われわれ、同人は、社会学という愛すべきディシプリンを、世過ぎの糧と誹ることはしたくない。自身の威信や功名を得るための手立てに貶めることもしたくはない。かつまた、偏狭な理念や運動の囚人として縛ることにも抗いたい。デュルケムが宣べたように、僥倖にも人類が到達した知的最終地平に位置する社会学、という思索・実践・批判・内省からなる集合行為を介して、この世に生を受けた全ての魂と共に、聴き、感じ、想い、読み、語り、書き、作り、歌い、憤り、闘い、許し、請い、泣き、笑い、愉しみ、喜び、祝い、与え、捧げ、そして、祈りたい。心の底から欲し、それを望む。

 無機質な形式主義に陥ること無く(faithfulness)、万人に公正な姿勢を貫き(fair)、自由(freedom)かつ友愛(fraternity)に満ちた、豊かな世界の再生もしくは新たなる創造に向けて、われわれの社会学の知的営為が、些かなりとも資することができれば、これに勝る喜びはない。

  内海の彼方、淡路、讃岐、和泉を望む『新社会学雑誌』事務局、
              神戸六甲摩耶山麓にて

      好井裕明・三浦耕吉郎・小川博司・樫田美雄・栗田宣義