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佐藤嘉倫 著

『ワードマップ ゲーム理論』
――人間と社会の複雑な関係を解く


四六判180頁

定価:本体1800円+税

発売日 07.11.10

ISBN 978-4-7885-1135-4

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◆複雑な現実をモデル化する◆

人生も社会もジレンマに満ちています。その根源は、何事も相手がいるので、自分の思い通りにはいかない点にあります。「ゲーム理論」は、この「相手がいる」ことを前提に組み込んで、人間関係や経済や政治まで、複雑怪奇な現実をモデル化して捉えようとする方法です。その幅広い応用可能性と有効性から、様々な学問分野で活用されていますが、初心者に専門書は敷居が高すぎますし、入門書は本質をきちんと理解するのが意外と難しいのではないでしょうか。本書は、初心者がつまずきやすい勘所を押さえつつ、基本となる概念をステップバイステップで理解できるように書かれています。ゲーム理論をきちんと理解したい初心者のための格好のテキストです。著者は、東北大学教授。

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◆目 次◆
T ゲーム理論の基礎概念
ナッシュ均衡/純粋戦略と混合戦略/混合戦略ナッシュ均衡/離散型戦略と連続型戦略/囚人のジレンマ/社会的ジレンマ/公共財供給問題
U 展開形ゲーム
展開形ゲーム/部分ゲーム完全ナッシュ均衡/信用できない脅し/信頼ゲーム/展開形ゲームによる複占の分析/繰り返しゲーム/無限回繰り返しゲーム
V 不完備情報ゲーム
不完備情報ゲーム/完全ペイジアン均衡/シグナリングゲーム
IV 進化ゲーム
進化ゲーム理論/進化的安定戦略/レプリケーター・ダイナミクス/確率進化ゲーム理論
ゲーム理論の効用と応用

◆本文紹介◆
 本書はゲーム理論を初めて学ぶ人のための入門書である。ただし、あらかじめ断っておくと、私はゲーム理論の専門家ではない。その意味では、ゲーム理論の開発者ではなくユーザーである。ゲーム理論の専門家による優れた教科書が数多く出版されているのに、このような素人がさらに教科書を出版するのはずうずうしいにもほどがある。しかし素人がゲーム理論の入門書を書くことには、それなりのメリットもある。どれは、ゲーム理論を学ぶ上で初心者がつまずきやすい箇所をよく知っている、ということである。ゲーム理論を専門とする人たちはゲーム理論のきちんとしてた教育を受けて、優れた理解力を発揮してゲーム理論を習得きたと思われる。だからこそゲーム理論の最先端を切り拓いてきたのだ。一方、私はシカゴ大学で客員研究員をしていたときに、1コマだけゲーム理論入門の講義を聴講してきただけで、後は独学でゲーム理論を勉強した。そのため、さまざまなところでつまづいてきた。本書では、そのような初心者が分かりにくいところ(より感覚的に言えば、しっくりこないところ)に注意して、ゲーム理論の考え方を理解するためのコツや勘所を丁寧に説明したつもりである。
 初級レベルのゲーム理論で分かりにくいのは、数学的な難しさよりも、ゲーム理論固有の考え方である。逆に言えば、その考え方のコツさえ飲み込めば、理解は格段に進む。たとえば、ゲーム理論の最重要概念に「ナッシュ均衡」がある。その定義は「『その状態から自分だけ戦略を変えても自分の利得が等しいか小さくなる』ことがすべてのプレーヤーにあてはまる戦略プロファイル」というものである。初心者にはほとんど呪文である。しかしこの呪文をきちんと理解できれば、なぜ、ある状態がナッシュ均衡であることを照明するために、すべてのプレーヤー(ゲームに参加する人々)がそこから自分だけ戦略(自分が選べる選択肢のこと)を変える誘因を持たないことを示さなければならないのか、なぜ、ある状態がナッシュ均衡ではないことを照明するためには、自分だけ戦略を変えるという誘因をもつプレーヤーが1人いることを示せばよいのか、ということが理解できる。本書では、初心者がつまずきやすいゲーム理論固有の考え方をできるだけ丁寧に解説している。
 本書を読む際の注意点が3つある。第1に、初めから順番に読んでいっていただきたい。後ろの項目は前の項目で出てきた概念や考え方を用いているので、飛ばし読みをすると論理の流れが分からなくなってしまう。いったん通読された後は、一つ一つの項目はそれでまとまったものになっているので、必要な項目だけを拾って読まれても大丈夫である。第2に、本書で扱っているゲームはすべて非協力ゲームと呼ばれるものである。非協力ゲームとは、プレーヤーが戦略選択に関して事前に交渉し、その交渉結果が拘束力を持つゲームである。本書では、この協力ゲームは扱わない。協力ゲームが重要ではないというわけではなく、単に私がユーザーとして協力ゲームを用いていないからである。用いていないものを説明することはできない。協力ゲームに関心のある読者には、本書最後の読書案内を紹介している教科書をお薦めする。第3には、分かりやすさを優先させたために、必ずしも理論的に、または数学的に厳密に記述していない箇所もある。どれらについては、本書よりも進んだ教科書や専門書を読んだときに「ああ、あそこはこういうことだったのか」とより深い理解をしていただければと思う。・・・・・・(はしがきより)

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