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ロバート・ダーントン 著
著近藤朱蔵 訳


禁じられたベストセラー
――革命前のフランス人は何を読んでいたか?


四六判400頁

定価:本体3800円+税

発売日 05.2.25

ISBN 4-7885-0934-2

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◆歴史を読むことの愉しみを満喫させてくれる◆
啓蒙思想がフランス革命を準備した、というのはわかりやすい図式ですが、読まれない本が影響を与えるはずがないのも事実です。このような問題意から、奇跡的に残っていたヌーシャテル出版協会の膨大な資料群(カタログ、発注書、書簡、会計帳簿など)に分け入って、当時の人々が何を、どのように読んでいたかを、流通過程から明らかにします。著者・出版社・印刷所・書店・読者の具体的関係の解明から始まって、「哲学書」(啓蒙思想の本とポルノをまとめて)などの禁書、権力者への誹謗文書、パンフレットなどが「マントの下で」取引されて広まり、王権を冒涜することで革命の気分が醸成されていった過程を、まるで推理小説を読むように読み解きます。

◆書評
2005年4月10日、日本経済新聞、福井憲彦氏評
2005年4月17日、しんぶん赤旗
2005年5月1日、朝日新聞
2005年6月12日、毎日新聞

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◆目 次◆
第一部 禁じられた文学と文学市場
第一章 マントの下の哲学
第二章 ベストセラー
第二部 代表的作品
第三章 哲学的ポルノグラフィー
第四章 ユートピア幻想
第五章 政治的中傷文
第三部 書物が革命を起こすのか?
第六章 伝播 対 ディスクール
第七章 コミュニケーションのネットワーク
第八章 政治的中傷文の歴史
第九章 読者の反応
第十章 世論
訳者あとがき
原注/索引


原題:THE FORBIDDEN BEST-SELLERS OF PRE-REVOLUTIONARY FRANCE 、1995 、Robert Darnton


◆本文紹介◆
禁じられた文学の境界を画定するという問題は、最初は言葉の問題のように見える。警察がバスチーユの囚人の1人である、ユベール・カザンという書籍商を尋問したことがあった。カザンはランスの自分の店にあらゆる種類の禁書や危険な新聞を置いていて捕まったのだが、警察は手紙のなかにしばしば出てくる「哲学用品」という、わけのわからない用語を説明するように求めた。カザンはそれを「書籍業界の慣習的な表現で、禁止されているものなら何でもそう言っているのです。」と説明した。警察は他にも、「秘密の本」、「薬」、「災い」、などについて訊いた。既に言ったように、警察には「悪書」という自前のお気に入りの表現があった。印刷屋は同業社間の隠語として別の表現を使っていた。「栗」(marron禁書)とか、「栗する」(maronner秘密の仕事に取り組む)である。しかし書籍商と出版社はlivers philosophiques'すなわち「哲学書」というような高尚な言葉のほうを好んだ。それは商用の暗号のなかで、厄介なことを引き起こす恐れのある本、注意して扱わねばならない本を指す合図として役立っていた。(「第一章 マントの下の哲学」より)