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近藤総子 編著

自分と出会うアートセラピー
――イメージでひらく無意識の世界


A5判並製260頁+カラー口絵32頁

定価:本体3400円+税

発売日 14.8.25

ISBN 978-4-7885-1393-8




◆誰もがもつ、自己変容の可能性
 「子どもの絵にはホンネがあらわれる」ことを不思議に感じた心理カウンセラー、画家、音楽家など7名の女性たちが始めたアートセラピー勉強会10年の軌跡。ユング心理学最強の道具といわれるアクティヴ・イマジネーションや象徴解釈の方法を取り入れて自らの描画を読み解くうちに、思いもよらなかった内面世界に気づき、劇的な自己変容が起こります。誰もが自分を変える力をもっていること、アートセラピーはそのための強力なツールとなることを体験的、実践的に示した本書は、カウンセラーの方々だけでなく、アートセラピーに関心のある一般の読者にも興味深いでしょう。描画の実例のカラー口絵付き。

自分と出会うアートセラピー 目次

自分と出会うアートセラピー はじめに

ためし読み
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自分と出会うアートセラピー 目次

メンバーによる描画(口絵)
はじめに

第1部 アクティヴ・イマジネーションを用いた私たちのアートセラピー
1 私たちのおこなったアートセラピー
 (1)アクティヴ・イマジネーションとは
 (2)アクティヴ・イマジネーションの実際
 (3)「補助自我機能」について
 (4)ワーク全体を通して
2 無意識の世界と象徴
3 実施上のポイント
4 描画の進め方・インストラクション

第2部 アートセラピーの実際―メンバーたちのワーク
メンバープロフィール
メンバーたちのワーク〈描画と話しあい〉について
 ヨリエ  許しの花―トラウマから自己受容へ
 カオル  守りと再生―私を変えた元型の力
 ナツコ  光からの解放―みにくい魚を受け入れる
 イズミ  新しい自分へ―私の身体再生図・マンダラ
 サクラ  風が伝える可能性―「自分」との出会い
 アオイ  女性性と自己受容―ありのままの「私」
 フジコ  母性への希求―赤色が示すセルフへの道すじ

おわりに


自分と出会うアートセラピー はじめに

  私たちは意外に、「自分のこと」を知らないようです。そして「意外に自分のことを分かっていない」ことにも、ふだんあまり気づいていません。

アートセラピーの勉強会を始めたころの私たちもそうでした。

それどころか私たちは、「自分のことをもっと知りたい」とか、「自分のことが分かっていないから、つまずいたりトラブルが起きてしんどくなる」などとは、考えてもいませんでした。せいぜい、「自分はよく人からカタイと言われるけど、甘えられずに育ったからしょうがない」などと、簡単に片付けてしまっていました。

でも、言い訳をやめて、本当の自分を生きることができるなら!

私たちは、「アクティヴ・イマジネーションを用いたアートセラピー」を体験することができ、そのおかげで、目をみはるばかりの驚きや発見を通して、意識が拡大する感覚や深い変容に近づくことができました。

この本でご紹介するアートセラピーは、C・G・ユングが創始した「アクティヴ・イマジネーション」(能動的想像)の技法を用いて、絵に表現された「無意識の思い」にアクティヴ(能動的)に関わっていった成果です。「自己成長」のためにはさまざまな方法がありますが、このアクティヴ・イマジネーションの技法は、意識を拡大し、創造性を高め、人格の根底からの「変容」(変化)が起こるのを助けるもので、「これは二〇世紀におけるもっとも重要な発見の一つ」である、とも言われています。本書をお読みいただければ、その驚異的な力の一端がお分かりいただけると思います。

私たちは経験を通して、「絵には、意識(意思)を越えた何らかの意図、無意識の思いが表現されるようだ」と思い、「絵に無意識があらわれる不思議」に興味を持っていました。そして1999年秋から月1回の勉強会を始めました。メンバーは、それぞれの仕事の分野でアートセラピーを用いたいと思っている、カウンセラーや画家、音楽家など20代から60代の女性たち7名です。この本は、勉強会で描いた絵の一部(2000年10月から2001年5月)を、その後数年をかけて理解していき、メンバー各自が新しい自分と出会うまでをまとめたものです。

最初に勉強会を始めた頃は、絵にあらわれる無意識そのものを、具体的に論じる本を見つけることができませんでした。しかし、J・M・シュピーゲルマン、河合隼雄著『能動的想像法―内なる魂との対話』の中の、河合隼雄氏の「心理療法と芸術」についての数行は、私たちに大きな期待を感じさせてくれました。また、L・カパチオーネ女史の『アート・ヒーリング 絵の魔術』の、無意識を視野に置いた描画法は、具体的な描画法の手引書になってくれました。本書のインストラクションやワークの進め方は、主にこれらの2冊をベースにして構成しました。 2000年以降には、老松克博氏のアクティヴ・イマジネーションに関する著作が出版されています。その後に私たちがワークを始めていたらもっとスムーズに、理解やプロセスの展開が進んだだろうと思います。またその頃になると、アートセラピーに関する書籍がぽつぽつと目にとまるようになりました。本書とは視点が異なりますが、どれもそれぞれ興味深い領域を開拓した本です。

最初の時期は、描画をおこなった後で絵についての思いや感想を共有し、その日の勉強会はその1日のみで完結させていました。しかし勉強会を始めて1年ほど経った頃から、無意識のメッセージをもっと理解したいとアクティヴ・イマジネーションをとり入れた「話しあい1」を始めました。回を重ねるうちにやがて、アクティヴ・イマジネーションの技法が分かり始めてきましたが、まだまだ、納得できないもどかしさを感じました。

そこで、もっと深く描画と向き合っていくためにアクティヴ・イマジネーションを用いた「話しあい2」を始めました。しかし実際には、技法としてのアクティヴ・イマジネーションの「対話・対決・折り合い・統合」というテクニックを意識的に捉えるということはなく、自然な話しあいの中で「技法は後からついてきた」という印象だったように思います。その頃、アートセラピーの専門家の杉浦京子氏に、数回にわたり象徴解釈や描画法についての助言を頂き、ワークを深めていくことができました。象徴解釈や描画法についての知識は、初心者の私たちがアクティヴ・イマジネーションの技法を用いていくためには、不可欠なものでした。

現代人の生活は、物質的には豊かになりましたが、反対にストレスや出口のない閉塞感や、さまざまな不安が広がってきています。このようなとき私たちが本当に必要としているのは、「自分」の中への旅ではないでしょうか。この「アクティヴ・イマジネーションを用いたアートセラピー」が、本書をお読みくださる方々の幸せにお役に立つことを願って。

遊葉アートセラピー勉強会
     阿部利久子
     天海 久子
     伊藤 妙子
     植村 怜子
     木下  恵
     播磨美智子
     近藤 総子