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岡堂哲雄 監修/廣瀨清人 編

生活の質を高める教育と学習
――よりよいヒューマン・ケア実践をめざして


    

A5判248頁

定価:本体2200円+税

発売日 11.01.16

ISBN 978-4-7885-1217-7

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◆看護・介護・保育の心理学 4◆

看護師・介護福祉士・保育士・そして社会福祉士・精神 保健福祉士・理学療法士・作業療法士など、広くヒューマン・ケア実践に携わる方々を対象に、患者さんの生活の質を高めるための心理学的な理論と方法について、ケアの事例を交えて解説しました。 実践の基礎となる理論を解説する「総論」、ケアを受ける患者さん特有のライフステージを理解する「生涯発達」、慢性期疾患別・障害別に患者さんのケアな社会環境に焦点を当てた「コミュニティ」の四つの軸に沿い、実践のコツをわかりやすく解説しています。

看護・介護・保育の心理学(全4巻)(岡堂哲雄 監修)

生活の質を高める教育と学習 目次

生活の質を高める教育と学習 はじめに

ためし読み

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生活の質を高める教育と学習 目次
[看護・介護・保育の心理学シリーズ]刊行にあたって
まえがき
 
第1章 生活の質を高める支援の視点
1 はじめに ― 実習からの示唆
2 学習の視点
(1)スキナー箱
(2)スキナー箱におけるラットの行動とA特別養護老人ホームにおける
  Bさんの行動の対応
3 生活の質を高める支援には学習の視点だけで十分なのか
4 フィールドワークの視点
(1)フィールドワークの定義
(2)フィールドワークと生活の質を高める支援の関連
(3)フィールドワークによる解釈的アプローチとは何か
(4)生活の質を高める支援における解釈的アプローチとは何か
5 実習からの示唆の再考
(1)よく見ること・よく聞くこと
(2)実習からの示唆の再考
6 支援の累積性
【レポート課題】
【参考書】
 
第2章 生活の質を高める支援研究の方法論
1 はじめに
2 生活の質をどう捉えるか
3 生活の質を評価するための方法
4 生活の質を向上させるための支援の考え方と方法
5 ヒューマン・ケア領域での質的研究
(1)質的研究の特徴
(2)質的研究の評価の視点と方法論
6 質的データの種類と収集方法
(1)言語データの収集法
(2)映像データの収集法
(3)記録文書データの収集法
(4)質的データの分析と解釈方法
7 おわりに
【レポート課題】
【参考書】
 
第3章 乳幼児期における生活の質を高める支援
1 はじめに
2 乳幼児期の発達課題
(1)乳児期
(2)幼児期
3 子どもの具体的な姿を通して子どもの生活の質を高める
  支援を考える
(1)食事量の少ない子どもの生活を考える
(2)幼児期の遊びを通して考える
(3)大人が子どもの遊びに加わる
4 子どもの生活の質を高める
【レポート課題】
【参考書】
 
第4章 学童期における生活の質を高める支援
1 はじめに
2 学童期の心理発達
3 学童期の子どもたちが直面する課題と困難
4 学童期の生活の質を高める支援
5 生活の質を高める支援の実際 ①
  ― 視覚化を通じた支援
6 生活の質を高める支援の実際 ②
  ― 学童期の子どもの性的行動と性教育
【レポート課題】
【参考書】
 
第5章 思春期における生活の質を高める支援(中学生)
1 はじめに
2 思春期とはどのような時期か
3 思春期の発達課題
(1)自立をめざしての親離れ
(2)内面を分かち合える友人との出会い
4 思春期の学校不適応に対する支援
(1)二者関係での支援
(2)三者関係での支援
【レポート課題】
【参考書】
 
第6章 青年期における生活の質を高める支援(高校生・大学生)
1 はじめに
2 青年期と生活の質
(1)青年期の特質
(2)他の世代と比較した青年期の生活の質
(3)青年期の生活の質の概観
3 青年期の生活の質の構成要素
(1)高校生の生活の質
(2)大学生の生活の質
4 青年期の生活の質の関連要因
5 QOL向上の支援
(1)支援の方向性
(2)東北大学における支援
(3)九州大学における支援
【レポート課題】
【参考書】
 
