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フィリップ・バニアード 著
鈴木聡志 訳


心理学への異議
――誰による、誰のための研究か
【心理学エレメンタルズ】


四六判232頁

定価:本体1900円+税

発売日 05.4.25

ISBN 4-7885-0941-5

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◆人心を操作する技、研究に潜む偏見◆
心理学は敵への憎悪をかきたてたり、捕虜を尋問したり、あるいは政治犯を洗脳したりするのに使われてきました。じつは今日でも同じ手法が、広告や宣伝に使われています。心理学は使われ方によって、人々のためにもなれば、人々を操作する道具にもなるのです。今まで語られることの少なかった大胆な「心理学への異議」ですが、心理学を学ぶ人々は誰もが心すべき問題です。大変読みやすく、話に引き込まれていくうちに、心理学について新しい見方が開けるでしょう。

【心理学エレメンタルズ】

◆書評
2005年5月22日、朝日新聞
2005年6月12日、信濃毎日新聞

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◆目 次◆
謝辞
序章 心理学における論争
コントロール/心理学を人々のものとする/人間の間にあると受け止められた違い/人間の本性/社会ダーウィニズム/真の論点/おわりに一言
第1章 心理学と戦争
はじめに/戦争について心理学は何を教えることができるか?/戦争で心理学はどのように使われたか?/戦争の影響について心理学は何を教えることができるか?/読書案内
第2章 心理学とプロパガンダ
はじめに/説得的メッセージ/プロパガンダ・キャンペーンの例/政治家の説得技術/まとめ/読書案内
第3章 心理学と広告
はじめに/態度と態度変容の心理学/消費者の心理学/商品の心理学/まとめ/読書案内
第4章 心理学におけるバイアス
はじめに/エスノセントリズム/私たちは客観的でありうるか?/心理学における人種差別/まだある心理学におけるバイアス/心理学と文化/まとめ/読書案内
第5章 心理テスト
はじめに/心理テストの技術/知能の検査/パーソナリティの測定/読書案内
付章 関連する心理学に重要研究
論文1/論文2
訳者あとがき
用語解説/文献
事項索引/人名索引


◆本文紹介◆
論争(controversies)とは何だろう?2つ以上の意見があるところ、必ず論争が生じるに違いない。だから、たとえば20世紀最大の音楽家は「ヴィレッジピープル」だと私が思ったとしても、あなたは同意しないかもしれない。このとき私たちの間に論争が生じる。心理学についてもこのように考えるなら、すべてが論争の的だということがわかるだろう。なぜなら、証拠としてあげられたあらゆることに、いくらでも解釈の余地があるからだ。心理学は、他の科学もみなそうだが、討論と論争を通して発展する。それは科学の機能の一部なのである。けれども、本書にいう論争ということばには、特別の意味がある。
 主張や討論に中には、特別に影響力の大きなものがある。それはおそらく、それがもたらす結果のゆえであり、あるいは人々の信念の核心に挑むためである。心理学においては、日常生活に非常に重大な影響を及ぼす可能性があり、そのために激しい議論の的になってきた問題がいろいろとある。たとえば、知能が高いとか低いとかレッテルを貼れば、一生影響を受けかねない。また心理学は、なぜ人々がそのように行動するのかを調べ、人間の本性が何かについてなにがしの示唆を与えている。この本で見ていくのは、こうした議論である。これらの論争の背後には、人々のコントロールと操作、ある集団と他の集団の間にあると受止められた違い、そして人間の本性についての私たちの信念というテーマがある。(「序章 心理学における論争」)