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中山 元 著


『思考のトポス』
――現代哲学のアポリアから


四六判300頁

定価:本体2500円+税

発売日 06.6.28

ISBN 4-7885-1004-9

◆東京新聞 土曜訪問 記事 中山 元さん「読者との揺るぎない『共感』を求めて」

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◆思考のツールとしての哲学◆
近代の哲学にはさまざまな隘路(アポリア)があります。心身問題、表象論、道具的理性、他者、ファロス・ロゴス中心主義などです。哲学者たちは、そのアポリアと対決して、そのつど新しい回路を開いてきました。それは新しい思考が生まれてくるトポス(場所)でもあります。本書は、まず、西欧哲学における思考の行き詰まりを「近代理性のゆがみ」として明らかにし、そこから多くの思想家が、さまざまな装置を開発して、「近代のアポリア」を突破していく姿をたどります。多くの思想家と概念・キイワードが意外な線でつながり、思ってもみなかった方向に連れて行かれるのは、まさに「思考の快楽」といえるでしょう。哲学を自分の思考の道具にするための格好のガイドブックです。

◆本文紹介◆
ギリシアには場所を語る言葉にトポスとコーラという語があった。日常的にはそれほど隔てなく使われていたが、コーラの概念はプラトンが鍛え上げ、トポスという概念はアリストテレスが鍛え上げた。アリストテレスはトポスという語を、検討すべき問題を考察するために一般的に使われる論理や方法といった意味で使ったのである。『トピカ』という修辞学の書物には、さまざまな論理的な推論の進め方の典型が集められている。現代語のトピックという語は、これに由来するものだ。本書は論理的な「場所(トポス)」としてではなく、哲学のアポリアを解明し、分析し、迂回し、かいくぐって哲学をさらに進めようとする現代のさまざまな営みの典型としてのトポスを描き出すことを目的としている。……これらの概念や方法論は、単独の哲学者が考えだしたものというよりも、哲学のアポリアに対処するためのさまざまな道具として、仕掛けとして、多くの哲学者たちが共通して利用してきた「トポス」としての意味をもつもなのである。それでもぼくたちはまだこの深刻なアポリアから脱出したとはとうてい言いがたい。危機はますます暗く、深くなっているかのようである。ぼくたちもまた新しい装置と新しい思考を試さずにはいられないのだ。この書物では、こうした新しい思考を展開するために役立つさまざまな試みを描き出すことを試みている。(「はじめに」より)

◆書評
2006年8月、出版ニュース
2006年12月14日、朝日新聞
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◆目 次◆
前書き
第一章 危機の哲学
表象の文化とテクノロジー/第一哲学/道具的理性
第二章  哲学のアポリア
モナドの神学/司教者の神学/ロゴス中心主義/ファロス中心主義/動物論的差異
第三章 病の診断
生の権力/確率論的理性/自己免疫/剥きだしの性/アルカイックなもの
第四章 方法論
見えるものと見えないもの/問題構成/装置/ミメーシス/シミュラークル/リゾーム/ミクロロギー/脱構築
第五章 言語と公共性
私秘的な言語/治療としての哲学/普遍的語用論/相互承認/コミュニケーション的理性/社会システム論/オートポイエーシス/生活世界/バレーシア/公共性
第六章 差異と同一性
争異/ヘテロロジー(異質なものの学)/このもの性/アポリア/差延/コーラ/性的差異
第七章 他なる知と身体
暗黙知/異言・舌語/インファンス/遊歩/欲望する機械
第八章 時間と他者
記憶と想起/あとから性(事後性)/忘却の力/イリヤ/友愛の政治学/よそ者性/痕跡/人質/ヴァルネラビリティ(脆弱性)

索引