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藤田結子 著

『文化移民』
――越境する日本の若者とメディア


08.9.22

978-4-7885-1129-3



目次*
序章 グローバルな文化のフロー
第一章 越境する日本の若者たち
第二章 人種・民族関係の「現実」
第三章 「日本人女性」のステレオタイプ
第四章 日本人コミュニティと仲間集団
第五章 心に描かれる「故郷」
終章  ナショナル・アイデンティティのゆくえ
補章 マルチサイテッド・エスノグラフィの方法


46

272頁

定価2520円

◆若者はなぜ日本回帰するのか?◆

最近、ダンスやアートなどで一旗揚げたいと、文化的な動機で日本から欧米に移住する若者が増えています。著者はニューヨークやロンドンに移住するかれらに密着取材して、脱国家的なかれらがどのように欧米社会を体験して、数年後にどう考えるようになったかを長期的に丹念に追います。そこから浮かび上がってきたのは、言語の壁、多民族・多文化社会で生きることの難しさを実感したことによる、「単一民族国家」日本への回帰です。電子メディアが普及すると国民国家は衰退する または国境は消滅するという仮説が、希望をもって語られてきましたが、現実には、むしろナショナリズムが強化されています。本書は、そのことをトランスナショナルな日本の若者の場合において如実に証明しています。著者は慶応大学メディア・コミュニケーション研究所准教授。

「・・・・・・・以上の要点をまとめておこう。本書では、まず、アパデュライが提出した「電子メディアによる「想像力の働き」が、国際移動を促す」という仮説を、「どのようにして若者たちはニューヨークやロンドンへの移動に文化的な動機を見出すようになったのか」という第一の問いで検証する。
つぎに、移住者のアイデンティティに関する仮説を考察する。先に述べたように、「国境を越えるメディアの利用は、トランスナショナル・アイデンティティの形成を促す」と一部で議論されている。だが実のところ、インターネットや衛星テレビ放送が移住者のアイデンティティに与える影響を明らかにした調査は少ない。一部の移住者のケースではこの説は正しいのかも知れない。しかし本書のケースでは、日本人としてのアイデンティティが維持・強化される傾向が示された。そこで、「渡米・渡英後、若者たちのナショナル・アイデンティティはどのように変化するのか」という第二の問いを通して、この説を再検討したい。
この二つの仮説は、実のところ、電子メディアが発達・普及すると、多数の人々の国際移動が促進され、(さらにはトランスナショナル・アイデンティティの形成が促され)国民国家の衰退が促進されるというアパデュライが提出したより大きな枠組みの仮説と関連している。したがって本書は、このシナリオを検討するための、一つのケーススタディを提供するという点に意義がある。」(序章 グローバルな文化のフロー より)

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