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平松貞実 著

事例でよむ社会調査入門
――社会を見る眼を養う


四六判256頁

定価:本体2300円+税

発売日 11.10.07

ISBN 978-4-7885-1256-6

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◆明日から、社会を見る眼が変わってくる!◆

いまや世の中、「調査」であふれています。毎日の新聞・雑誌・テレビでも 「○○調査によると」は決まり文句です。たしかに複雑化する社会の実態を正 確に把握するのに、社会調査は欠かせません。しかし、とんでもない調査、利 用の仕方も散見されます。社会の実態を掴むための技術であるべき調査が、社 会を歪めるために使われているとしたら? たとえば、質問の仕方をちょっと 変えたり、選択肢を変えるだけで、結果がこんなに違ってくることを知ったら、 簡単に調査を信じる気にはなれないはずです。本書は、社会調査の正しい読み 方・リテラシーを楽しみながら身につけて、社会を見る眼を養ってほしいと考 えて書かれた『世論調査で社会が読めるか』の改題・改訂版です。「社会調査 カメラ論」なども補充して、ますます充実した入門書となりました。

『社会調査で何が見えるか』

事例でよむ社会調査入門 目次

事例でよむ社会調査入門 まえがき

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事例でよむ社会調査入門―目次

目次  事例でよむ社会調査入門


はじめに
序章 社会調査は信用できるか

 T 回答形式で結果は変わる
1章 日本人は人情課長が好き?
2章 観光で行きたい国はどこ
3章 自社ブランド一位の秘密
4章 世論は賛成? それとも反対?
5章 内閣支持率って何?
6章 支持政党はあるの? ないの?
7章 自由に答えさせる不自由 

 U 社会調査の聞き方いろいろ
8章 自分と他人とどちらがホンネ
9章 ていねいな質問に気をつけろ
10章 単純な質問、複雑な質問
11章 何から聞くかで結果が変わる
12章 機械を使った調査 

 V 社会調査で社会を見る 
13章 “態度”はどのように測定するか
14章 イメージとは何か
15章 “中流”調査のルーツ
16章 日本の社会の姿は? 

終章 社会調査を正しく見る

付録
旧版あとがき
引用・参考文献
索引

   装幀  虎尾 隆


事例でよむ社会調査入門 まえがき
 現代の巨大で複雑な社会をうまく運営していくには、社会の実態を正確にとらえることが必要であろう。政治では“世論“民意、企業経営では“消費者ニーズ“市場動向、社会科学では“社会構造“生活実態、行政では“人口動態“経済活動などである。それらをとらえる有力な方法の一つとして「社会調査」がある。「社会調査」には「世論調査」「マーケティング・リサーチ」、「研究調査」「行政調査(センサス)」などさまざまなものがある。そのどれもが重要である。にもかかわらず一般の人たちは「社会調査」を正しくは理解していない。「調査でこうだから…」と鵜呑みにしたり、「調査でそう出ただけだろう…」と認めなかったりと対応はいろいろである。「社会調査」そのものは、調査環境の悪化と新しい手法の誕生で様変わりしつつあるが、調査の正確性ということで見れば決してよい方向に行ってはいない。現在の社会では社会調査への正しい理解の向上が一層求められている。

 この本は社会調査の啓蒙書として書いた『世論調査で社会が読めるかヘヘ事例による社会調査入門』(一九九八年)を改題・改訂したものである。旧著は社会調査の結果にはさまざまな誤差や歪みが生じていることを事例により論じた。そのことによって社会調査に興味をもってもらい、また理解も深めてもらいたいと意図した。幸い多くの人に読んでいただいたが最近は品切となっていた。社会調査への正しい理解の必要性は旧著を世に出した頃と変わっていない。そこで再び出版したいということになった。改題・改訂にあたって旧著を繰り返し読み直してみたが、社会調査に生じる誤差や歪みの事例を紹介した本論部分は時代を越えて読み継がれるにふさわしいし、著者の思いもその後も変わっていないので、そのまま収録させていただくことにした。その後の変化についての最低限の補足を各部の終わりに付した。この本が啓蒙書であることは変わらないが、学生の入門書としての性格も持たせている。タイトルを「世論調査」から「社会調査」としたのは大学生に読んでほしいという願いを示すためである。

 今回の改訂・改題にあたって、社会調査の誤差や歪みをより理解してもらうために、調査を「W(誰が)」、「WW(どこの誰を)」、「WWH(いつ何をどのように)」の三つの視点で見ることを取り入れてみた。内容については序章で述べるが、この本の本論部分は「何をどのように」で生じる誤差・歪みの事例を論じている。しかし、社会調査に生じる誤差や歪みはそれだけではない。むしろ、社会調査の「誤差」といえば「誰を」に関する誤差をさすのが普通である。誤差や歪みを幅広く論じていること、「誰を」というサンプリング誤差や「いつ」による歪みなど、序章での論と本論とをあわせて理解してもらうための工夫である。「誰を」のところを「WW」などと分かりにくく表わしているのは、社会調査における「誰を」は「どこの、誰を」と二段階であることを示すためである。インターネット調査などの出現によって「どこの」が忘れられがちである。電話調査は「誰を」をあいまいにしている。「WW」という考え方が調査の誤差や歪みを考えるときに重要になってきている。

 序章は、社会調査が抱える本質的な大きな問題を概観している。1章から7章までのT部は回答形式による調査結果の違い、8章から12章までのU部は質問の仕方の問題を取り上げた。13章から16章までのV部は社会調査の領域を広く見てもらう、また社会調査を見る場合の調査と理論の関係を実感してもらうようになっている。終章は、それまでの内容を踏まえながら、「社会調査」の見方を学ぶようになっている。また、社会調査を体系的に眺められるようにも配慮した。巻末には「サンプリング誤差早見表」と「相関係数の説明」を付した。社会調査の数学的な初歩的説明のためである。

 旧著を改訂し再出版する機会を与えて下さった新曜社の塩浦ワ社長、旧著と同様編集を担当して下さった渦岡謙一氏に心から感謝申し上げる。本書の出版に感謝すべき方々は旧著の時と変わりないので「あとがき」は旧著のままとした。多くの方々に改めて感謝申し上げる。

平松貞実