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斎藤成也 著


『ワードマップ ゲノムと進化』
――ゲノムから立ち昇る生命


四六判232頁

定価:本体1850円+税

発売日 04.09.10

ISBN 4-7885-0912-1

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◆ゲノムのイロハから研究最前線まで◆

ヒトゲノムの基本構造の解読と、遺伝子治療やクローン技術の新展開。二一世 紀は脳科学と並んで、生命の神秘の扉が開かれる生命科学の世紀です。たった 四種類の記号の配列にすぎないゲノムの単純な配列・組み合わせがどのように して、この地球上のかくも複雑で多様な全生命を支えるように進化したのか。 本書は、その奥深く興味深い科学的探求の軌跡と最先端の成果を、31のキーワ ードを道案内に一般の人びと向けにわかりやすく書下ろしたゲノム入門です。 著者は国立遺伝学研究所教授。本年、第12回木原記念財団学術賞受賞。


◆本文紹介◆
身体と心は別々であるという「心身二元論」が、多くの人々を惑わせてきた。しかし、そのようなことはない。心と体はつながっている。したがって、人間の身体を作る設計図のようなものである「ヒトゲノム」のDNAは、なんらかの意味で心とつながっているはずである。本書はゲノムについて語るものであるが、わたしの最終的的な興味は自意識にある。ゲノム上の遺伝子情報からRNAやタンパク質が作られ、細胞が形作られる。なかでもある特殊な細胞がたくさん集まって、脳神経系が成り立っている。そこに自意識が宿っているのだ。この心身一原論は、現代生物学の常識である。すなわちゲノムのA、T、C、Gという無味乾燥な四文字の羅列に、自意識を発生させる「何か」があるはずだ。(「第1章 生命とは何だろうか」より)

 二一世紀の生物学はゲノムの時代である。「ゲノム」とは、ある生物の持つすべての遺伝情報のことである。その中でもわれわれ人間にとってもっとも興味のあるのは、自分たち「ヒト」のゲノムだろう。人間を生物の観点から論じるときは、このようにカタカナを使うことが一般的である。ゲノムに格納されている遺伝情報の基本は「塩基配列」である。遺伝子の物質的本体であるDNAは、アデニン(A)、シトシン(C)、グアニン(G),チミン(T)の四種類の塩基が、ビデオテープのように一列に並んでいることにより、遺伝情報をになうことができる。「塩基配列」とは、これらの塩基の並びを言う。ビデオテープに比喩を続ければ、画像情報を持っている部分と持たない部分があり、それらの情報はビデオデッキとテレビを用いてはじめて画像として再生することが出来る。しかし、もちろんビデオてーPがなければなにも始まらない。つまり、ゲノムの塩基配列をすべて決定することは、生命というビデオ画像を見るためのビデオ・テープを得ることに対応する、きわめて重要なステップなのである。(「第3章 ゲノムの実体」より)

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◆目 次◆
はじめに
第1章 生命とは何だろうか
自己複製/化学進化/モノとコト/クオリア(絶対質感)
第2章 ゲノム研究の歴史
ゲノム前史/ゲノム研究の古典期/中立進化論/遺伝子重複/ヒトゲノム計画
第3章 ゲノムの実体
生命の系統樹/ウイルスのゲノム/原核生物のゲノム/ミトコンドリアのゲノム/真核生物のゲノム/ヒトゲノム/遺伝子の系図
第4章 ゲノムから出発する生物学
塩基配列とゲノム文法/ゲノム学/偽遺伝子/遺伝子の共和国としてのゲノム/血液型遺伝子/ゲノム生物学/ゲノム進化学
第5章 霊長類の比較ゲノム学
人類進化/遺伝子の変転/ネオテニー進化/類人猿ゲノム計画シルヴァー/意識の発生
第6章 ゲノムのもたらす生命観
ゲノムのもたらす生命観/ゲノム生物学の未来
あとがき
参考文献
索引

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