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(C)新曜社

D.カルシェッド 著
豊田園子 監訳、千野 美和子・高田 夏子 訳

トラウマの内なる世界
――セルフケア防衛のはたらきと臨床


A5判344頁

定価:本体3800円+税

発売日 05.09.26

ISBN 4-7885-0963-6

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◆命を守るための心のブレーカー回路◆

幼い頃に親から受けた虐待や養育放棄、また大人になってから遭遇する災害・ 事故・犯罪といった人生上の圧倒的な体験が、心の痛みと不安を引き起こし、 そのトラウマ状況は繰り返し押し寄せることになります。一つは心のなかでの 苦悩として、一つは現実界での再外傷として。――本書では、この呪縛を生み 出す「セルフケア防衛」システムに光を当て、心的外傷の内的ダイナミズムを 克明に描き、臨床可能性を探ります。ユング心理学による深層イメージを核と しつつもフロイト諸派の考えを総動員し、豊富な実際例や物語例を手掛かりに 複雑なPTSD回路を解きほぐす、広い理論&深い実践を期した指南書です。
◆内容紹介
本書はトラウマの内なる世界について述べており、その世界は、精神分析過程で 関わった患者の夢やファンタジーや対人関係の苦闘のなかで示されたものである。 トラウマの「内なる世界」に焦点を当てることによって、私は圧倒されるような 人生上の出来事にこころはどのように内的に応じうるものなのかということを描 き出したいと思っている。たとえば外の世界の生活が耐え難いものであるとき、 内的世界には何が起きているのだろうか? 夢はこころのなかの内的な「対象イ メージ」について何を語るのだろうか?そしてこの「内的対象」は、外的対象と の破壊的な体験をどのように補償するのだろうか?生活を打ち砕く出来事が外的 な意味もすべて破壊するとき、無意識のファンタジーのどのようなパターンが、 トラウマの犠牲者のとっての内的な意味を生み出すのだろうか?そして最終的に、 これらの内的イメージとファンタジー構造は、命を守る奇跡的な防衛について私 たちに何を教えているのだろうか?その防衛は、トラウマの壊滅的な嵐が人間の スピリットを脅かすときに、そのスピリットの安全を保障するものである。これ らが、これから本書のなかで答えようと思っているいくつかの問題である。
(「イントロダクション」より)

著者のカルシェッドは、日本ではまだあまりよく知られていないが、ニューヨー クを拠点にするユング派の分析家であり、分析心理学会などでの講演の折には多 くの聴衆が殺到する、たいへん人気の高い分析家である。・・・<中略>・・・本書は二 部構成になっており、第T部の前半は“臨床編”ともいうべきもので、著者が関 わった多くの臨床例を紹介しながら、セルフケア・システムのはたらきを説明し ている。第T部の後半は“理論編”で、その理論的裏づけが、フロイトをはじめ とした多くの臨床家の理論を紹介するかたちでなされている。特に第三章は、フ ロイトとユングの接点を浮き彫りにする意欲的なものとなっている。第U部はが らっと趣が変わって、“物語編”とでもいうべきもので、四つのおとぎ話をとり あげ、それをもとにセルフケア・システムの説明がなされるとともに、そこから 治療へのヒントを汲み取ろうとしている。第T部後半の理論編がやや堅苦しいも のであったのにくらべ、ユング派の面目躍如ともいうべき、生き生きした筆致に なっている。(「訳者あとがき」より)



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目次
イントロダクション
第T部
第一章 トラウマの内なる世界--その悪魔的な姿
第二章 セルフケア・システム--臨床例をさらに深める
第三章 フロイトとユングの対話--トラウマの世界をめぐって
第四章 ユングの考え方--セルフケア・システム論
第五章 その他のユング派による理解
第六章 精神分析による理解
第U部 
導入 おとぎ話--セルフの二段階の実体化
第七章 ラプンツェル--セルフケア・システム
第八章 プシケー--ダイモンの恋人
第九章 フィッチャーの鳥---セルフの暗黒の側面
第十章 リンドワーム王子--ダイモンの変容
訳者あとがき
文献/索引

原題:THE INNER WORLD OF TRAUMA 、Archtypal Defenses of the Personal Spirit by Donald Kalsched

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