はじめての死生心理学

現代社会において,死とともに生きる

著者 川島 大輔
近藤 恵
ジャンル 心理学・認知科学・臨床 > 臨床
出版年月日 2016/10/03
ISBN 9784788514928
判型・ページ数 A5・312ページ
定価 2,970円(本体2,700円+税)
在庫 在庫あり

「死とは何か」「生きるとは何か」という問いに,私たちはどのような理解を共有できるだろうか。死への態度,死に逝く過程,死別による悲嘆,自殺の問題を中心に,死生心理学の現在を紹介した日本ではじめての入門書。体験的理解のための〔ワーク〕付。

本書のワーク、および本書に収録されていない関連図表を、下記ウェブサイトで閲覧、ダウンロードできます。
公開資料

はじめての死生心理学――目次


序 章
1.はじめに─死生学という学問領域と死生心理学
(1)死への多様なアプローチと死生学
(2)死生心理学とは
2.本書の位置づけと各章の紹介
(1)本書の位置づけ
(2)各章の紹介

第1部 死を見つめる─死生心理学の主要な研究領域を概観する

第1章 死への態度
1.はじめに
2.死への態度に関する心理学的研究には
 どのような歴史的背景があるのか?
(1)欧米での研究
(2)日本での研究
3.死に関する尺度にはどのようなものがあるのか?
(1)死の不安尺度
(2)死(生)観尺度
(3)死への態度尺度
4.死への態度に影響する要因にはどのようなものがあるのか?
(1)年 齢
(2)宗教的要因
(3)社会・文化的要因
5.死への態度研究は現代社会にどのような視座を提供するのか?
(1)医療現場への視座
(2)デス・エデュケーションの視座
6.おわりに

第2章 死に逝く過程
1.はじめに
2.死に逝く過程に関する心理学的研究には
どのような歴史的背景があるのか?
(1)欧米の死に逝く過程に関する古典的研究
(2)死の受容5段階モデルに対する批判とは?
(3)国内における「死生観」に関する先駆的研究や著書には
   どのようなものがあるか?
3.緩和ケアとは何か?
(1)緩和ケアの定義
(2)緩和ケアとホスピスの違いとは?
4.がん患者とその家族に対するケアとは?
(1)成人のがん患者とその家族に対するケア
(2)終末期の子どもたちとその家族に対するケア
5.エンド・オブ・ライフケアとは何か?
(1)エンド・オブ・ライフという時間について
(2)予期悲嘆の問題について
6.良い死とは何か?
(1)日本人にとって望ましい Quality of Death and Dying とは?
(2)緩和ケアにおけるコミュニケーション─悪い知らせを
  伝える際の,よりよいコミュニケーションとは?
7.おわりに─いのちがリレーされていくこと

第3章 死 別
1.はじめに
2.悲嘆(グリーフ)とは何か? 人はどのような
悲嘆過程をたどるのか?
3.人は悲嘆からどのように回復するのか
(1)悲嘆からの回復と適応
(2)悲嘆(グリーフ)の具体的な対処方法
4.悲嘆の回復を阻害する要因
(1)複雑性悲嘆
(2)回復を困難にする文化的・社会的要因
5.グリーフケアとは?─悲嘆の回復を支える支援
6.おわりに─悲しみとともに生きるとは

第4章 自 殺
1.はじめに
2.日本の自殺にはどのような特徴があるのだろうか?
(1)日本の文化的背景と自殺
(2)自殺の現状
3.自殺の基本認識にはどのようなものがあるのだろうか?
(1)自殺の基本認識
4.自殺者の心理社会的特徴にはどのようなものがあるのだろうか?
(1)心理学的剖検
(2)心理学的剖検による自殺予防
(3)日本の心理学的剖検からみた自殺者の世代別特徴
5.自殺を予防するにはどうすればいいのだろうか?
(1)自殺予防の3段階
(2)メディカルモデルとコミュニティモデル
(3)身近な自殺予防
6.おわりに

