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内藤千珠子 著


『帝国と暗殺』 ――ジェンダーからみる近代日本のメディア編成


四六判416頁

定価:本体3800円+税

発売日 05.10.28

ISBN 4-7885-0968-7

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◆暗殺の物語から物語の暗殺へ◆

近代の国民国家は活字メディアを通して「想像の共同体」として形成されたというのは、B・アンダーソンの説ですが、本書は、明治期の新聞・小説・広告などに頻出した、病いや血や女性身体、植民地をめぐる、差別と定型の物語を題材に、日本という国が立ち上がってきた過程をさぐります。さらにそれが、閔妃(朝鮮王妃)暗殺、伊藤博文暗殺、明治天皇暗殺計画としての大逆事件といった、定型をはみ出す「暗殺」の物語になだれ込んでいく過程を追いながら、メディア共同体の欲望、近代の背理をえぐり出します。近代日本の国民国家形成の物語にジェンダー、物語論から迫った、気鋭の力作です。

◆書評

2006年1月13日、週刊読書人

2006年2月11日、週刊読書人

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◆目 次◆
はじめに
第一部 物語のほころび
第一章 病と血
第二章 女たち
第三章 植民地
第二部 スキャンダルとしての暗殺
第四章 王妃と朝鮮
第五章 死者たち
第六章 天皇と暗殺
おわりに
註/あとがき
朝鮮王朝の系図/初出一覧/関連略年表/文献一覧/索 引


◆本文紹介◆
暗殺をめぐる物語は、メディアの濃くて深い欲望と媾わりながら、価値のあるスキャンダルとして増殖し続けた。活字としての日本語には厚い記憶が埋め込まれているが、逆説的なことに、ほかならぬ言葉の記憶が、現在における細部の忘却を促している。 メディア上に氾濫していたそのような物語は、登場人物としての女、女のイメージ、記号としての女、女の比喩を幾重にも連鎖させ、魅惑と嫌悪の対象に仕立てあげた上で、女を傷つけ、殺し、葬ろうとする。こうした女なるものへの殺意や悪意は、「東電OL事件」報道で、被害者の女性に向けられたメディアの欲望と同じパターンを描いていると言えるだろう。そこには、物語の定型が刻印されているのだ。 物語の定型を抽出し、再現するのではなく、物語が定型として化してゆく過程で生じた、いまでは忘れ去られてしまった意味の軌跡をたどること。それは、歴史が現在の現実に切り結んでいると知ることでもあるだろう。(「はじめに」より)