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アンジェイエフスキー 著

坂井達朗 訳


軍事組織と社会
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四六判376頁

定価:本体3400円+税

発売日 04.11.05

ISBN 4-7885-0925-3

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◆幻の名著、登場◆
誰が武装し、誰を武装させるか? 歴史上ほとんどの社会は軍隊をもってきま した。どんな社会がどんな軍隊をもってきたか、社会のあり方は軍事組織のあ り方をいかに規定し、軍事組織のあり方は社会にどんな影響を与えてきたか。 この重大な問題を正面から引き受けて、豊かな歴史的・民族誌的事実を裾野に もつ堅固な理論を提示します。著者は戦後東ヨーロッパの混乱のなかに消息を 絶ったポーランドの社会学者、「平和志向」の学界に敬遠され、名のみ高くし て読み得なかった幻の名著が、訳者による詳細な注を付して登場です。


◆本文紹介◆
戦争に勝つためには、他の人間活動にもまして、個人の共同行為が必要となる。そうして集団が大きければ大きいほど、その共同は大切になり、それを統合する階統構成が重要になる。したがって、軍事志向性が階層を明確にする作用は、集団が大きくなればなるほど強くなる。小規模な集団の間の戦争は、どのように激しいものであっても、一方が他方を征服してしまうのでなければ、階層構成を生みださない。しかし征服は二重の意味で階層を生み出す効果がある。それはまず第一に征服者と被征服者との区別を作り出す。次にそれは階統構成を通じてのみ組織化される、大規模な政治的単位を生み出すことにより、これまでは存在しなかった不平等の原因となる。
 忘れてはならないことは、社会的不平等を生み出す基盤は、戦争以外にも存在することである。したがって戦争状態の熾烈化は階層構成を高度化するとは限らない。ただ市民生活における階統構成よりも、軍事的な階統構成の重要性を増大させることがある。(「第2章 階層構成」より)


◆著者紹介◆
生国はポーランド。生年は不明であり、世代から判断すれば存命中の可能性も充分であるが、後述する理由から、すでに亡くなっているものと考えられる。一九三九年九月、第二次世界大戦が勃発した時点では、ポーランドの陸軍の馬匹牽引砲兵隊(Horse Artillerry)に下士官(sergeant)として勤務していた。戦争はドイツ軍の浸入によって始まり、続いてソ連軍も浸入を始め、大統領以下の政府と軍との首脳部は国外に亡命し、十月にはポーランド正規軍の抵抗も終わっている。この時アンジェイエフスキーはソ連軍の捕虜になったが、その後脱走してソ連軍とドイツ軍の両占領地域で、初めは物乞い(beggar)をして、後には密輸を業として(smuggler)生きながらえ、やがてハンガリーに亡命、そこで官憲に逮捕・収監された。その後再び脱走し、偽造旅券でフランスに潜入、当時フランスにあったシコルスキ亡命政府軍に加わったが、一九四〇年ペタン政府がドイツに降伏したため、数ヵ月後の十月にはイギリスに逃れざるを得なくなり、一九四四年のノルマンディー上陸の日まで同国に止まった。イギリス滞在中、九ヶ月の病気休暇を得て、London School of Ecnomicsに学んでいるが、その時の勉学の内容は不明である。一九四五年六月、大戦が終了したときには、通訳として総司令部に勤務していた。戦後は一時期占領軍としてとしてドイツで勤務した後、イギリスに帰り、一年後に南アフリカに移民した。一九四七年以降は、一年間の中断を含み、南アフリカのローズ大学で社会学の教鞭を執っている。
 この経歴を読む時、強国に取り巻かれて苦悩する民族が二十世紀に経験した悲劇を象徴するかのような壮絶な生涯に、粛然とせざるを得ないのを感じるのは訳者のみではあるまい。また巻末に付せられた文献目録から察すると、著者は入隊以前にポーランドで大学教育を受けていた模様であり、その時の恩師Czealaw Znamierwskiは形式社会学の立場に立った人であったと推察される。アンジェイエフスキーはこの恩師の著作の明晰さと正確性とから大きな影響を受けた旨を述べているが、この人物についても訳者は何の情報ももっていない。  本書の刊行後、筆者がどのような運命を辿ったかも、全くわかっていない。(「訳者あとがき」より)


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◆目 次◆
緒言(ラドクリッフ-ブラウン)
自序
はじめに
第1章 闘争の普遍性
第2章 階層構成
A理論的考察
1社会的不平等をどのように計測するか/2階層構成の根本原因と権力の基本計測/3戦争と社会的不平等/4征服と特権的戦士集団の起源/5軍事参与率/6装備と報酬/7抑圧と容易性/8摩擦的要因/9生活水準の影響
B歴史的考察
1未開民族/2近東/3古代ギリシア/4イラン/5中国/6日本/7インド/8ローマ/9ビザンチン帝国/10北アフリカ地方/11中世のヨーロッパ/12中世のドイツ/13ポーランド/14スウェーデン/15デンマークとノルウェー/16スイス/17ロシア/18スペイン/19イギリス/20バルカン半島/21近代初期のヨーロッパ/近代のヨーロッパ
第3章 政治的単位の規模と凝集性
1攻撃力対防御力/2輸送および通信手段の変化が及ぼす影響/3武器か組織か/4卓越した武器の独占/5矛盾する結果/6報酬の支払い方法/7装備の支給方法/8摩擦要因
第4章 服従と階統構造
1戦争の程度の影響/2規模の影響/3報酬の支払いと装備の支給方法との影響/4階統構成内部における振幅運動/5権力の中心の配置/6親衛隊による支配
第5章 政府による規制の範囲
第6章 軍事参与と戦争の苛烈性
第7章 軍事組織の形態の分類
第8章 暴力支配性と臨戦性
第9章 階層間の移動
第10章 軍事組織の類型と社会構造の類型
1予備的考察/2変容の決定容認/3移行の類型
第11章 革命
第12章 結語
第13章 未来はどうなるか
文献目録/新造語一覧/訳者注/付図
補論
一思想は社会的力であるか
二垂直的移動と技術進歩
三(表題なし。Man誌への投稿)
四<書評>暴力に関する考察
訳者あとがき
索引

原題:Military Organization and Society 1950

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