第2部 死と向き合う─人生を通じた死生との向き合い方を考える

第5章 周産期・乳児期における死
1.はじめに─いのちの誕生の分水嶺で,
  社会的に見えにくくなっている死
2.生と死をまたぐいのちの経験はいかようか?
 ─母として,父として,夫婦として
(1)つながらないいのち─流産,死産,そして新生児死
(2)絶たれるいのち,芽生えないいのち
  ─中絶すること,着床しないこと
(3)亡くなる赤ちゃん─乳幼児突然死症候群
3.子どもとの愛着を築き直すプロセスでのケアとは?
 ─医療現場で,地域社会で
(1)医療現場でしっかりと悲嘆に向き合うということ
(2)地域社会で子どもの死を共有するということ
4.おわりに─いのちの神秘と生の奇跡,今ここにある存在を
  尊ぶということ

第6章 幼児期・児童期における死
1.はじめに─「死んだらどうなるの?」という質問に
  どう答えるか
2.「死を理解している」とはどういうことか
 ─死の概念を構成する要素
3.死の理解はどのように発達するのか
(1)死の概念理解の発達における認知発達理論の枠組み
(2)死の概念を獲得する年齢
(3)日本の研究,諸外国との相違
(4)死の概念の獲得に関連する要因
(5)要素に分解される死の理解への批判
4.死を身近にした子どもとどうかかわるか
(1)死に逝く子どもたちの実態
(2)死に逝く子どもたちの症状と心理
(3)死に逝く子どもの死の理解
(4)死に逝く子どもたちへのかかわり
5.遺された子どもをどう理解し,ケアできるのか
(1)死別による子どもの悲嘆反応
(2)死別による影響
(3)故人との関係による特徴
(4)子どもの悲嘆へのケア
6.いのちの教育とはどのようなものか
(1)死を扱う教育
(2)死を扱う教育の課題
7.おわりに─死を身近にした子どもとかかわること

第7章 青年期における死
1. はじめに
2. 青年にとっての死はどのように語られてきたか
3. 青年にとっての死とは?
(1)青年は死をどのように捉えているのか?
(2)青年期に見られる死への恐怖や不安の特徴とは?
(3)自身の死に直面した青年はどんな体験をするのか?
(4)青年は重要な他者の死をどのように経験するのか?
4.青年期の自殺の実態と有効な予防対策とは?
(1)日本における青年期の自殺の実態
(2)青年期の自殺の特徴とは?
(3)青年期における自殺の危険因子
(4)青年期の自殺を防ぐためには?
(5)学校における自殺予防教育とは?
(6)自殺関連情報への接触(三人称の死)が青年に及ぼす影響
5.おわりに

第8章 成人期における死
1.はじめに
2.成人が死を意識するときとは?
(1) 次の世代を育むことと死を意識すること
(2)前の世代を見送ること
3.成人は死とどのように向き合うのか?
4.成人期において,死に逝く者とその家族は何を思うのか?
5.働く世代における死別経験は,遺された家族に
 どのような影響を及ぼすのか?
(1)配偶者との死別後の適応とケア
(2)子どもとの死別後の適応とケア
6.おわりに
(1)成人期において死生を語ることの意義と困難
(2)現代社会において死とともに生きるために

第9章 中年期における死
1.はじめに─中年期とはどのような時期なのか?
2.中年期にとって一人称の死とは?
3.大切な人を亡くす悲しく辛い経験にどう向き合うのか?
(1)親の死
(2)配偶者・パートナーの死
(3)子どもの死
(4)友人の死
(5)ペットの死
4.大切な人を亡くす経験は,ただ悲しいだけの経験なのか?
5.おわりに─現代社会において,死とともに生きるには?
(1)「死を考えることは生を考えること」
(2)死別経験後のポジティブな変化は必要なのだろうか?

