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浅川伸一 著

ディープラーニング、ビッグデータ、機械学習
―― あるいはその心理学


A5判並製184頁

定価:本体2400円+税

発売日 15.2.10

ISBN 978-4-7885-1422-5

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◆機械学習に未来はあるか?
 インターネットが著しく発展し、膨大なデータを如何にして処理すべきかが問われるようになって、ビッグデータサイエンスに注目が集まるようになりました。大量の画像から「ネコ」を認識するニューラルネットワークがニューヨークタイムスのトップ記事になって話題を集めたのも記憶に新しいところです。ディープラーニングは大量のデータから情報を取捨選択して行動を決定している人間の情報処理過程に学びながら、性能を向上させてきました。機械学習に対して、心理学からどのような展望が描けるのでしょうか。機械学習から心理学へは、どのようなフィードバックが期待できるのでしょうか。本書は、ディープラーニングの基礎知識を懇切に解説したうえで、機械学習を心理学の見地から展望します。著者は、東京女子大学情報処理センター助手。

訂正・お詫び
下記申し訳ございません、訂正いたします。 P.80の20行目 【誤】ウシアンカーネル
【正】ガウシアンカーネル

ディープラーニング、ビッグデータ、機械学習 目次

ディープラーニング、ビッグデータ、機械学習 第1章 プロローグ

ためし読み
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ディープラーニング、ビッグデータ、機械学習 目次
第1章 プロローグ
 1・1 ディープラーニング,ビッグデータ,および機械学習
 1・2 本書の想定する読者
 1・3 本書の構成と特徴

第2章 第三次ニューロブーム前
 2・1 形式ニューロンのモデル
 2・2 ホップフィールドモデル
 2・3 多層パーセプトロン
 2・4 サポートベクターマシン
 2・5 多層化へ
 2・6 たかがネコでなぜそんなに騒ぐのか?

第3章 巨人の肩
 3・1 直系尊属ネオコグニトロン
 3・2 3層パーセプトロンの近似定理

第4章 心理学の来し方
 4・1 伏魔殿
 4・2 視覚情報処理
 4・3 ピアジェの認知発達
 4・4 言語獲得

第5章 ディープラーニング
 5・1 制限ボルツマンマシン
 5・2 コントラスティブダイバージェンス
 5・3 自動符号化(オートエンコーダ)
 5・4 畳み込みネットワーク
 5・5 ドロップアウト
 5・6 中間層の意味
 5・7 カリキュラム学習
 5・8 黒魔法

第6章 ビッグデータの心理学的解釈
 6・1 固有値問題のニューラルネットワーク的解法
 6・2 パーセプトロンモデル
 6・3 潜在意味分析
 6・4 ビッグデータ特異値分解のマーケティングへの応用

第7章 心理学の現し世
 7・1 表象問題
 7・2 生物学的妥当性
 7・3 宇宙人の脳
 7・4 神経心理学への示唆
 7・5 心理モデルとしてのニューラルネットワーク
 7・6 モデルの検討
 7・7 統計的推論
 7・8 勾配降下法の守備範囲

第8章 心理学の行く末
 8・1 サヴァン症候群
 8・2 存在しない人工知能─創造性
 8・3 サポートベクターマシンの逆襲可能性
 8・4 ジェフの夢はメグの夢

第9章 エピローグ

あとがき

付録A 関連URL

付録B 制限ボルツマンマシンを訓練するための実践ガイド
 B・3 コントラスティブダイバージェンスにおける統計の収集方法
 B・4 ミニバッチのサイズ
 B・5 学習状況のモニタ
 B・6 過学習のモニタ
 B・7 学習係数
 B・8 結合係数とバイアスの初期値
 B・9 モーメント法
 B・10 重み崩壊法
 B・12 隠れ層のユニット数

付録C 数学的記述
 C・1 総和記号、総乗記号
 C・2 微分,偏微分
 C・3 指数,関数
 C・4 畳み込み積分
 C・5 平正規分布
 C・6 線形数学
 C・7 尤度
 C・8 枝刈り法

引用文献
索 引


ディープラーニング、ビッグデータ、機械学習  第1章 プロローグ 抜粋

十分に発達したテクノロジーは魔法と区別がつかない
                                ─アーサー・C・クラーク

 2012年6月26日ニューヨーク・タイムズ誌のトップ記事で,膨大な量のグーグルの画像から「ネコ」が認識できるようになったと報道され,話題になった(http://www.nytimes.com/2012/06/26/technology/in-a-big-network-of-computers-evidence-of-machine-learning.html?_r=0)。ディープラーニングが提案され(2012年以降),圧倒的な性能差で他のアルゴリズムを抑えて大規模画像認識コンテストで優勝して以来,第三次ニューロブームの到来とも言われる。一方CPUパワーの向上と記憶装置の廉価化が進み,膨大なデータをいかにして処理すべきかが問われるようになってきて,ビッグデータサイエンスは衆目を集めるに至った。翻って考えてみるに,ディープラーニングは人間の視覚情報処理過程に学び,性能を向上させてきた。人間は日々大量のデータに曝され,そこから能動的に情報を取捨選択し,意思決定を行っている。この意味では人間はデータマイニングを逐次的に行っている情報処理機械である。こうしてみると,機械学習に対して心理学からどのようなパースペクティブが描けるのか,心理学的知見からどのような示唆が導出できるのかは魅力的なテーマに思える。逆に機械学習,計算論的知能から心理学への逆輸入も,この分野を活性化する一助となるであろう。このような動機から,本書は心理学的な見地を踏まえ,ディープラーニング,ビッグデータ,および機械学習の三者を捉え直すことを試みた。

 本書はディープラーニングの一般向け紹介書であり,ディープラーニングを構成する制限ボルツマンマシン(5・1節),畳み込みネットワーク(5・4節),ドロップアウト(5・5節)などを紹介する。数学的には完全に見えた3層パーセプトロン(3・2節)ではなく,なぜ深い(ディープ)ネットワークによる学習が必要なのだろうか。答えはおそらく,脳がそうやっているからやってみたら上手くいく方法が見つかったというところかと思う。もう少し詳しい議論は本論で展開する。ビッグデータを扱った章においてはフェイスブックやアマゾンの釣り広告の計算手法である特異値分解や潜在意味分析をいかに少ないメモリで答えを出すかに力点を置いて解説した。

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