精神疾患言説の歴史社会学

「心の病」はなぜ流行するのか

著者 佐藤 雅浩
ジャンル 社会学 > 歴史社会学
出版年月日 2013/03/28
ISBN 9784788513341
判型・ページ数 A5・520ページ
定価 5,720円(本体5,200円+税)
在庫 品切れ・重版未定
神経衰弱,ノイローゼ,ヒステリー,そしてうつ病などの「心の病」は,いかにして流行病となったか。精神疾患をめぐる新聞記事などを丹念にたどり,専門家・メディア・大衆の欲望が織りなす言説のなかから,人間と社会の関係性を読み解く気鋭の力作。

◆書評
2013年7月12日、週刊読書人、江口重幸氏評
精神疾患言説の歴史社会学─目次

序 章

第一章 精神疾患言説の歴史を分析するということ
一 先行研究の検討
二 本書の社会学的意義
三 本書の視角─精神疾患と構築主義
四 本書の基本仮説
五 本書の分析対象─マスメディアにおける大衆的な精神疾患言説
六 分析視角と方法
七 分析指標
八 本書の構成と時代区分

第二章 明治の新聞における精神疾患言説─狂気と神経病をめぐって
一 明治初頭の「狂気」に関する言説
二 発狂の原因論─その類型と属性
三 神経病と文明開化─西洋医学的知識の受容と抵抗
四 明治前半における精神疾患と医学の表象
五 明治二〇年代における報道内容の変化─衛生記事の増加
六 大津事件と衛生報道
七 小 括

第三章 帝国日本の神経病と神経衰弱─日露戦争以降の精神疾患言説
一 日露戦争と敵将の神経衰弱
二 神経衰弱言説の構成過程─専門家先導型の精神疾患言説
三 ヒステリー言説の構成過程─逸脱報道先行型の精神疾患言説
四 神経衰弱とヒステリー言説の比較
五 「神経衰弱」と「ヒステリー」流行の構造的背景
六 社会問題化の文脈
七 婦人欄と神経病─ホームドクターとしての医師
八 精神医学への批判と懐疑

第四章 外傷性神経症概念の盛衰と心因論の興隆
一 外傷性神経症とは何か
二 日本における外傷性神経症研究の受容と展開
三 外傷性神経症研究の実施要因─災害補償、産業衛生、労働運動
四 外傷性神経症研究の衰退
五 「神経衰弱」と「ヒステリー」における病因論の転換と継承

第五章 高度経済成長の病─ノイローゼの時代
一 ノイローゼ流行の背景
二 ノイローゼ言説の特性
三 社会不安とストレス
四 逸脱報道への適用
五 ノイローゼを病む─読者投稿の分析から
六 ノイローゼのゆくえ─身体症状の前景化、逸脱報道からの撤退

第六章 結 論
一 発症モデルの変容に見る近代日本の精神観と社会観
二 各時代の言説空間
三 大衆化された精神疾患言説の普遍的構造
四 医学的知識の大衆化要因
五 結 論


あとがき
参考文献
事項索引
人名索引
装幀─難波園子

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