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大橋靖史 著


『行為としての時間』
――生成の心理学へ


A5判256頁

定価:本体3600円+税

発売日 04.04.15

ISBN 4-7885-0894-X

◆「主観的」時間が問題だ!◆

時計はどこでも正確に時を刻んでいます。南極の1分もサハラ砂漠の1分も、 その長さは正確に同じです。しかし私たちは時には一瞬を永遠のように感じる かと思えば、時間が静止してしまったかのように感じることもあります。私た ちの「こころの時間」は、物理的、因果的な時間とは異なるのです。 この「人間的な」時間を心理学はどう考えるか。本書は人々の「行為」という 概念をキーに、大災害にあった人々へのインタビューや目撃証言の裁判記録な どの実証的な研究を通して、生きた人間の時間をとらえることのできる、新し い時間のとらえ方を提唱します。著者は、淑徳大学助教授。


◆本文紹介◆
本書の目的は、過去や未来の問題を、因果的な時間の流れというしばしば用いられてきたアナロジーから脱却させ、心理学的な行為の問題として捉えなおすことにある。時間には様々なメタファーが可能であるが、しばしば川の流れに喩えられてきた。
 …〈中略〉…川野の流れのメタファーにおいては、現在というこの瞬間も川の流れのごとく、常に流れつつ今この瞬間は、次の瞬間には過去となり、下流へと流れ去ってしまうと考えられてきた。また、未来という上流からの水は、次の瞬間には、今眼の前を流れていく現在となっていく。時間に対するこうしたイメージは、私たちの思考に広く深く根をはってきた。しかしながら、これから本書の中で心理的に体験される時間について思いを巡らし、行き着く先は、この流れる時間というイメージとはまったく異なるところになるはずである。繰り返すが、因果的な流れのイメージに囚われてきた、まさにそのことが、心理学的な時間研究をある意味偏ったものにしてきた原因の一つなのである。(「序章 問題」)


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◆目 次◆
序章 問題
因果から生成へ/本書の構成

第1部 想起としての過去
第1章 過去と想起の関係
因果的過去研究パラダイム/原因としての過去/想起としての過去
第2章 早期の構造と機能
想起の構造/想起の機能

第2部 予期としての未来
第3章 未来と予期の関係
因果論的視点に立った従来の未来研究/因果的未来研究パラダイムに内包する問題/予期としての未来
第4章 予期の構造と機能
行為と世界の関係について/予期の構造/予期の機能

第3部 二項対立を超えて
第5章 想起と予期、および因果と意味の二項対立を超えて
想起と予期の関係/出来事の正誤問題/通時と共時の概念を再考する
第6章 実証研究
共同想起研究/共同想起における想起スキーマ/分析単位のゲシュタルト変換
終章 これからの研究の展望
研究のまとめ/因果と意味について/これからの研究の展望
註/初出一覧/引用文献/索引

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