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越智 啓太 著

ワードマップ 犯罪捜査の心理学
――凶悪犯の心理と行動に迫るプロファイリングの最先端


四六判並製224頁

本体2300円+税

発売日 15.12.1

ISBN 978-4-7885-1441-6

cover


◆FBI方式はもう古い?
 世間を震撼させる凶悪犯罪は、いつの時代も後を絶ちません。なぜそのような犯罪が起こるのでしょうか。理解しがたい犯罪を犯す人間は、どんな人柄で、いったい何を考えているのでしょうか。本書の前半では、犯人像や行動を推定して検挙するための最新の科学的知見に基づくプロファイリング手法と考え方とを網羅し、後半では犯罪の実例を取り上げながら、注意すべき凶悪犯の心理と行動を罪種別にわかりやすく解説しました。彼らの心理を知るのみならず、危ない状況を察知し、犯罪から自分の身を守るうえでも必須の知識が満載です。

ワードマップ 犯罪捜査の心理学 目次

ワードマップ 犯罪捜査の心理学 まえがき

ためし読み

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ワードマップ 犯罪捜査の心理学 目次

はじめに

第T部 犯罪捜査の心理学

 犯罪心理学犯罪者の心理はどのように研究されているか
 捜査心理学心理学を使って犯罪捜査を支援する
 プロファイリングの誕生どのようにして誕生したのか
 FBI方式のプロファイリング連続殺人犯の犯人像を推定する
 リヴァプール方式のプロファイリング最先端の統計学で犯罪捜査を支援する
 犯行テーマ分析なぜ犯人はその手口を使用するのか
 プロファイリングのための統計解析統計学を駆使して犯人像を推定する手法
 リンク分析どの犯罪が同一犯によって行われたのかを推定する
 地理的プロファイリング犯人の居住地と次の犯行地点を推測する
 動作・行動からのウソの見破りノンバーバルコミュニケーションでウソは見破れるか
 ポリグラフ検査生理反応で犯人を選別するテクノロジー
 中枢神経系の指標を用いた虚偽検出脳から犯人を識別するテクノロジー
 目撃者の証言目撃者の記憶はじつは脆弱である
 子ども・高齢者の目撃証言子どもと高齢者から正確な目撃証言を聴取するために
 似顔絵/モンタージュ写真/面割り目撃者の見た犯人の顔を再現するための技術
 取調べ犯人を自供させるためのコミュニケーション技術
 人質交渉人質を安全に解放し犯人を殺さずに確保する技術

第U部 凶悪犯の人格と行動パターン

 連続殺人連続殺人犯の動機と行動、プロファイリング
 幻覚型連続殺人妄想が引き起こす連続殺人
 使命型連続殺人信念が引き起こす連続殺人
 快楽型連続殺人なぜ性欲が連続殺人を引き起こすのか
 黒い未亡人型連続殺人伝統的で代表的な女性の連続殺人
 の天使型連続殺人なぜナースが患者を殺すのか
 大量殺人なぜ、全員殺してやると考えるのか
 テロリズムその殺人に大義はあるか
 放 火住宅街を恐怖に陥れる凶悪犯罪
 レイプレイプ犯の動機は本当に性欲なのか
 子どもに対する性犯罪なぜ彼らは子どもを狙うのか
 ストーキング被害者を守るためにストーカーの行動を分析する
 ドメスティックバイオレンス/デートバイオレンス
 暴力から逃れることができないのか
 強 盗犯人はなぜその店に押し入るのか

人名索引
事項索引

■装幀=加藤光太郎


ワードマップ 犯罪捜査の心理学 まえがき

 本書は、犯罪心理学の分野の中で、とくに犯罪捜査に関連した分野である「捜査心理学」の主要なキーワードについて解説を加えたものである。犯罪心理学についてのテキストとしては、私自身、すでに『ケースで学ぶ犯罪心理学』(北大路書房)と『progress and application 犯罪心理学』(サイエンス社)などを出版しているが、これらの本に対して、本書では、より深い内容と最先端の知識をできるだけ組み入れているところが特徴である。そのため、すでに入門書レベルの知識を持った人が「中級」の知識を得るために通読してもらうというのが、ひとつの使い方になると思う。また、もちろん、大学・大学院等での「犯罪心理学」等の講義における少し進んだテキスト、参考書として使うこともできる。

 ただし、本書の扱う分野については、第一線で活躍している警察官やその他公安職の方々、推理小説・警察小説のマニア、海外ドラマのファン、作家、マスコミの方々なども、ダイレクトに、より深い最先端の知識を知りたいというニーズが存在するということも確かである。また、日々報道される新しいタイプの事件に接して、「いったいなぜこんな事件が発生するのか」、「いったいこんな事件はどんな人が行うのか」、「警察はいったいどのような方法でこのような事件を捜査していくのだろうか」などの疑問は誰もが持つものだと思われる。そこで、もちろんこのようなユーザーの方々にも読んでいただけるように、予備知識がほとんどなくてもある程度の最先端の知識が理解できるように構成してみた。また、はじめから順を追って読まなくても、自分の知りたい部分だけを読んで理解できるように、各項目の独立性を高くした。

 本書の構成は大きく二つの部分に分かれている。第T部は、「犯罪捜査の心理学」と題して、捜査心理学のさまざまな手法、具体的には、プロファイリングや地理的プロファイリング、ポリグラフ検査、取り調べ、人質交渉などのテーマについて、その概要と現状、問題点や最新の研究についてまとめてある。第U部は、「凶悪犯の人格と行動パターン」と題して、さまざまなタイプの連続殺人、大量殺人、テロリズム、レイプ、強盗など罪種ごとの犯人の特徴と動機、行動の特徴についてまとめてある。また、第T部、第U部ともできるだけ実際の事件を例にあげながら、解説を加えている。これはよりリアルなケースを通じて、理論や研究を理解してもらいたいと考えたからである。

 まだまだ不十分なところもあるかもしれないが、現時点においては最新でかなり有用な犯罪捜査の心理学についてのハンドブックができあがったのではないかと自負している。

 本書は、新曜社の森光佑有氏の熱心なすすめと励ましがあってはじめて世に出すことができた。ここに御礼申し上げるとともに、当初設定してくださった締め切りから3年近く完成が遅れてしまったことをお詫び申し上げたい。また、本書の執筆にあたっては、法政大学大学院犯罪心理学研究室の大学院生の皆さんから、いろいろなアドバイスをいただいた。やはり、彼らの助けなしには完成することはできなかった。ここに感謝を捧げたい。

 犯罪心理学は、犯罪という人間のダークな部分に焦点を当てた研究分野であり、しかも、テレビドラマで活躍するかっこいいプロファイラーとは異なり、犯罪心理学者の仕事は、地味で地道である。しかし、犯罪を世の中からできるだけ少なくし、被害者の無念を晴らし、加害者を更正させ社会復帰させるという重要な役割を担っている学問分野であるともいえる。そのような点で多くの人にこの分野に関心を持っていただければ、そして、自分ももっと学んだり研究したりしてみたいと思っていただければ、幸いである。

 二〇一五年 一一月
越智啓太