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中根隆行 著


〈朝鮮〉表象の文化誌
――近代日本と他者をめぐる知の植民地化


四六判384頁

定価:本体3700円+税

発売日 04.04.20

ISBN 4-7885-0897-4

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◆「差別」を通じて形成された〈日本人〉とは?

文化的先進国であった朝鮮を、日本人はいつから、どのようにして「差別」するようになったのでしょうか。このような問題意識から本書は、〈朝鮮〉という記号に人びとが思い浮かべるイメージの変遷を、日露戦争以来の、日本人の朝鮮を題材にした小説や紀行文などの文学作品にさぐります。また逆に、日韓併合期の朝鮮人による日本語で書かれた文学を通して、日本文学における「他者性」の問題を逆照射します。差別を善悪の問題として論じるのではなく、その過程を冷静にたどることで、〈朝鮮〉像の形成が日本人の自己成型の問題であることを明らかにします。真にポスト・コロニアルな問題意識に貫かれた気鋭の力作です。著者は現在、韓国ハンバット大学校日本語科客員教授。

◆書評
2004年7月、出版ニュース
2004年7月11日、東京新聞、磯貝治良氏評
2004年8月、歴史読本

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◆目 次◆
序章 〈朝鮮〉をめぐる文化的記憶
第T部 他者表象と文化闘争
第1章 旅するコロニアル・ディスクール
第2章 殖民イデオロギーと国民像の改築
第3章 健全な青年と地方像の創出
第U部 越境する文学とジャンル的交渉
第4章 従軍文士の渡韓見聞録
第5章 写生される朝鮮、揺らぐ観察者の眼差し
第6章 地方農村と植民地の越境
第V部 文学の振興と多文化主義
第7章 地方としての朝鮮、上京する作家
第8章 文芸復興期の植民地文学
第9章 民主主義と在日コリアン文学の懸隔
終 章 悔恨の逆説
注/主要参考文献/あとがき/索引


◆本文紹介◆
本書はその文化的記憶の生成と伝播を〈朝鮮〉表象の文化誌として叙述する。それは、日本人が〈朝鮮〉という記号に自らの心性を投影した裏目の自画像であり、日本近代の〈他者〉をめぐるイデオロギー闘争の場所である。そこには、明治日本による西洋知的の模倣・応用という古典的問題がまず横たわり、青年文士や殖民青年の越境譚が連結する。リアリズムという文学概念が植民地主義の論理をゆるがせ、農本主義者のコスモポリタニズムという相矛盾する思想が交錯する。もとより、この場所を占有したのは日本人だけではない。すでに触れたように、朝鮮人作家の日本語文学の誕生は、それまでの朝鮮像や総督府政治への意義申立ての契機であり、この国の文壇を多文化主義へと導く起爆剤になった。
 〈朝鮮〉という記号をめぐって繰り広げられた知的営為や人とモノの異動。そのような日本近代の文化闘争のプロセスの一端を明らかにしてみたい。(「序章 〈朝鮮〉をめぐる文化的記憶」より)
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