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苧阪直行 著

社会脳科学の展望
――脳から社会をみる


四六版256頁+カラー16頁

定価:本体2800円+税

発売日 12.03.25

ISBN 978-4-7885-1281-8

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◆「社会脳シリーズ」刊行開始!◆

第一弾『社会神経科学の展望』は、まず社会脳研究の現状を諸分野から展望す るための一冊です。「社会脳」の面白さを、未来を予測する脳、嘘をつく脳、 顔認知の不思議、文化の違いを映し出す脳、社会性の疾患、ねたみの心を担う 脳の研究から味わっていただき、さらに最近話題になっている脳のデフォール トモードネットワーク(DMN)についても、動物の思考やヒトのワーキング メモリーとどうかかわるのかについて分かりやすく紹介しました。


社会脳科学の展望 目次

社会脳科学の展望 はじめに

ためし読み
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社会脳科学の展望─目  次
「社会脳シリーズ」刊行にあたって  
社会脳シリーズ1 「社会脳科学の展望」への序 
1 展望する脳 奥田次郎・藤井俊勝 
はじめに─脳と「展望」
未来を想いうかべる脳
予定を憶え、想い出す脳
おわりに─時間の中での自己と社会の関わり
  (展望的コミュニケーション)

2 嘘をつく脳 阿部修士・藤井俊勝 
はじめに
嘘に関与する脳の領域─前頭前野について
嘘の脳内メカニズムについての研究
おわりに

3 顔認知の発達と情動・社会性 飯高哲也 
はじめに
非侵襲的脳機能計測法を用いた顔認知研究
顔認知と情動の発達
乳児を対象にしたNIRS研究
幼児から児童を対象としたERP研究
小児の自閉症スペクトラムを対象とした研究
ミラー・ニューロンと顔認知
成人の自閉症スペクトラムの研究
本邦における脳画像研究
自己顔の認知と自閉症
おわりに

4 認知の文化差を映し出す脳の活動 原田宗子 
はじめに
異なる文化的背景における自己の認知・他者の認知
他者の痛みに共感する
おわりに

5 社会脳と精神疾患─脳画像研究から見た統合失調症
村井俊哉 
はじめに
研究の実際
表情の認知と扁桃体
社会状況での情動認知と扁桃体
脳損傷研究による傍証
統合失調症の社会認知障害の多様性
研究の限界
今後の展望

6 他人の不幸は蜜の味─妬みと他人の不幸を喜ぶ気持ちの脳内メカニズム
高橋英彦 
はじめに
妬みの構造
他人の不幸は蜜の味
妬みの機能
嫉妬
おわりに

7 サルに内的思考過程は存在するか?─サルにおけるデフォルト脳活動
渡邊正孝
課題に伴う脳活動の減少
デフォルト脳活動
デフォルト脳活動の指標
デフォルト脳活動と内的思考過程
動物におけるデフォルト脳活動
ニホンザルにおけるデフォルト脳活動
デフォルト脳活動の機能的意義
サルにおける内的思考過程

デフォルト脳活動の系統発生
 【コラム】 デフォルトモード・ネットワークとは福山秀直 

8 デフォルトモード・ネットワークから見たワーキングメモリ
越野英哉 
はじめに
デフォルトモード・ネットワークの中核領域
デフォルトモード・ネットワークの安静期間中の活動
デフォルトモード・ネットワークの課題遂行中の活動低下メカニズム
デフォルトモード・ネットワークと注意配分
実験の手続きと指標
実験の結果
デフォルトモード・ネットワークのメカニズムへの示唆
デフォルトモード・ネットワーク領域が共同して活動する要因
期待とデフォルトモード・ネットワーク
おわりに

文献   (15)
事項索引 
人名索引 
装幀=虎尾 隆






社会脳科学の展望 

社会脳シリーズ1 「社会脳科学の展望」への序
 第1巻は「社会脳シリーズ」をはじめるにあたって、社会脳科学の現状を諸分野から展望することを目的として、「社会脳科学の展望」とした。社会脳は前頭葉の外側に展開する思考や推論などの知性、内側や辺縁系脳における感情や意思のはたらきと相互作用しながら心のはたらきの基盤を形成している。この巻では、このような「社会脳」のはたらきを最新の機能的磁気共鳴画像法(fMRI)などのいわゆる脳イメージングと洗練された実験社会心理学の方法で読み解こうとするものである。正確に言うならば、読み解く試みを紹介しているといった方がよいだろう。世の中には脳が分かればすべてが分かる、といったいわゆる「脳神話」がある。脳科学への強い期待が感じられて心強いが、一方では人々に大きな誤解を与える可能性があるように思われる。本書を一読していただけば、脳と心のかかわりを読み解くには、その道のりがまだまだ長いことが分かっていただけると考えている。

 「社会脳」という新たな学術分野に芽生えてきた研究の息吹を感じていただくために、新鮮で意外な切り口からの最新の研究を紹介する。「社会脳」の面白さは、未来を予測する脳、嘘をつく脳、顔認知の不思議、文化の違いを映し出す脳、社会性の疾患、ねたみの心を担う脳などを通してみた上で、さらに最近話題になっている脳のデフォルトモード・ネットワーク(DMN)についても動物の思考やヒトのワーキングメモリとどうかかわるのかについて分かりやすく紹介した。DMNは休息中の脳が実際はさまざまに思いを巡らせるという隠れた活動をしていることを明らかにしており、禅の修行やマインドフルネスなどの訓練でも注目されている。これらはいずれも最先端の社会脳の興味ある研究分野である。

 生理学研究所の定藤規弘先生には一部の執筆者について、適切な紹介をいただいたことについて、また新曜社の塩浦ワ氏には編集上のアドバイスをいただいたことについて、それぞれ御礼申し上げたい。最後に、最近の研究を紹介する原稿をいただいた著者各位には心より御礼を申し上げたい。
2012年2月

苧阪直行