第7章 中年期における生活の質を高める支援
1 はじめに
2 ライフサイクルにおける中年期の特徴
3 職場のメンタルヘルス
(1)職場不適応と職業性ストレス
(2)自殺
4 子育てと夫婦関係
(1)空の巣症候群
(2)夫婦関係の危機
5 更年期障害
(1)更年期とは
(2)更年期症状
(3)更年期症状に関連する要因と対応
6 おわりに
【レポート課題】
【参考書】

第8章 老年期における生活の質を高める支援
1 はじめに
2 ライフサイクルにおける老年期の特徴と発達課題
(1)老年期の特徴
(2)老年期の発達課題
3 高齢者の生活の質を高める支援としての昔話の語り
(1)回想法
(2)昔話の語り
(3)昔話の特徴
(4)昔話の話型分類
4 フィールドワーク
  ― 人生をふり返って肯定的に省察する昔話の語り
(1)2人の語り手
(2)語り手Xさんが語った昔話
(3)語り手Yさんが語った昔話
5 昔話の語りの心理学的機能
6 昔話の語り支援のポイント
【レポート課題】
【参考書】
 
第9章 糖尿病患者における生活の質を高める支援
1 はじめに
2 グループ療法による糖尿病患者の生活の質を高める支援
(1)糖尿病のグループ療法
(2)グループ療法の進め方
(3)特徴的な事例
3 グループ療法による支援のポイント
【レポート課題】
【参考書】
 
第10章 血液透析患者における生活の質を高める支援
1 はじめに
2 腎障害のステージと血液透析
3 血液透析患者の心理学的理解と意義
(1)病気受容と病気適応
(2)自己調節モデルと病気認知
4 生活の質を高める支援の実践
(1)患者と医療者のそれぞれの立場と捉え方
(2)支援対象に合わせた対応
5 看護師、介護士への教育の示唆
6 おわりに
【レポート課題】
【参考書】
 
第11章 ALS患者における生活の質を高める支援
1 はじめに
2 ALS患者の生活の質ということ
(1)「生活の質」と「根拠に基づいた医療」いう概念
(2)難病における緩和ケアの必要性 
(3)インフォームド・コンセントと自己決定 
3 ALSの患者と家族の生活と心理、それへのケア
(1)発病の初期
(2)診断の確定と病気の受け止め 
(3)将来の選択 
(4)人工呼吸器装着の有無 ― 未装着・装着後の生活 
(5)コミュニケーションの問題と、患者の自己像と物語の生成 
【レポート課題】 
【参考書】 
 
第12章 がん患者における生活の質を高める支援
1 はじめに
2 がん患者の心理的危機
3 がん患者の生活の質を支える心理-社会的支援
(1)がんとともに「健康」に生きる
(2)がん患者の生活の質を維持・向上する3つのアプローチ
4 地域を拠点とした心理-社会的支援の実際とその効果
(1)日本における支援組織の実態
(2)グループを用いた心理療法的介入 ― グループサポート
(3)グループサポートの効果
5 看護師、介護福祉士への教育的示唆
【レポート課題】
【参考書】
 
第13章 ターミナル期の患者を介護する家族の生活の質を高める支援
1 はじめに
2 家族にとっての看取りという体験
3 ターミナル期の患者と家族への支援
(1)ターミナル期の患者の意思表示と家族
(2)看取り時に家族が行ったケア行動
(3)ターミナル期の患者を支える家族へのケア
(4)家族への情報提示
(5)レスパイトケア
(6)グリーフケア
4 死に備える ― 死の準備学習
【レポート課題】
【参考書】
 
第14章 精神障害者の生活の質を高める支援
1 はじめに
2 精神障害者と生活の質
3 これまでの研究と実践 
4 生活の質を高める支援の実際 
(1)生活の質を高める支援の位置づけ 
(2)生活の質を高める支援の実際 
5 今後の学習のために 
【レポート課題】 
【参考書】 
 
