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スタイナー・クヴァール 著/能智正博・徳田治子 訳

質的研究のための「インター・ビュー」
――SAGE質的研究キット2


A5判並製268頁

定価:本体2700円+税

発売日 16.4.15

ISBN 978-4-7885-1475-1

cover


◆インタビュー必携!
 インタビューは、質的研究の要とも言える重要な技法です。誰にでも出来そうに思えますが、質の高いインタビューをするためには高度な訓練と周到な準備、実施に当たっての細心の配慮が求められます。著者クヴァールは、日本でもよく知られたインタビュー研究者で、単にインタビューの具体的なノウハウを解説するだけでなく、哲学、社会学、教育学、心理学など、多岐にわたる分野の重要な研究に触れながら、インタビューがどういう営みであるのかを丁寧に解説しています。インタビューの初心者にとって必読書であるだけでなく、経験者にも、研究を振り返り発展させる契機となる本です。

質的研究のための「インター・ビュー」 目次

質的研究のための「インター・ビュー」 本書について(ウヴェ・フリック)

ためし読み

◆「SAGE質的研究キット」シリーズ

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質的研究のための「インター・ビュー」 目次
編者から(ウヴェ・フリック)
「SAGE 質的研究キット」の紹介
質的研究とは何か
質的研究をどのように行うか
「SAGE 質的研究キット」が扱う範囲
本書について(ウヴェ・フリック)
はじめに
本書のねらい
本書の構成
本書の焦点
謝  辞

1 章 インタビュー調査ことはじめ
 3 つのインタビュー事例
 歴史と社会科学のなかでのインタビュー調査
 方法論的・倫理的諸問題

2 章 インタビュー実践の認識論に関わる問題
 質的な調査インタビューにおける理解の様式
 質的な調査インタビューにおける力関係の不均衡
 哲学的対話と臨床面接の間に位置する調査インタビュー
 インタビュアーは鉱夫か旅人か
 インタビューの知に関わる認識論

3 章 インタビュー実践の倫理的課題
 道徳的探求としてのインタビュー実践
 インタビュー研究全体を通じた倫理的課題
 倫理ガイドライン
 インタビュー調査におけるミクロな倫理とマクロな倫理

4 章 インタビュー調査を計画する
 インタビューを使った探求の7 段階
 インタビュー調査のテーマ設定
 インタビュー調査のデザイン
 混合法
 方法と職人技のはざまにあるインタビュー実践

5 章 インタビューを実施する
 成績について教室で行なわれたインタビュー
 インタビューの場の設定
 インタビューの台本作り
 インタビュアーの問い
 追加質問の技法

6 章 インタビューの多様なかたち
 インタビューの対象者
 インタビューの諸形式
 直面的なインタビュー

7 章 インタビューの質
 ハムレットのインタビュー
 インタビューの質
 すぐれたインタビュアーであるための条件
 インタビュー調査の質に関してありがちな異論
 誘導的な質問
 学術的責任と倫理的責任の緊張

8 章 インタビューを文字に起こす
 話し言葉と書き言葉
 インタビューを記録する
 インタビューの文字起こし
 文字起こしの信頼性と妥当性
 インタビューの分析のためのコンピュータ・ツール

9 章 インタビューを分析する
 インタビューの分析をインタビュー研究に統合する
 分析の諸様式
 意味に注目した分析
 言語形式に注目した分析
 ブリコラージュとしてのインタビュー分析
 理論的な読みとしてのインタビュー分析

10 章 インタビューから得られた知の妥当化と一般化
 インタビューから得られた知の客
 オブジェクティヴィティ
 観性
 インタビューから得られた知の信頼性と妥当性
 職人性の質としての妥当性
 コミュニケーションによる妥当性とプラグマティックな妥当性
 インタビュー調査からの一般化

11 章 インタビューの知を報告する
 インタビューの報告の対照的な受け取り手
 インタビューの報告を仕上げる
 インタビューの報告の質を高める

12 章 インタビューの質のさらなる向上に向けて
 インタビュー実践の職人技を学ぶ
 インタビューの知の価値
 インタビューの知の認識論と倫理についての概念

 訳者あとがき
 用語解説
 文 献
 人名索引
 事項索引

  装幀=新曜社デザイン室


質的研究のための「インター・ビュー」 本書について(ウヴェ・フリック)

 インタビューは、質的研究においてデータを収集する際に用いられる主要なアプローチの1つである。さまざまな目標と原理をもつインタビューをどのように実施するか、私たちは多様なやり方を知っている。しかし同時に、インタビューを実施する際には、インタビューに関わるすべての手順に共通した長所や慣習や難しさが数多く伴うものである。インタビューの実施に関しては、異なる観点から─たとえば理論的、認識論的、倫理的、実践的な観点から─論じることができる。また、ひとたびインタビューが実施された後には、次のようなステップが待っている。まずは、そのインタビューで聞き取った内容を記録する具体的な方法として文字起こしが必要で、そのルールが問題となる。続いて、インタビューのデータに質的な分析を施すために、具体的な方法が求められる。インタビューを実施するとさらに、インタビュー全般の質─特にその妥当性─を高める必要性が生まれるほか、何が語られそれをどのように分析したかについて最終的に報告することも必要になる。

 本書は、インタビューを行なうためのこうした問題のすべてを、きわめて詳細に扱っている。本書の土台には、インタビューを実施したり、インタビューとその実践について執筆したりしてきた筆者の長い経験がある。「SAGE質的研究キット」の一冊として、本書はデータ収集を中心的なテーマにしているが、この特定のかたちのデータを分析し評価する際の具体的な問題にも注目している。

 本書で述べられていることを補うのに、質的研究キットの他の何冊かが役立つだろう。とりわけ、質的データの分析を扱っているギブズ(Gibbs, 2007)やディスコース分析や会話分析をテーマとするラプリー(Rapley, 2007)は、インタビュー(およびその他のデータ源)から得られた質的データを分析する方法について、より多くの情報をもたらしてくれる。フリック(Flick, 2007a)は、質的研究を計画しデザインすること(および、インタビューを行なうこと)の詳細に踏み込んでいる。また、質的研究の質に関する諸問題は本書のテーマでもあるが、フリック(2007b)は質的研究の質の管理をテーマとした巻においてさらに詳しく議論している。データ収集に関する別の、ないし追加的な方法は、質的研究キットの他の巻に素描されている。たとえばアングロシーノ(Angrosino, 2007)は、参与観察とエスノグラフィーを(そこでのインタビューの利用も含めて)紹介している。バーバー(Barbour, 2007)は、1対1のインタビューに代わるものとして、フォーカスグループについてさらに詳しく論じている。また、バンクス(Banks, 2007)がより詳細に議論しているのは、ビジュアルデータの使用についてである。