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井上雅雄 著

文化と闘争
――東宝争議1946-1948


A5判516頁

定価:本体5700円+税

07.2.28

978-4-7885-1037-1



◆7&y セブンアンドワイへ

【目 次】
序 章 課題と方法
第一章 第一次争議
第二章 第二次争議
第三章 組合規制
第四章 経営危機
第五章 第三次争議
終 章 結 論
東宝争議関連年表
あとがき

◆戦車や偵察機まで出動した労働争議の内実は?◆

米軍の戦車による介入までも招き、「来なかったのは軍艦だけ」として知られる東宝争議。戦後日本映画黎明期の労働争議は、多くの共産党員が所属していたことからも、レッドパージの先取りをなすものといわれてきました。しかし東宝には党員でない多くの映画人たちがおり、彼らもまた争議の第一線にたち、最後まで運動を担ったのでした。黒澤明、成瀬巳喜男、衣笠貞之助、五所平之助ら日本を代表する映画人たちは、何を求めて苛烈な運動の現場にとどまり続けたのか、東宝とはいったいどのような場であったのか。会社・組合の内部資料、当事者たちの日記や証言など、貴重な一次資料を駆使して、芸術と興行的価値の対立をめぐる争議の実像を生き生きと再現します。

【本文紹介】
 この研究は、一九四六年から一九四八年にかけて東宝株式会社で発生した三次にわたる労働争議を対象として、労使の主張によって構成される争点を中心にその実体を明らかにすることを企図している。このことを通して、映画という文化生産における経済と芸術の対立・相克の内実を明らかにすること、これが本書の目的である。・・・・・・経済と文化という各々固有の律動原理をもつ社会動力が、映画という文化生産の場において、労働争議を媒介に交錯・拮抗する相の実態を、戦後直後の時代背景のうちに描き出そうとする本書の試みは、誤解をおそれずにいえば、映画の芸術的価値の解明である作品分析やそれを生み出した演出家の映画思想・映画文法の解読である作家論によって多くを占められてきた既存の映画研究に対して、映画の文化社会学的・文化経済学的アプローチをなすものとして位置づけることができよう。(「序章」より)

書評

2008年2月、大原社会問題研究所雑誌、岡田秀則氏評