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黒沢 香・村松 励 著

非行・犯罪・裁判
――キーワード心理学9


A5判176頁

定価:本体2100円+税

発売日 12.02.25

ISBN 978-4-7885-1271-9

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◆知っておきたい基礎知識◆

毎日、なんらかの犯罪報道がない日はないと言っていいくらいです。大方の人が非行や犯罪をおかさずに生活しているのに、なぜ、ある人びとは非行・犯罪にかりたてられるのでしょうか? これは人類最大の疑問の一つと言ってもいいでしょう。犯罪にかかわる心理学は、「犯罪原因論」、非行少年や犯罪者の「矯正心理学」、プロファイリングや目撃証言などの「捜査心理学」、裁判の過程の「裁判心理学」、また、犯罪の被害者の支援を研究する「被害者心理学」など、多岐にわたります。本書は、この広範な犯罪心理学のなかから基本的で重要なキーワードを取り出して簡潔に解説しました。裁判員制度で誰もが刑事裁判に参加する可能性がある今日、ぜひとも知っておきたい基礎知識集です。


非行・犯罪・裁判 目次

非行・犯罪・裁判 まえがき

◆「キーワード心理学」シリーズ
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非行・犯罪・裁判―目次

パート1 非行
 少年法と少年非行――法律の概念と基本理念
 非行類型と犯罪類型――さまざまな分類
 非行と素行障害――なぜ繰り返すのか?
 非行と家族関係――システム的見方
 薬物非行――その傾向と乱用者への援助
 性犯罪――誤ったレイプ神話
 重大少年事件――共通してみられる特徴
 非行臨床――アセスメントと介入
 社会内処遇と施設内処遇――保護観察と少年院
 非行とパーソナリティ障害――非行・犯罪を繰り返す人の理解
 分化的接触理論と漂流理論――非行・犯罪は学習される
 社会的絆理論――人はなぜ犯罪を犯さないのか?
 「犯行(非行)深度」理論――社会化と非行・犯罪の関係
 非行動機――非行にかりたてたもの
 被害者学と被害者支援――被害者も当事者


パート2 犯罪・捜査
 気温と暴力犯罪――「長く暑い夏」に起こること
 プロファイリング――犯人像を導き出す情報の力
 心理鑑定――真実を見極める科学の力
 目撃記憶――目撃証言のあいまいさ
 囚人のジレンマ――自白か黙秘か、それが問題だ


パート3 刑罰・裁判
 責任能力――あなたが悪い!?
 陪審制度――その過去と現在、未来
 認知的バイアス――忍び込む偏り
 死刑と権威主義――死刑を巡る賛否両論
 弁護の心理――被告人の運命の分かれ道
 意思決定とフレーミング――簡便な判断の損得
 集団力学――『12人の怒れる男』が生まれるまで 
 極性化――集団討議がもたらすもの 
 刑罰の効果――後悔しない人に効果的? 
 犯罪者の矯正――再社会化とその道のり 

 参考書
 引用文献
 人名索引
 事項索引


装幀 ― 大塚千佳子
カバーイラスト ― いとう 瞳


非行・犯罪・裁判 まえがき
 まえがき  皆さんは、犯罪心理学者や犯罪心理学の分野についてどのようなイメージを抱いているのでしょうか。ある人は、犯罪者の深層心理を解明するサイコロジストであったり、犯罪捜査に科学的な手法を用いるプロファイラーであったり、非行少年を更生に導くカウンセラーであったりさまざまであると思います。また、犯罪心理学に対する関心のあり方もさまざまだと思います。当然のことですが、犯罪心理学の分野も細分化されており、犯罪の原因を究明する「犯罪原因論」、非行少年や犯罪者の処遇について臨床心理学の方法論を用いた「矯正心理学」「非行臨床」、プロファイリングや目撃証言などの研究に代表される「捜査心理学」、裁判の過程を心理学的に研究する「裁判心理学」などです。また、加害者の研究に加えて心的外傷を負った犯罪の被害者の支援の臨床研究をする「被害者心理学」も犯罪心理学の一つです。想像以上に広い分野を「犯罪心理学」と呼んでいることが分かると思います。

 また、皆さんは国民の一人として刑事裁判に参加する可能性があります。ご存知のように2004年5月21日「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律」が成立し、2009年5月21日から裁判員制度が始まりました。裁判員として刑事裁判に参加し、被告人が有罪かどうか、有罪の場合どのような刑にするかを裁判官と一緒に決めるといった制度です。仮にあなたが裁判員に選ばれたとしたらどうでしょうか。殺人など凶悪・重大事件を犯した被告人に対してどのような質問をするのでしょうか、また証人、被害者や被害者遺族の方たちとどのように接したらよいのでしょうか。真摯に事件に取り組んでいる裁判員の方々のコメントを新聞などで読む機会も少なくありません。ご自分の知識や経験に加えて犯罪心理学に関する知識が少しは役に立つかも知れません。

 最後に、新曜社の塩浦ム氏には完成まで辛抱強く待って戴き、ただただ感謝するばかりです。

2012年1月
村松 励




 この本を手に持ったとき、どう感じましたか。どんなふうに思いましたか。きっと、興味深い内容だと思っていただけたのではないかと思います。でも、「興味深い」って、どういうことでしょうか。  それは、この本が人間のことを書いているからです。あなたは人間です。だから、ひとつの例外もなく、この本はあなたのことなのです。この本の中に書かれたことはすべてが関係しています。そして、周りの人にも同じことが言えます。もちろん、その関係に「濃淡」はあるでしょう。でも、ひとつの例外もなく、あなたも周りの人も、この本に書かれたことが関係しています。

 少し大げさになってしまいました。勉強するときは、ちょっと距離をおいたほうが良いのかも知れません。できるだけ客観的に見たほうが良いでしょう。ひとつの見方を与えてくれる、そんな本にしたいと思いました。でも、忘れないでほしいと思います。この本に書かれたことは他ならぬ、あなたのことなのです。

 最後に、新曜社の塩浦ムさんに、完成まで待っていただき、感謝したいと思います。

2012年1月
黒沢 香