戻る

丹野宏昭・児玉 健 著

人狼ゲームで学ぶコミュニケーションの心理学
――嘘と説得、コミュニケーショントレーニング


A5判並製168頁

定価:本体1700円+税

発売日 15.7.28

ISBN 978-4-7885-1439-3

cover


◆ゲームでコミュニケーションスキルを磨く!
 人狼ゲームが、子どもから大人まで楽しめるゲームとして今大人気です。人狼を探し出すために、あるいは人狼だと見抜かれないために、参加者は、騙したり説得したり、身振り手振りも動員して、コミュニケーションの限りを繰り出します。「究極の心理ゲーム」と言われる所以です。本書は、心理学のプロと人狼ゲームのプロがチームを組んでできあがりました。人狼ゲームをしながら嘘とは、説得とは何かを学び、コミュニケーションスキルをトレーニングする、楽しくてためになる心理学です。

人狼ゲームで学ぶコミュニケーションの心理学
目次

人狼ゲームで学ぶコミュニケーションの心理学
はじめに

ためし読み
Loading

人狼ゲームで学ぶコミュニケーションの心理学 目次
はじめに

第1章 人狼ゲームとは
 人狼ゲームの流れ
 人狼ゲームの歴史と現在
 人狼ゲームの魅力
 人狼ゲームをやってみよう
   人狼ゲームとは
   ゲームの準備
   役職カードの配布と確認
   オープンルールとクローズルール
   ゲームの進行
   ゲームの終了
   人狼ゲームの例 プレイログ
  コラム 民間伝承における人狼

第2章 人狼ゲームと嘘
 嘘とは何か
 「嘘」を学ぶことは重要
 しぐさから嘘を見破れるか
 嘘を見破る手がかり
 嘘を見破る可能性を上げるための方法
 専門家は嘘を見破れるのか
 嘘発見器は100%嘘を見破れるのか
 嘘っぽいと思われないために
  コラム インターネットの人狼ゲーム

第3章 人狼ゲームと議論・説得
 コミュニケーションと説得
 態度変容に関する基礎
   説得内容をしっかり吟味しないこともある
  「矛盾」は解消したい
  他人に強制されたくない
 どういう人から説得されやすいのか
   信ぴょう性の
   対人魅力
 どういう人が説得されやすいか
   性差
   知性
   自尊心
   不安
   セルフ・モニタリング
 説得・依頼のテクニック
   都合の悪いことを隠さない
   結論を明らかにすべきか
   情報を提示する順序
   ステルスマーケティングはなぜ有効か
   フット・イン・ザ・ドア・テクニック
   ドア・イン・ザ・フェイス・テクニック
   情に訴える
 議論中に生じる諸現象
   多数派と少数派の影響力
   最終的な決定が歪んでしまう
  コラム 人狼ゲームの経験によって変化する
        「嘘発見の手がかり」の信念

第4章 人狼ゲームを活用する
 社会的スキルとは
 人狼ゲームを用いたコミュニケーショントレーニング
   トレーニングを行う前に
   トレーニングの目的を教示
   人狼ゲームのルールと注意を説明
   人狼ゲームの実施
   ゲームの振り返り
   コミュニケーションのアドバイス
   トレーニング全体のまとめ
  コラム 世界のコミュニケーションゲーム、ドイツゲーム

ディスカッション<br />
おわりに
人狼ゲーム記録用紙
コミュニケーション振り返りシート
まとめシート

引用・参考文献
索引

装幀=荒川伸生


人狼ゲームで学ぶコミュニケーションの心理学 はじめに

  今、人狼ゲームが大ブームとなっています。人狼ゲームのイベントが毎日のように行われ、人狼ゲームを題材にしたテレビ番組・映画・舞台・漫画などが次々と世に出ています。人狼ゲームをやったことがなくても、名前ぐらいは聞いたことがあるという人は多いのではないでしょうか。

 人狼ゲームは、参加者の中にいる「人狼」を探し出すために全員で会議を行い、「人狼」だと思う人を多数決で選ぶゲームです。名前からは、とても血生臭い物騒なゲームのような印象を受けますが、実際は世界中で大人から子どもまで楽しまれているコミュニケーションゲームです。人狼ゲームは、参加者の会話によって進行します。参加者同士で会話して、駆け引きを行ったり、説得したり、嘘をついたり、誰かを信じたり、騙されたり ・・・ と、ゲーム中でさまざまなコミュニケーションが行われます。近年では、人狼ゲームのコミュニケーション要素が注目され、企業や教育機関の研修・就職採用や人事・婚活などにも人狼ゲームが活用されているようです。人狼ゲームでは、コミュニケーションを通じて「誰を信じるか」「誰を疑うか」を決定することが、ダイレクトにゲームの結末に影響していきます。この点から、人狼ゲームは「究極の心理ゲーム」と呼ばれることもあります。

 本書は、心理学のプロ(丹野)と人狼ゲームのプロ(児玉)が、人狼ゲームで交わされるコミュニケーションについて、それぞれの専門的視点から解説していく、という内容になっています。

 まず第1章では、人狼ゲームとはどのようなものであvるかについて、説明をしていきます。人狼ゲームをよく知らない人であっても、その舞台背景・歴史・魅力から、ルールや雰囲気までが掴めるように、簡単に解説をしていきます。

 第2章と第3章では、人狼ゲームで行われるコミュニケーションの諸現象について、心理学的な視点から解説をしていきます。第2章では、人狼ゲームの特徴のひとつである「嘘をつく・嘘を見破る」という事象に注目して、実際の人狼ゲームの内容と絡めながら、心理学的な見解を紹介していきます。次に第3章では、人狼ゲームで必要となる「議論における諸現象」、特に「説得」に関する心理学的な知見について、これも実際の人狼ゲームを踏まえながら解説していきます。

 第4章では、人狼ゲームを用いたコミュニケーショントレーニングを紹介します。人狼ゲーム体験を通じて、自身のコミュニケーションの特徴を把握し、より良いコミュニケーション技術を身につけることを目的として、トレーニングプログラムを作成しました。人狼ゲームをやったことがない方であっても、学校や企業の研修等で活用できるように、できるだけ丁寧に解説しています。

 なお、本書は「人狼ゲームの必勝法」を解説するような内容ではありませんし、本書を読んだからといって「人狼ゲームに強くなれる」ということも(おそらく)ありません。ゲームを通じてコミュニケーションの心理学に触れてみたいという方、いつも遊んでいる人狼ゲームを「心理学」という視点から見てみたいという方、ゲーム要素の強いコミュニケーショントレーニングを実施したいという方などに、本書をご活用いただければ幸いです。