ヒトはなぜほほえむのか

進化と発達にさぐる微笑の起源

お腹の中で胎児はほほえみ,生後間もない赤ちゃんも眠りながら声をだして笑っている。この自発的微笑,自発的笑いの研究から何がわかってきたのか? ヒト以外で笑い,ほほえむ動物は? ダーウィンにさかのぼる微笑研究の歴史とその最前線まで。
ヒトはなぜほほえむのか─目次

序文 情動発達の研究について(マイケル・ルイス)

第1部 微笑の進化

 1 育児書に記述された微笑
 2 微笑の定義
 3 微笑と笑いの進化
  3─1 ダーウィンによる考察
      ダーウィンからエクマン、イザードへ
  3─2 「顔の動きの記述法」FACS
      エクマンとデュシャンヌ微笑
  3─3 MAX──基本的情動を表情から特定する方法
  3─4 動物の微笑──犬やアシカはほほえんでいる?
  3─5 微笑と笑いはどのように進化してきたか
      系統発生図
      チンパンジーの2つの表情
      ファン=ホーフの仮説
      2つの表情説・支持者
      「笑ってほほえむ」ヒトとチンパンジー
  3─6 展望論文
      デュシャンヌ笑いと非デュシャンヌ笑い
      笑う動物はどこまでか?
      言語より先に進化した「笑いと微笑」
      ファン=ホーフ説の課題
  3─7 笑いと脳
      伝染する笑い
      微笑と脳の関係
  3─8 笑うネズミ
  3─9 ニホンザルの微笑
  3─10 チンパンジーの自発的微笑
  3─11 チンパンジーの社会的微笑
  3─12 フェイス・トゥ・フェイス
      「対面のコミュニケーションはヒトだけ」説への反証
  3─13 微笑と笑いの進化
      「しがみつき─抱きしめる」から「見つめ合い─ほほえむ」へ

第2部 微笑の発達

      ヒトの微笑と笑い
 1 スピッツについて
 2 スピッツの観察的実験
      スピッツの仮説
 3 新生児の観察
      ウォルフによるデータ
      観察されていた「生後6か月の自発的微笑」
 4 『乳児行動の決定要因』より
  4─1 アンブローズの研究
  4─2 ゲヴィルツの観察
  4─3 遺伝論者・フリードマン
  4─4 1960年代の微笑研究
 5 笑いの発達
      スルーフらの「いないいないばあ」研究
 6 日本の研究
      パイオニア丹羽による観察・実験
      島田の描いた「微笑の発達」
      高橋の「エネルギー放出」説
 7 低出生体重児の自発的微笑
 8 初期の展望論文
      スルーフの考えた微笑の原因
      シェマと微笑
 9 顔の図式とルイス
 10 現代の微笑研究
  10─1 メッシンジャーらの研究1
  10─2 メッシンジャーらの研究2
  10─3 メッシンジャーらの研究3
  10─4 ドンディらの研究
 11 現代の微笑発達の展望
  11─1 メッシンジャーらの展望
      今後の研究課題
      三者関係
  11─2 ドンディらの展望論文
 12 胎児期の微笑
      胎児期の脳はどのように発達するか
      4次元超音波断層法が明らかにしたこと

第3部 私たちの研究

 1 自発的微笑の研究
  1─1 胎児期の微笑
  1─2 低出生体重児の微笑
      お腹の中でもほほえむ赤ちゃん
  1─3 新生児・乳児の微笑
      初めて記録された「自発的笑い」
  1─4 ケース・スタディーズ
      Aちゃんの記録
      Bちゃんの記録
      Cちゃんの記録
      データが反証した「誤った知見」
  1─5 消えない自発的微笑
 2 片頬の微笑
 3 私たちが見つけたこと──なぜ自発的微笑はあるのか?

第4部 まとめ──微笑とコミュニケーション

 1 目がコミュニケーションに果たす役割
 2 ヒトのコミュニケーションの特徴
  2─1 バロン=コーエンの考え
 3 クレーン行動ではなくハンド・テイキング行動へ
 4 視線ではなく関係
 5 基本的信頼
 6 「社会的」と「対人的」
 7 微笑と笑いの発達──胎児期から生後1年まで
 8 微笑とふれあい(結語)

謝辞
あとがき
文献・注
事項索引
人名索引

装幀 臼井新太郎
本文イラスト 小嶋陽子

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