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大沢 昇 著

ワードマップ 現代中国
――複眼でみるその歴史・政治経済・文化


四六判290頁

定価:本体2600円+税

発売日 13.8.20

ISBN 978-4-7885-1342-6

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◆中国とはどういう国なのか?◆

いまや、名実ともに「超大国」となった中国。その国との関係が、国境をめぐって危うくなっています。「戦争も辞せず」という蛮勇的言説も飛び交っていますが、私たちは中国という国をほんとうに知っているのでしょうか。「まず敵を知り己を知る」、これが戦さの鉄則だと思いますが、現状はとても「敵」を知っているとも、その努力をしているとも思えません。本書は、新中国誕生以来のその歴史から地勢、政治、経済、外交、軍事、教育、文化などまでを、「八〇後」「蟻族」「網民」「一衣帯水」などのホットな30のキイワードで、多面的複眼的に明らかにしていきます。『中国はどこへ──ポストサケ小平を読む』などの著書で長年中国をを注視してきた著者ならではの智見がいたるところにちりばめられた、いま中国を「根底から知る」ための最新・最適のガイドブックです。著者は獨協大学・大正大学講師。

ワードマップ 現代中国 目次

ワードマップ 現代中国 はじめに

ためし読み
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ワードマップ 現代中国 目次

はじめに

――第一部 時代別(縦軸)で見る現代中国――
中国〔チョングオ〕中国 中国とは何か?「中・華・人民・共和・国」を分解して読む
西力東漸 西洋の衝撃 「大清帝国」から「中華民国」へ
東亜病夫 東アジアの病人 戦争と革命の時代
翻身・洗脳 生まれ変わる・洗脳する 建国から社会主義建設へ
整風 気風の健全化 双百から反右への大転換
大躍進 大いに躍進する 〈三枚の赤旗〉から三年の自然大災害へ
紅衛兵 共産主義の守護兵 文化大革命前期
奪権 権力を奪い取る 文化大革命中期
不倒翁 起き上がりこぼし 文化大革命後期
実事求是 事実に基づき真実を求める 華国鋒vs.鄧小平
改革・開放 「改革と開放」政策 繰り返される「放」(自由化)と「収」(引き締め)
暴乱 反革命暴動 民主化運動の挫折と流血の惨事
振興中華 中華を盛んにする 経済大国・政治強国への道
大国崛起 大国の台頭 WTO加盟から北京オリンピック・上海万博へ
太子党 世襲権力者たち 新たな闘争の始まり
コラム 宗教 
コラム スローガン・流行語に見る時代の移り変わり
 

――第二部 テーマ別(横軸)で探る現代中国――
地大物博 広大な土地、豊かな物産 地理・地政(「国の形」)
八〇後〔パーリンホウ〕 八〇年代生まれ 人口(「一人っ子」政策)
社会主義市場経済 経済(高度成長) 
先富論 一部の者が先に豊かになる 経済(社会格差)
蟻族 高学歴のワーキングプア 教育(大衆化と就職難)
網民〔ワンミン〕 ネットユーザー メディア(商業主義とIT化)
人民幣〔レンミンビー〕 中国人民元 金融(世界基準通貨への挑戦)
中南海 党=国家体制 政治(「第五世代」指導者)
維権〔ウェイチュアン〕 合法的な権利を守る 政治(民主化運動と治安維持)
中華民族 民族問題(文化・宗教の断絶)
核心的利益 国家の中核となる利益 外交(岐路に立つ国際戦略)
党指揮槍 党が鉄砲を指揮する 軍事(国の軍隊か、党の軍事力か)
海洋強国 海を支配する国 外交・軍事(資源戦略と海上紛争)
一衣帯水 帯のように細い海で隔たっている 日中関係(緊迫する情勢)
中国特色社会主義 中国独特の社会主義 展望(中国はどこへいく?)
コラム 戸籍
コラム 独特な中国政治用語と政治家の文章

あとがき
複眼中国年表
ブックガイド
索引


ワードマップ 現代中国 はじめに

はじめに

第一部「時代別(縦軸)で見る現代中国」では、中国四千年の歴史のなかで、現在の「中華人民共和国」を理解するため、アヘン戦争以降の事件の流れを読み解く。初めて「夷」ではない、「外」と接触したとき、中国人はどう対応したか、約一七〇年の歴史を各時代のキーワードから振り返る。中華民国成立後の百年、とりわけ人民共和国後の六〇年余りの激動を主要な事件・人物群像を中心に時代を追って見ていきたい。そうすることで、急激な社会主義化が、「文化大革命」を経ることで、逆に大胆な「国家資本主義」になぜ、変貌したかを解明する。

 名目上の「社会主義」下で、現在の過剰な「資本主義」を生んだのは、二千万人の餓死者を出したといわれる「大躍進」運動、一千万人以上の犠牲者がいるという「文革」の武闘、そして二回の天安門前広場での非武装の民衆を「人民の政府」が鎮圧するという悲劇があったことをバイアスをかけずに見ていきたい。

 また第二部「テーマ別(横軸)で探る現代中国探る現代中国」では、日本を抜き、世界第二位の経済大国となった現在の中国、しかも米国と肩を並べるほどになった世界政治での発言権、こうしたパワーのもつ「光と影」を、地勢、経済、教育、政治、外交、軍事、社会などのジャンルごとに読み解いていく。

 中国は世界一の人口をもち、この「人口ボーナス」で高度成長を遂げたが、これが逆に将来の「超高齢者大国」になるという不安、人口増を抑えるために行った「一人っ子政策」は、多くの「小皇帝」(甘やかされて育った現代っ子)を生み、急激に増えたエリート大学生が就職難に陥って「蟻(あり)族」と呼ばれる悲惨な暮らしをしている事実、彼ら「八〇後」(一九八〇年代生まれ)はIT技術の向上を生み、経済活動の担い手となってきているが、「丁克族」や「剰男・剰女」と呼ばれるディンクスや独身貴族となり、従来の伝統的な家族観が都市では崩壊しつつある。これらの現実を具体的な事例や流行語で見ていきたい。

また、中国は世界一長い国境線を持つ国でもある。このため、近年、日本を含め海洋での紛争が絶え間ない、こうした国際問題も考えていく。

 さまざまな角度から中国を描くことで、今一度、「中国とは何か?」を考えてみたい。




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