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武野俊弥 著


嘘を生きる人 妄想を生きる人
――個人神話の創造と病


四六判248頁

定価:本体2200円+税

発売日 05.09.02

ISBN 4-7885-0960-1

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◆ウソからマコトが生まれる瞬間!◆
荒唐無稽な作り話で煙に巻く、悪行を隠してシラを切る……世にはプチ虚言が溢れていますが、本書では古今東西の「大ペテン師」が立ち回ります。中にはナチス精神科医やオウム幹部などもいて、彼らが堕ちてゆく様は人類の教訓として看過できません。では、無垢の嘘と罪を生む嘘の間にはどんな敷居がある? また一方、同じ「虚の世界」の住人でも、妄想を生きる人々がいます。傍には嘘八百と聞える話も彼らにとっては現実なのです。なおその妄想にも、当人を守るものと責めるものがあり、一筋縄ではいきません。――自らの専門でもある精神療法の虚構までを視野にユング派分析家の著者が「魂のポリグラフ」に映った「嘘と妄想の広角パノラマ」を展望します!

◆本文紹介◆
本書は、宗教や精神療法といったいわば「魂の救済システム」に深く結びついた虚構性ないし虚偽性がもつ破壊性の問題を、おもにオウム真理教およびそれが体言している“空想虚言症”を導きの糸としながら論じようとするものである。とりわけその虚構性ないし虚偽性が「パワー原理」と結びついたときにいかに危険なものとなるかを、種々の素材を用いながら、精神療法にひそむ<影>の問題として、具体的に呈示してゆくつもりである。しかしそれと同時に、虚構性や虚偽性のなかに秘められている創造性の芽を見落とすわけにはいかない。この創造性の芽が十全に花開くための「土壌」とはなにかを考えてゆくことも本書の目的である。すなわち魂(およびその救済システム)に内在する虚構性ないし虚偽性は、創造的で生きたものともなれば、破壊的に病んだものともなりうるのである。その両義性について、個人神話の視点をとおして考察を深めてゆきたい。(「まえがき」より)

◆書評
2005年10月30日、東京新聞、武野俊弥氏評
2005年12月4日、BOOK CLUB KAI
2006年7月10日、AERA

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◆目 次◆
まえがき
序章 生きた神話と 病んだ神話
第T部 空想虚言と神話賦与
第一章 空想虚言の世界--オウムの真理とは
第二章 虚偽をめぐる光と陰--日蓮の誓願と苦悩
第三章 欺瞞の功罪--セノイの夢理論
第四章 神話がつむぎ出される時--精神療法のなかで
第U部 正しさのもつ破壊性 偽りにひそむ創造性
第五章 影にとりつかれた治療者--志にひそむ破壊性
第六章 影になった癒やし手--矛盾が生む創造力
第三部 個人神話の創造性とエロス
第七章 生きた個人神話と夢分析
第八章 妄想と個人神話
終章 神話を生きるために
あとがき