第15章 地域で暮らす人々の生活の質を高める支援
1 はじめに
2 地域の変貌と支援 
3 実践 ― 自殺予防活動とコミュニティ 
(1)実践活動事例 
(2)コミュニティの側面とは何か 
4 おわりに ― 医療および福祉専門職への示唆 
【レポート課題】 
【参考書】 
 
文  献 207
人名索引 221
事項索引 222

装幀=虎尾 隆



生活の質を高める教育と学習 まえがき 

 まえがき  

本書は、看護・介護・保育の心理学シリーズの第4巻として、看護師、介護福祉士、保育士、そして社会福祉士、精神保健福祉士、理学療法士、作業療法士など、広くヒューマン・ケアにたずさわる方々を対象に、生活の質を高める支援のための心理学的な理論と方法について述べています。執筆陣は、心理学を共通の基盤としながら、さまざまな分野で研究・実践を行っておられる経験豊かな方々です。現在ヒューマン・ケアの実践に従事しておられる人だけでなく、将来ヒューマン・ケアの分野で活躍したいと思っておられる学生の皆さんも視野に入れて、読者の方々が、自信をもってよりよいヒューマン・ケア実践をめざすために本書を役立てていただけるよう編集しました。

 

本書は、その目的を達するために、四つの軸をたててあります。それらの軸を、簡単にご説明したいと思います。まず、最初の軸は「総論」で、本書の背骨ともいえる理論編にあたります。これには第1章・第2章が該当します。これらの章は第3章以降と比較すると、やや抽象度が高いように思われるかもしれません。そう思われた場合には、ヒューマン・ケアの実践経験がある程度深まってから、読み直されるのがよいかもしれません。

 

二つめの軸は「生涯発達」です。ケアを受ける方は生涯発達の観点からみると、かならずどこかのライフステージに位置づけられるわけですが、それぞれのライフステージには特有の発達的特徴があり、ケアのあり方も変わってきます。したがってこの軸の理解は、ヒューマン・ケアにとってきわめて重要であると考えられます。この軸は、第3章から第8章が該当します。

 

三つめの軸は「慢性期疾患から障害へ」です。これは、最もヒューマン・ケアのあり方が問われる軸といえるかもしれません。ここでの特徴は、慢性期疾患と障害を一つの連続した軸として位置づけたこと、そして、第2の患者ともいわれる家族を、ケアの実践対象として含めたことです。この軸には、第9章から第14章が該当します。

 

目次の配列から読み取れる軸は、これらの三つの軸です。したがって第15章だけが、あたかもどの軸にも該当していないように感じられるかもしれません。しかしながら実際には、第15章はきわめて重要な観点をもっています。この章のキーワードは「コミュニティ」です。人間の関係は、二者関係を基本としながらも、いろいろな「コミュニティ」のなかに組み込まれています。とくに現代では、家族や地域社会など直接的なコミュニティだけでなく、インターネットなどを介して、遠く離れた人間同士が繋がり、目に見えないコミュニティを形成し、影響し合っています。したがって、四つめの軸は「コミュニティ」の軸です。直接的に述べられていなくても、第3章から第15章までのすべての章に、この軸が含まれています。

 

本書はヒューマン・ケアにとって基本的な、これらの四つの軸に沿って、できるだけ具体的なケアの事例を含めるように試みながら解説しました。ケアの現場では、何が正解かが明確でないような決断をただちに求められることも少なくありません。落ち込んでしまうような経験も、稀ではないでしょう。本書が読者のヒューマン・ケア実践に役立つとともに、読者を少しでも勇気づけることができれば、と願っております。

 

最後になりましたが、長年にわたりヒューマン・ケア心理学の指導者であり、また、本シリーズを企画された岡堂哲雄先生には、本書を編集する機会を与えていただきました。衷心より感謝申し上げます。また、本書の刊行まで、終始一貫して、温かく見守り、丁寧に編集作業に取り組んでくださった新曜社の社長・塩浦ム氏と編集部の森光佑有氏に、深謝申し上げます。

  
2010年12月 あわただしい年の瀬に