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神山 潤 著 ねむり学入門
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10.04.12 978-4-7885-1190-3
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46判 216頁 定価2310円 |
◆「生体時計」を考慮して生きる◆ なぜヒトは「夜ふかし朝寝坊」になりやすいのか? 徹夜の運転は酒気帯び運転 より危険? 寝不足は肥満と老化の元? 睡眠と成長ホルモン分泌の関係は? ──思いこみで語られがちな「睡眠」をめぐる科学的知識を、最新の睡眠研究 のデータを挙げつつ懇切に紹介します。自分の身体の声を聴くことを忘れた現 代人への、「生体時計」を考慮した生き方のすすめ。著者は米国で睡眠の基礎 的研究に従事し、帰国後、日本の子どもたちの遅寝遅起きの実態に衝撃を受け て「子どもの早起きをすすめる会」をたちあげ、精力的に啓蒙活動を続けてい る小児科医です。現在は東京ベイ・浦安市川医療センター センター長。 |
◆ねむり学入門――目次 はじめに 昨今、眠りへの関心が高まっています。眠りに何らかの悩みを感ずる人は、日本では4ないし5人に1人にのぼる、とする調査結果もあります。不眠症、睡眠時無呼吸症候群、リズム障害、あるいは過眠症という病名も、しばしば耳にするようになりました。では眠りはもっぱら医学で扱うべき事柄なのでしょうか? フランス政府は2007年1月に「国民よもっと眠れ」というキャンペーンを開始しましたし、スペイン政府は従来のシエスタの習慣を断ち切るべく、14時から16時までとっていた昼休みをやめ、2006年1月から公務員の昼休みを正午からの1時間としました。眠りは社会学が扱うべきではないでしょうか? 日本でも2003年に、日本学術会議が、精神医学、生理学、呼吸器学、環境保健学、行動科学の5研究連絡会で報告書を作成し、その報告書をもとに『睡眠学――眠りの科学・医歯薬学・社会学』と題した一般書を刊行しています。 このように眠りの問題は社会的な現象ですが、一方できわめて個人的な生理現象でもあります。睡眠時間が短くて済む人もいれば、たっぷりと寝ないと体調を保てない人もいます。夢をみない、という人もいれば、毎晩夢をみて疲れ果ててしまう、という人もいます。では、眠りに関して何を当てにすればいいのでしょう。眠りには個人差が大きいからでしょうか、眠りに関する正しい知識が、正確に伝わっていない面も多々見てとれます。たとえば「眠れない」ときに、日本では医師に相談するよりも、寝酒に頼る人のほうが多い、という調査結果があります。しかしアルコールで寝つきはよくなるかもしれませんが、しばらくすると覚醒作用が前面に出ることがわかっており、眠る目的でアルコールを使用することは、適切ではありません。 実は日本では、医学部においても眠りをきちんと教育する場は必ずしも多くはありません。先の寝酒の話からもおわかりのように、眠りは医学あるいは医療の中でまだまだ十分な地位を確保していません。眠りに関する正しい知識を伝えるべき医師の教育状況がこのていたらくなわけですから、眠りに関する正しい知識の普及には、まだまだ時間がかかりそうです。 そのような現状の中、私が医学生ではない大学生に「眠り」の講義をする機会をいただいてから、今年で6年になります。当初はグループでの議論と発表を主体とし、学生諸君の意欲を引き出そうとしたのですが、批判なく漫然とインターネット情報をコピーしペーストするという方法が幅を利かせ、所期の目標達成は困難でした。 そこで、3年目以降は講義を主体としました。講義では、「眠り」の医学的な面について触れることはもちろんですが、「日常生活の中での眠り」に重点を置いて、眠りに関する正しい知識を整理することを中心に話を進めることとしました。これが睡眠学とは違う、もっと平易な「ねむり学」です。「睡眠学」では「まだ解明できていない」事柄が多数あることでしょう。しかし日常生活の中では、そのような事柄についても何らかの対応を迫られるわけです。そしてその対応を考える際の考え方の基本、とでも言うべきものについて理解を深めることが「ねむり学」と考えるに至りました。 講義を続ける中で見えてきたのは、「身体の声に耳を傾ける」という、健康教育の基本とも言うべき事柄でした。そこで感じたのは、睡眠→医学→理系という従来の学問体系ではない、より基本的な統合領域に「ねむり学」がおかれるべきなのではないか、ということです。願わくば、社会学、経済学、政治学等々いわゆる文系の学問を学ぶ方々にもぜひ「ねむり学」を学んでいただきたいと思います。 講義内容は筆者の種々の出版物に個別に掲載されてはいますが、やはり全体的な流れと統一性には欠けます。そこで「ねむり学」について総合的な理解が得られるテキストの必要性を深く感じたことが本書執筆の動機です。 各章は実際の講義に即した形式をとりました。講義でははじめに「課題」を提示し、各自に5分程度の時間で答えを書いてもらっています。頭のアイドリングです。そして講義の最後には、「この章のメッセージ」として、まとめを提示しています。本書を読むにあたって、「課題」と 「この章のメッセージ」 をどのように利用するかについては、読者の工夫しだいです。むろん本書に示した 「この章のメッセージ」 が、その章の唯一無二の 「メッセージ」 であるとは限りません。プラスアルファの 「メッセージ」があれば、ぜひ教えていただきたいと思います。なお私は小児科医です。そこで最後に、「これから親になるあなたへのメッセージ」と題した一章を書かせていただきました。本書が大学での講義のみならず、さまざまな場面で利用されることを期待します。 なお参考文献は最小限にとどめました。拙著『睡眠の生理と臨床 改訂第2版』(診断と治療社、2008)に掲載されていないものの重要な文献を選択して、巻末に章別に参考文献として掲載しました。 | ||