第10章 老年期における死
1.はじめに─老年期とはどんな時期なのか?
2.高齢者は自らの死をどう捉えているのか?
(1)歳をとると死が怖くなくなるのか?
(2)高齢者はあの世を信じているのか?
3.高齢者はどのようないに臨むのか?
(1)終活ブームとその実態とは?
(2)高齢者はどこでどのような最期を迎えたいのか?
(3)高齢者の身終いに周囲の人はどのように
  かかわればよいのか?
4.年をとれば身近な人との別れに慣れるのか?
5.何が高齢者を自殺に追い込むのか?
(1)高齢者の自殺の実態とは?
(2)高齢者の自殺を予防するために必要なことは何だろうか?
6.おわりに─現代社会において,老いと死とともに生きるとは

第3部 死を探求する─研究方法について学ぶ

第11章 研究倫理
1.はじめに─研究と倫理の関係
2.死生を研究するとはどういうことなのか?
3.死生心理学研究に必要な倫理とは何か
(1)研究計画を立てる
(2)研究を行う
(3)研究をまとめて公表する
4.それぞれの死生心理学研究で考えるべき倫理とは
(1)死への態度研究
(2)死に逝く過程の研究
(3)死別研究
(4)自殺予防研究
4.おわりに

第12章 質的研究法
1.はじめに
2.死生心理学において質的研究はどのように
  位置づけられているのか?
3.死生心理学において質的研究にはどんな意義があるのか?
4.死生心理学においてどのように質的研究の調査を行えば
  よいのか?
5.インタビュー法
(1)インタビュー法の前提
(2)インタビュー法の手順
(3)インタビュー法の限界
6.死生心理学においてどのように質的研究の分析を
  行えばよいのか?
(1)質的研究の分析法にはどのようなものがあるか
(2)テキストマイニング法の概要と限界
7.おわりに─現代社会において,死とともに生きるには

第13章 量的研究法
1.はじめに
2.心理尺度を用いた研究
3.死に対する価値観
4.自 殺
5.悲 嘆
6.その他の量的研究
(1)恐怖管理理論
(2)その他の方法
7.量的研究における課題
8.おわりに

終 章

Appendix
引用文献
人名索引
事項索引

ウェブ公開資料集

本書のワーク、および本書に収録されていない関連図表を、下記ウェブサイトで閲覧、ダウンロードできます。

公開資料 https://www.shin-yo-sha.co.jp/link/open_doc.pdf
ワーク https://www.shin-yo-sha.co.jp/link/work.pdf

  装幀=新曜社デザイン室

コラム一覧

1章 なぜ日本では自宅での看取りが少ないのか?
    ─最期の場所に関する希望と現実の乖離24
2章 死期に近づいた人々が大切な人に手紙を書くということ
    ─ディグニティセラピーの紹介42
3章 外傷後成長61
4章 災害と自殺79
5章 新型出生前診断が問いかけたもの100
6章 子どもが自殺関連行動にさらされることの問題117
7章 インターネットを使って青年の自殺を防ぐことは可能か?135
8章 家族システムという観点からみた成人期における死の経験について153
9章 中年期危機と死171
10章 アメリカにおける終活の現状と課題188
11章 死者の表象207
12章 論文としてまとめ,発表する224
13章 死の不安や死後の世界の心理学の今243

ワーク一覧

ワーク0  こころの準備運動6
ワーク1  もし,死がなかったら26
ワーク2  尊厳のある死をめぐって44
ワーク3  グリーフマップを描こう63
ワーク4  自殺予防クイズ80
ワーク5  もし死後の世界があるとしたら─「あの世」のイメージ101
ワーク6  子どもに死を説明する118
ワーク7  自殺の危機対応場面について考える137
ワーク8  遺されたもの155
ワーク9  喪失のスケッチ172
ワーク10 エンディングノート190
ワーク11 研究倫理チェックリスト208
ワーク12 事例を提示する226
ワーク13 死に対する態度を測定する244

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