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小熊英二 他

真剣に話しましょう
――小熊英二対談集


四六判上製368頁

定価:本体2400円+税

発売日 14.10.8

ISBN 978-4-7885-1399-0

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◆熱論ふたたび!
『〈民主〉と〈愛国〉』『1968』等の大作を世に問うてきた著者は対談の名手としても知られています。社会学者・上野千鶴子氏との対談では、上野氏の思想の核とその軌跡を描くことで、70年代からの社会変化を逆照射し、貧困に抗する社会活動家・湯浅誠氏との対談では、湯浅氏の「調整」活動の真意を問い、政治と社会をつなぐ運動の姿を模索する。憲法学者・木村草太氏には秘密保護法の是非から法を裏打ちするものを問い、世田谷区長・保坂展人氏には、地盤なき当選の経験と政治文化の変化を聞き出す。対談相手と真摯に向き合い、その思想・活動を丹念に読み込み、圧巻の社会分析へと展開するスタイルは健 在です。震災と原発事故以来、混迷錯綜を極める日本において確かな地歩を占める11人の論客との妥協なき対談から、社会を変える兆しが見えてきます。

真剣に話しましょう 目次

真剣に話しましょう あとがき

ためし読み

◆著者より
私たちは「戦後」を知らない

◆著者の本
1968 上
1968 下
単一民族神話の起源
<日本人>の境界
インド日記
戦争が遺したもの
対話の回路

◆書評
2014年12月5日、週刊朝日
2014年12月14日、京都新聞

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真剣に話しましょう 目次 対談者

震災後の日本社会と若者 古市憲寿

サヨクはなぜ経済成長の夢を見るか? 高原基彰
―「超安定社会」の廃墟から議論の足場を再構築するために

上野千鶴子を腑分けする  上野千鶴子
―「対幻想論」から『ケアの社会学』まで

グローバル社会運動と日本 小川有美・酒井啓子・篠田 徹
―代議制民主主義を超える民主主義の可能性

社会運動のつくり方  湯浅 誠
―世界を自分で変えるには

今回の国政選挙まで、とにかく懲罰投票が続いている。  保坂展人
有権者は現実として議員に期待をしていない

どう社会を変える≠フか  東 浩紀
―風営法問題、官邸前抗議、ヘイトスピーチ、総選挙……
  今、「リベラル」は何をすべきか

変化の手前にある現在 菅原 琢・韓 東賢
―二〇一三年の時代経験

憲法と政治参加を考える 木村草太
―特定秘密保護法と民主主義をめぐって

あとがき

装幀―難波園子


真剣に話しましょう あとがき

 本書は私にとって、二冊めの対談集である。一冊めは二〇〇五年に発刊した『対話の回路』(新曜社)だが、今回は『真剣に話しましょう』というタイトルにした。

私は研究者として、昔の雑誌や全集をよく読んだ。研究者になる前は編集の仕事をやり、現在は新聞の論壇委員をしている。そのため、雑誌などに掲載されている、さまざまな対談を読む機会は多かった。しかし、そのすべてが充実した対談だったわけではない。その理由は、日本における対談という存在の、性格にかかわっている。

一九八〇年代くらいまでの対談は、内容よりも、対談者の名前が重視されることが多かった。知識人や文学者の権威が高かったからである。そういう対談では、内容はどうでもいいので、あたりさわりのない世間話に終始しがちとなる。

 知識人や文学者の権威が低下した現代では、さすがにこうした対談は少なくなった。現代で増えているのは、分野を同じくする専門家などが、テーマを設定して話し合うスタイルの対談である。こうした変化は、基本的にはよいことだが、別の問題もある。

 こうしたテーマ設定型の対談は、雑誌や新聞を編集する側からいえば、論文より機動的に時事問題に対処する手段である。そのため、同じ専門領域の、同じような意見の持ち主どうしの対談が多くなりやすい。違う専門どうし、違う意見どうしの対談は、企画するのもむずかしいし、やっても成功がむずかしいからである。

 こうしたテーマ設定型の対談は、情報量が多いという点では、人物重視型の対談より得るところが多い。しかし、機動的という以外に、論文ではなく対談である必然性があるのかとなると、疑問が残ることもある。

 対談というからには、やはり相互のやりとりが大切だ。お互いに共通の認識や基盤があることは重要だが、意見の違う部分を交換して、一人だけでは至れない地点に発展させるプロセスがもっと重要である。

 自分が対談をやるからには、そういうことをやってみたい。うなずきあいの対談では面白くないし、「人の悪口は当人の前でしか言わない」のが私の信条でもある。『真剣に話しましょう』というタイトルは、そういった考えから付けたものである。

 こうした私自身の対談スタイルは、『対話の回路』に収録された対談と、あまり変わっていない。文面だけで読む方からみると、収録した対談には、対立的に映る場面も含まれているかもしれない。しかし実際の現場では、ほとんどの対談は、基本的にはよい雰囲気で行なわれていた。それは事前の準備をふくめ、私が真面目に対談に臨んでいることが、相手にも伝わっていたからだと思いたいところである。

 対談は、論文とちがって、「生もの」である。応答のなかで生まれる緊張感と即興感が長所である。内容そのものは、時事的なものであり、いずれは古くなる。しかし、そこに含まれている緊張感や瞬発力などを、共有していただければと思う。そうすることで、読者の側の生命力も活性化されれば、それ以上の幸いはない。

 それぞれの対談に応じてくれた方々、企画してくれた方々、編集に当たってくれた担当者などに、感謝を申し上げたい。

二〇一四年八月二四日
小熊英二