戻る

伊藤勝彦 著

『森有正先生と僕』
――――神秘主義哲学への道


四六判248頁

定価:本体2600円+税

発売日 09.7.10

ISBN 978-4-7885-1169-9

◆amazon.co.jpへ
cover

◆紀伊國屋書店Books Web へ

◆7ネットショッピングへ

◆なぜ日本に戻らなかったのか◆

哲学者であるとともに文学者でもあり、また、パイプオルガンの演奏家でもあった森有正は、1976年、フランスに客死しました。それから30年余りがすぎ、いままた、静かな森有正ブームとでもいえるものが起こっているようです。著者伊藤勝彦氏は、森有正の後輩であり、また若い友人でもありました。かれはなぜ、日本に戻ろうとしなかったのか――森有正と同類の資質を持ち合わせていたことを自覚しつつ、伊藤は、森のこれまで知られていなかった生活と思索のなかに分け入り、デカルト研究の合理的知性の持ち主と見られがちな森哲学のなかに、脈々と流れる神秘主義を見出します。哲学者どうしの交流にみられる余りにも人間くさい数々の逸話も、本書に忘れがたい陰影を与えています。

◆書評

2009年9月13日、奈良新聞、西村博美氏評

Loading

目次

はじめに

第1章 森先生と僕
◇初恋物語
◇感覚のめざめ
◇森明のこと
◇森有礼のこと

第2章 森有正はなぜフランスにいつづけたのか?
◇最初のデカルト講義
◇一種の恋愛関係

第3章 孤独と愛
◇ポール・ヴァレリーと森有正
◇母との距離の感覚

第4章 経験が名辞の定義を構成する
◇「霧の朝」
◇不可知論的要素
◇森先生との再会
◇NHKでの音楽会

第5章 デカルト・パスカル研究
◇パスカル研究の開始
◇森有正のパスカル研究の頂点
◇明証と象徴(デカルトとパスカルとの方法上の差異)
◇森有正のデカルト研究の視座
◇パスカルにおける「愛」の構造
◇「が在ること」
◇「において在ること」
◇「とともに在ること」
◇「であること」
◇パスカルからデカルトへ

第6章 経験と二項関係
◇二項関係
◇日本語論
◇敬語問題
◇「人称」の問題
◇会話における現実篏入に例外的事例があること

第7章 日本人とその経験
◇「川の流れと仕事」
◇森有正の経験の哲学
◇『砂漠に水湧きて』の構想

第8章 森先生の最後の時
◇死の予感
◇森有正の死
◇森有正の死について
◇二つの記事

第9章 神秘主義哲学の発見
◇オルガンに熱中する森先生
◇『バビロンの流れのほとりにて』の同系列の作品について
◇神秘主義的哲学
◇経験の哲学の根底に神秘主義があるということ
◇人と人とのあいだにあるべき距離
◇森有正の内部に秘められた欠陥があること
◇父と娘の悲劇について

第10章 森有正と大森荘蔵
◇デカルトの神秘的直観
◇神秘主義の根拠について
◇天地有情の哲学
◇反復強迫としての時間
◇神秘主義の到達点
◇時間は、はたして静態的なものであろうか?
◇森有正の神秘主義の哲学

おわりに
森有正略年譜
文  献

装幀=難波園子